特定施設入居者生活介護の加算の多くは、一般型(イ)を算定する場合に限られます。外部サービス利用型(ロ)や短期利用(ハ)で算定できる加算は一部で、看取り介護加算のように別の加算の算定が前提になるものや、入居継続支援加算のように併せて算定できない加算が決まっているものもあります。

加算を届け出る前や請求ソフトの設定を見直すときに、類型と算定の前提をあわせて確かめておくと、請求の誤りを防げます。また、医療・看取りの加算は、医療的ケアが必要になった入居者や看取り期の入居者が、同じ施設で暮らし続けられる体制を評価するものです。要件どおりの体制を保つことが、入居者と家族の安心にもつながります。

この記事では、2026年9月時点の厚生労働省の資料と算定基準の告示で確かめた主な加算・減算を、基本報酬と類型、医療・看取り、機能訓練・認知症・口腔栄養、感染対策・体制、減算の順に整理し、最後に算定前の確認手順を示します。すべての加算を網羅したものではありません。介護予防特定施設入居者生活介護と地域密着型特定施設入居者生活介護は、算定基準が別のため扱いません。

基本報酬と3つの類型の違い

特定施設入居者生活介護費は、次の3つの類型に分かれています。

類型

基本報酬(1日につき)

一般型(イ)

要介護1の542単位〜要介護5の813単位

外部サービス利用型(ロ)

基本部分84単位(委託先のサービス分を加える)

短期利用(ハ)

一般型(イ)と同じ単位数

一般型の単位数は、要介護1が542単位、要介護2が609単位、要介護3が679単位、要介護4が744単位、要介護5が813単位です。外部サービス利用型は、基本部分に、委託先の居宅サービス事業者が行った訪問介護や通所系サービスなどの単位数を加えて算定し、基本部分も含めて要介護度ごとに定められた限度が上限になります。

加算は、告示でどの類型について算定できるかが決まっています。多くは一般型(イ)のみで、夜間看護体制加算・若年性認知症入居者受入加算・生産性向上推進体制加算は一般型と短期利用(イ・ハ)、協力医療機関連携加算は一般型と外部サービス利用型(イ・ロ)で算定できます。外部サービス利用型には、障害者等支援加算(1日20単位)があります。自施設がどの類型で指定を受けているかを確かめてから、以下の表を読んでください。

(参考:指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準 別表の10、厚生労働省「介護報酬の算定構造のイメージ(R8.6.1)」)

医療・看取りの加算と算定の前提

加算

単位数

算定できる類型

入居継続支援加算(Ⅰ)(Ⅱ)

1日36単位/22単位

一般型(イ)のみ

夜間看護体制加算(Ⅰ)(Ⅱ)

1日18単位/9単位

一般型(イ)と短期利用(ハ)

看取り介護加算(Ⅰ)(Ⅱ)

死亡日までの日数で異なる(下表)

一般型(イ)のみ

協力医療機関連携加算

1月100単位/40単位

一般型(イ)と外部サービス利用型(ロ)

退院・退所時連携加算

1日30単位(入居から30日以内)

一般型(イ)のみ

退居時情報提供加算

1回250単位(1人1回まで)

一般型(イ)のみ

医療・看取りの加算は、看護職員の体制や、医療機関との連携が要件の中心です。どの加算も、届け出た時点だけでなく、算定する月ごとに要件を満たしているかを確かめる必要があります。

入居継続支援加算(Ⅰ)は、喀痰吸引や経管栄養を必要とする入居者の割合が100分の15以上であること(尿道カテーテル留置・在宅酸素療法・インスリン注射の状態の入居者を含めて数える場合は、常勤の看護師を1名以上配置し、看護の責任者を定めていることも必要)、介護福祉士が常勤換算で入居者6人またはその端数ごとに1以上いること、人員基準欠如に当たらないことなどが要件です。見守り機器などのテクノロジーを活用し、委員会で必要な検討を行う場合は、介護福祉士の配置を7人ごとに1以上とできます。(Ⅱ)は、対象となる入居者の割合が100分の5以上100分の15未満の場合の区分です。なお、入居継続支援加算は、サービス提供体制強化加算を算定している場合は算定できません。どちらを届け出るかは、両方の要件と単位数を比べて決めます。サービス提供体制強化加算の要件は「サービス提供体制強化加算の算定要件」で解説しています。

夜間看護体制加算(Ⅰ)は、常勤の看護師を1名以上配置して看護の責任者を定め、夜勤または宿直を行う看護職員を1名以上置き、重度化した場合の対応の指針を入居の際に説明して同意を得ていることが要件です。(Ⅱ)は、夜勤・宿直の看護職員の代わりに、看護職員や、病院・診療所・訪問看護ステーションとの連携により、24時間連絡できる体制を確保する区分です。

看取り介護加算は、死亡日から数えた期間ごとに、死亡月にまとめて算定します。

死亡日から数えた期間

看取り介護加算(Ⅰ)

看取り介護加算(Ⅱ)

死亡日以前31日以上45日以下

1日72単位

1日572単位

死亡日以前4日以上30日以下

1日144単位

1日644単位

死亡日の前日と前々日

1日680単位

1日1,180単位

死亡日

1日1,280単位

1日1,780単位

看取り介護加算は、(Ⅰ)(Ⅱ)とも、夜間看護体制加算を算定していない場合は算定できません。(Ⅱ)は、(Ⅰ)の要件に加えて、看取り期に夜勤または宿直の看護職員を配置している場合の区分で、(Ⅰ)と同時には算定できません。退居した日の翌日から死亡日までの期間も算定できないため、入院などで退居した入居者の日数の数え方に注意が必要です。看取り指針や対象者の考え方は、特養の加算を例に「看取り介護加算とは」で解説しています。

協力医療機関連携加算は、協力医療機関との間で、入居者の同意を得て病歴等の情報を共有する会議を定期的に開いていることが前提です。協力医療機関が、急変時に相談対応を行う体制と、診療の求めに応じて診療を行う体制を常に確保している場合は100単位、それ以外の場合は40単位です。会議の運用は「協力医療機関連携加算の算定要件」で解説しています。

退院・退所時連携加算は、病院・診療所・介護老人保健施設・介護医療院から入居した日から30日以内に算定します。退居時情報提供加算は、入居者が退居して医療機関に入院するときに、同意を得て心身の状況や生活歴などの情報を提供した場合に算定します。

(参考:指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準 別表の10、厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」「令和3年度介護報酬改定における改定事項について」)

機能訓練・認知症・口腔栄養の加算

加算

単位数

個別機能訓練加算(Ⅰ)

1日12単位

個別機能訓練加算(Ⅱ)

1月20単位

生活機能向上連携加算(Ⅰ)

1月100単位(3月に1回まで)

生活機能向上連携加算(Ⅱ)

1月200単位

ADL維持等加算(Ⅰ)(Ⅱ)

1月30単位/60単位

認知症専門ケア加算(Ⅰ)(Ⅱ)

1日3単位/4単位

若年性認知症入居者受入加算

1日120単位

口腔・栄養スクリーニング加算

1回20単位(6月に1回まで)

科学的介護推進体制加算

1月40単位

この表の加算は、若年性認知症入居者受入加算(一般型と短期利用)を除き、一般型(イ)を算定する場合のみ算定できます。

生活機能向上連携加算は、個別機能訓練加算と組み合わせるときに扱いが変わります。個別機能訓練加算を算定している場合、生活機能向上連携加算(Ⅰ)は算定できず、(Ⅱ)は1月100単位になります。

個別機能訓練加算(Ⅱ)と科学的介護推進体制加算は、入居者の情報を厚生労働省に提出し(LIFEを使います)、その情報を活用していることが要件です。ADL維持等加算も、ADL値の提出と評価が必要です。LIFEは2026年5月11日から国民健康保険中央会の運営に移り、電子証明書を入れた端末からログインする仕組みになりました。提出の要件は「科学的介護推進体制加算の算定要件」と「ADL維持等加算の算定要件」で解説しています。

口腔・栄養スクリーニング加算は、利用開始時と利用中6月ごとに、口腔の健康状態と栄養状態のスクリーニングを行った場合に算定します。

(参考:指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準 別表の10、厚生労働省「介護保険最新情報Vol.1484」「介護保険最新情報Vol.1495」)

感染対策・生産性向上・職員体制の加算

加算

単位数

高齢者施設等感染対策向上加算(Ⅰ)(Ⅱ)

1月10単位/5単位

新興感染症等施設療養費

1日240単位(1月1回・連続5日まで)

生産性向上推進体制加算(Ⅰ)(Ⅱ)

1月100単位/10単位

サービス提供体制強化加算(Ⅰ)〜(Ⅲ)

1日22単位/18単位/6単位

介護職員等処遇改善加算

所定単位数の10.8%〜15.9%

生産性向上推進体制加算は、一般型と短期利用(イ・ハ)で算定できます。要件は「生産性向上推進体制加算の要件」で解説しています。

介護職員等処遇改善加算は、2026年6月から、(Ⅰ)イ・(Ⅰ)ロ・(Ⅱ)イ・(Ⅱ)ロ・(Ⅲ)・(Ⅳ)の6区分になりました。特定施設入居者生活介護の加算率は、(Ⅰ)イ14.8%、(Ⅰ)ロ15.9%、(Ⅱ)イ14.2%、(Ⅱ)ロ15.3%、(Ⅲ)13.0%、(Ⅳ)10.8%で、基本報酬とサービス提供体制強化加算までの加算を合計した単位数に掛けます。(Ⅰ)ロと(Ⅱ)ロは、生産性向上や協働化に取り組む事業者向けに新設された区分です。区分ごとの要件は「介護職員等処遇改善加算の区分と要件」で解説しています。

(参考:指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準 別表の10、厚生労働省「令和8年度介護報酬改定の概要」)

主な減算と類型ごとの割合

減算

減算の方法

対象の類型

看護・介護職員の人員欠如

所定単位数の70/100で算定

一般型(イ)と短期利用(ハ)

介護職員の人員欠如

所定単位数の70/100で算定

外部サービス利用型(ロ)

身体拘束廃止未実施減算

所定単位数の10/100を減算

一般型(イ)

身体拘束廃止未実施減算

所定単位数の1/100を減算

外部サービス利用型(ロ)と短期利用(ハ)

高齢者虐待防止措置未実施減算

所定単位数の1/100を減算

すべての類型

業務継続計画未策定減算

所定単位数の3/100を減算

すべての類型

身体拘束廃止未実施減算は、一般型(イ)では所定単位数の10/100と、ほかの類型の10倍の割合です。身体拘束・虐待防止・業務継続計画の3つの減算は、それぞれ「厚生労働大臣が定める基準」を満たしていない場合に適用されます。委員会の開催や指針の整備などの具体的な基準は、告示と指定権者の案内で確かめてください。減算の全体像と人員欠如の扱いは「介護の減算とは」で解説しています。

(参考:指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準 別表の10、厚生労働省「介護報酬の算定構造のイメージ(R8.6.1)」)

算定前の確認手順

  1. 自施設の類型(一般型・外部サービス利用型)と短期利用の有無を確かめ、届け出ている加算を類型ごとに一覧にする。短期利用の入居者に、一般型のみの加算(看取り介護加算など)を付けたままにしないよう注意します。
  2. 前提になる加算と、併せて算定できない加算を確かめる。看取り介護加算は夜間看護体制加算の算定が前提で、入居継続支援加算とサービス提供体制強化加算は同時に算定できません。夜間看護体制加算の届出を取り下げると、看取り介護加算も算定できなくなる点を見落としがちです。
  3. 入居者の割合や職員数で決まる要件(入居継続支援加算の対象者の割合と介護福祉士の数など)を、算定する月ごとに数える。届出時の数字をそのまま使い続けず、入退居や職員の退職があった月は必ず数え直します。
  4. 協力医療機関との会議の記録と、協力医療機関との取り決めの内容を照らし合わせ、100単位と40単位のどちらの区分に当たるかを確かめる。会議を開いていない月があると、区分以前に算定の前提を満たさなくなります。
  5. 減算の基準(身体拘束の適正化、虐待防止の措置、業務継続計画)を満たし続けているかを定期的に点検する。委員会の開催や研修の実施を記録に残していないと、実施していても確認できません。

要件を満たさなくなったときは、加算の変更の届出が必要になる場合があります。届出の時期や方法は、指定権者に確かめてください。

まとめ

特定施設入居者生活介護の加算は、類型ごとに算定できる範囲が告示で決まっており、医療・看取りの加算には、別の加算の算定が前提になるものや併せて算定できないものがあります。まず、自施設の類型と届け出ている加算を、この記事の表の単位数と算定できる類型に照らし合わせてください。そのうえで、看取り介護加算と夜間看護体制加算、入居継続支援加算とサービス提供体制強化加算の関係を確かめ、割合や人数で決まる要件を月ごとに数える体制を整えます。新たに加算を届け出るときは、最新の告示と指定権者の案内で要件を確かめてから準備を始めてください。

参考