介護報酬の加算は、厚生労働省が公開する算定構造の資料で確かめられます。サービスごとに、基本報酬と、それに付く加算・減算が一覧になった資料です。この記事では、加算一覧の見方、つまり算定構造の読み方を扱います。主な加算をサービス別に並べた一覧は「介護の加算一覧」にまとめています。
一覧を読むときは、次の3点を見ると、自事業所で確認すべき加算を絞れます。単位の付き方、届出の要否、支給限度額管理の対象かどうかです。届出が漏れていれば、要件を満たしていても算定できません。支給限度額管理の対象かどうかを取り違えると、ケアマネジャーの限度額の計算がずれます。利用者の負担に影響するおそれもあります。
以下では、算定構造の入手先と記号の読み方、3つの軸の見分け方を順に説明します。自事業所の加算一覧の作り方も整理します。内容は2026年10月時点のものです。2026年6月施行の改定を反映した資料に基づいています。
算定 構造の 入手先と 記号の 読み方
算定構造は、厚生労働省の「介護報酬」のページに掲載されています。資料名は「介護報酬の算定構造のイメージ(R8.6.1)」です。サービス別の表は、次の順に並んでいます。居宅サービス、居宅介護支援、施設サービス、介護予防サービス、地域密着型サービスです。2026年6月の改定箇所には、印が付いています。各表には、要介護度や時間区分ごとの基本部分と、それに付く加算・減算が「注」として並びます。加算そのものの位置づけは「介護の加算とは」で解説しています。
表の中の加算・減算は、「+○○単位」「×○○/100」などの記号で書かれています。記号ごとの計算のしかたと、読み違えやすい例は「介護報酬の「単位」とは」で解説しています。
(参考:厚生労働省「介護報酬の算定構造のイメージ(R8.6.1)」)
単位の 付き方の 見分け方
加算の単位の付き方は、大きく2つに分かれます。決まった単位数を足す定額のものと、所定単位数に率を掛ける割合のものです。介護職員等処遇改善加算は、1月の総単位数に加算率を掛ける形です。訪問介護の例で並べると、次のとおりです(2026年6月以降の値)。
付き方 | 算定構造での書き方 | 訪問介護の例 |
|---|---|---|
定額 | 「1回につき」「1日につき」「1月につき」と+○○単位 | 初回加算は1月につき+200単位、認知症専門ケア加算(Ⅰ)は1日につき+3単位 |
割合 | +○○/100 | 夜間または早朝の場合は+25/100 |
総単位数に加算率 | 所定単位×○○/1000 | 介護職員等処遇改善加算(Ⅰ)イは1月につき所定単位×270/1000 |
定額の加算は、算定する回数や日数を実績と照らして確かめます。割合の加算と処遇改善加算は、どの単位数に率を掛けるかを注で確かめます。たとえば訪問介護の処遇改善加算では、率を掛ける所定単位が注に定められています。「イからトまでにより算定した単位数の合計」です。
減算も、同じ記号で書かれています。通所介護の高齢者虐待防止措置未実施減算と業務継続計画未策定減算は、どちらも同じ率です。所定単位数の100分の1を差し引きます。減算の主な原因は「介護の減算とは」で整理しています。
(参考:厚生労働省「介護報酬の算定構造のイメージ(R8.6.1)」、「各種加算等自己点検シートについて」(通所介護)、「介護職員等処遇改善加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について(令和8年度分)」)
届出が 必要な 加算の 見分け方
届出が必要かどうかは、体制等状況一覧表に項目があるかで見分けます。正式な名称は「介護給付費算定に係る体制等状況一覧表」です。一覧表は、サービスの区分ごとに別紙が分かれています。主なものは次の3つです。
- 別紙1-1:居宅サービス・施設サービス・居宅介護支援
- 別紙1-2:介護予防サービス
- 別紙1-3:地域密着型サービス
記載のしかたは、厚生労働省の届出留意点の通知に定められています。
通所介護では、次の加算などが一覧表の項目です。生活相談員配置等加算、入浴介助加算、中重度者ケア体制加算、個別機能訓練加算、認知症加算です。口腔機能向上加算、科学的介護推進体制加算、サービス提供体制強化加算も項目にあります。一方、訪問介護の項目には、特定事業所加算や口腔連携強化加算などがあります。認知症専門ケア加算と介護職員等処遇改善加算も項目です。ただし、初回加算や緊急時訪問介護加算はありません。一覧表には、高齢者虐待防止措置や業務継続計画の策定状況の項目もあります。基準を満たさない場合は「減算型」と記載します。
届出が必要な加算でも、届出だけで算定できるわけではありません。通所介護の入浴介助加算は、単位数表の注に算定の条件が書かれています。「届出を行い、かつ、当該基準による入浴介助を行った場合」に、1日につき算定します。算定できるのは、実際にサービスを行った日です。
現場では「体制加算」「行為加算」と呼び分けることがあります。ただし、厚生労働省の資料上の区分ではありません。そのため、要否は一覧表の項目と単位数表の注で判断します。届出の提出先と締切は、指定権者(都道府県・市町村)の案内で確かめてください。届出の流れは「介護加算の届出(体制届)の流れ」で解説しています。
(参考:厚生労働省「介護給付費算定に係る体制等に関する届出等における留意点について(改正後全文)」、「各種加算等自己点検シートについて」(通所介護))
支給 限度額 管理の 対象外の 加算の 見分け方
算定構造には、サービスごとに「支給限度額管理の対象外の算定項目」が注記されています。対象外の項目は、区分支給限度基準額の計算に含めません。どの項目が対象外かは、サービスごとに違います。たとえば次のようになっています。
サービス | 支給限度額管理の対象外の算定項目 |
|---|---|
訪問介護 | 特別地域訪問介護加算、中山間地域等における小規模事業所加算、中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算、介護職員等処遇改善加算 |
訪問看護 | 特別地域訪問看護加算、中山間地域等における小規模事業所加算、中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算、緊急時訪問看護加算、特別管理加算、ターミナルケア加算、サービス提供体制強化加算、介護職員等処遇改善加算 |
通所介護 | 感染症又は災害の発生を理由とする利用者数の減少が一定以上生じている場合、事業所と同一建物に居住する者又は同一建物から利用する者に通所介護を行う場合、中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算、サービス提供体制強化加算、介護職員等処遇改善加算 |
介護職員等処遇改善加算は、区分支給限度基準額の算定対象から除外されます。このことは、処遇改善加算の通知にも書かれています。居宅介護支援事業所は、この区分をもとに利用者の限度額を管理します。
事業所が請求する単位数と、ケアマネジャーが限度額の計算に使う単位数がずれないようにします。自サービスの注記を確かめておくと、利用者に限度額を超えた思わぬ負担が生じるのを防げます。
(参考:厚生労働省「介護報酬の算定構造のイメージ(R8.6.1)」、「介護職員等処遇改善加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について(令和8年度分)」)
自事業所の 加算 一覧の 作り方
算定構造と体制等状況一覧表を並べ、次の順で自事業所の一覧を作ります。
- 算定構造で自サービスのページを開き、加算と減算を書き出します。介護予防サービスや地域密着型サービスは、別のページにあります。併設しているサービスの表も忘れずに開きます。
- 書き出した加算ごとに、3つの軸を記入します。単位の付き方、体制等状況一覧表の項目の有無、支給限度額管理の対象外かどうかです。同じ名前の加算でも、サービスによって限度額管理の扱いが違うことがあります。他サービスの一覧を流用しないようにします。
- 提出済みの体制等状況一覧表の控えと、請求ソフトに設定した事業所の体制を照合します。届出済みと未届出に分けます。2026年6月に、処遇改善加算の区分が変わりました。改定前の設定のままになっていないかも確かめます。
- 未届出の加算は、要件を確かめて、取得するかどうかを判断します。届出を出しただけでは算定できません。日々の記録で要件を満たせるかまで見ておきます。
要件の確認は、単位数表、大臣基準告示、留意事項通知の順に進めます。手順は「介護加算の算定要件の調べ方」で解説しています。
まとめ
加算一覧の見方の出発点は、サービス別の算定構造の資料です。自サービスの加算を、3つの軸で分けます。単位の付き方、体制等状況一覧表の項目の有無、支給限度額管理の対象外かどうかです。こうすると、確認すべき加算が絞れます。次に、提出済みの体制等状況一覧表と請求ソフトの設定を照合し、届出済みかを確かめてください。個々の加算の要件は、単位数表と告示・通知で確かめます。

