科学的介護推進体制加算は、LIFEへの情報の提出と活用を評価する加算です。提出するのは、利用者ごとのADL・栄養・口腔・認知症などの情報です。返ってくるフィードバックは、計画の見直しに使います。要件は「提出」と「活用」の2つです。提出は利用者全員分を、少なくとも3か月ごとに行います。期限は翌月10日です。

期限に1回遅れると、その月から事業所の利用者全員分が算定できなくなります。そのため、算定を始める前に、評価と提出の日程を組んでおきます。決まった間隔で評価を続ければ、利用者の状態の変化を同じ物差しで追えます。

この記事では、対象サービスと単位数、算定要件、提出が必要な月と期限を扱います。期限に間に合わなかったときの扱いと、算定前の準備も整理します。LIFEの運用主体の変更にも触れます(2026年10月時点)。LIFEの仕組みそのものは「科学的介護とは・LIFEとは」で解説しています。

対象サービスと単位数

対象サービスと単位数は次のとおりです。

サービスの区分

対象サービス

単位数

通所系

通所介護、地域密着型通所介護、認知症対応型通所介護、通所リハビリテーション

月40単位

居住系

特定施設入居者生活介護、地域密着型特定施設入居者生活介護、認知症対応型共同生活介護

月40単位

多機能系

小規模多機能型居宅介護、看護小規模多機能型居宅介護

月40単位

施設系(特養)

介護老人福祉施設、地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護

(Ⅰ)月40単位、(Ⅱ)月50単位

施設系(老健・介護医療院)

介護老人保健施設、介護医療院

(Ⅰ)月40単位、(Ⅱ)月60単位

次のサービスは、介護予防サービスも対象です。認知症対応型通所介護、通所リハビリテーション、特定施設入居者生活介護です。認知症対応型共同生活介護と小規模多機能型居宅介護も同じです。訪問系のサービスや短期入所など、表にないサービスにはこの加算はありません。施設系の(Ⅰ)と(Ⅱ)は、どちらか一方だけを算定します。

まず、自事業所のサービスが表のどの行に当たるかを確かめます。施設系では、(Ⅱ)に必要な情報(次の節)を毎回提出できるかで、区分を選ぶとよいでしょう。なお、2026年度の期中改定の内容は、処遇改善加算の拡充と基準費用額(食費)の見直しです。この加算の単位数と要件は変わっていません。

(参考:「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準」「指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準」、厚生労働省「令和3年度介護報酬改定における改定事項について」「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」「令和8年度介護報酬改定について」)

算定要件は「提出」と「活用」の2つ

提出の要件は、利用者ごとの基本的な情報を厚生労働省に提出することです。ADL値、栄養状態、口腔機能、認知症の状況その他の心身の状況等に係る情報です。施設系の(Ⅱ)では、これに加えて疾病の状況等も提出します。介護老人保健施設と介護医療院では「疾病、服薬の状況等」です。

提出する様式は、通所系・居住系・多機能系が別紙様式1、施設系が別紙様式2です。「基本情報」「総論」「口腔・栄養」「認知症」のうち、任意項目を除く情報を提出します。やむを得ない場合を除き、利用者全員分です。施設系で(Ⅱ)を算定する場合は、「総論」の診断名も提出します。介護老人保健施設と介護医療院は、服薬情報も提出します。項目ごとの評価のしかたは「LIFEの入力項目」で解説しています。

活用の要件は、提出した情報を使ってサービスを提供することです。必要に応じてサービス計画を見直すことなどを指します。留意事項通知は、次の一連の取組を求めています。計画の作成(Plan)と、計画に基づくケア(Do)を行います。続けて、多職種での検証(Check)と計画の見直し(Action)を行います。検証には、LIFEへの提出情報とフィードバックを使います。情報を提出するだけでは、算定の対象になりません。フィードバックの読み方は「LIFEのフィードバックの見方と活用」を参照してください。

この加算は、原則として利用者全員を対象に算定します。一部の利用者の情報だけを提出して、その人の分だけ算定することはできません。例外は、月末に利用を始めた利用者の情報を、やむを得ず提出できない場合などです。ほかの利用者全員の情報を提出していれば、算定できます。提出できなかった理由は、介護記録等に書いておきます。

(参考:「厚生労働大臣が定める基準」(平成27年厚生労働省告示第95号)第71号の5・第92号の3、老老発0315第4号 第2の1(2)、介護保険最新情報Vol.1285、老企第36号の科学的介護推進体制加算の項、「令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)」問172)

提出が必要な月と期限の数え方

提出は利用者ごとに行います。次の表の月の情報を、その翌月10日までに提出します。

利用者

提出が必要な月

算定を始める月にすでに利用している利用者

算定を始める月

算定を始めた月の翌月以降に利用を始めた利用者

利用を始めた月

すべての利用者

上の2つの月のほか、少なくとも3か月ごと

利用を終了する利用者

利用を終了する日の属する月

たとえば、10月から算定を始める場合です。10月に利用している利用者全員の算定開始時の情報を、11月10日までに提出します。3か月ごとの提出では、前回提出以降の評価時点の情報を出します。利用終了月の提出では、利用終了時の情報です。そのため、評価の予定は提出月から逆算して組みます。

提出頻度は、2024年度の改定で短くなりました。「少なくとも6か月に1回」から「3か月に1回」への変更です。ほかのLIFE関連加算も算定している利用者は、一定の条件で提出のタイミングをそろえられます。評価月を加算ごとに分けずにまとめると、管理しやすくなります。月末に利用を始めた利用者には、期限の例外があります。期限の数え方と例外は「LIFEの提出期限」で詳しく解説しています。

(参考:老老発0315第4号 第2の1(1)(2)、「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」)

期限に間に合わなかったときの扱い

提出すべき月の情報を期限までに提出できない事実が生じたときは、直ちに届出が必要です。その月のサービス提供分から、提出を行った月の前月まで算定できません。対象は利用者全員です。たとえば、4月の情報を5月10日までに提出できない場合です。4月サービス提供分から算定できなくなります。

ただし、やむを得ない場合は、利用者全員に算定できます。評価の予定日より前の緊急入院や、システムの不具合などです。この場合は、提出できなかった理由を介護記録等に書いておきます。やむを得ない場合に当たるか迷うときは、指定権者(都道府県・市町村)に確認してください。やむを得ない場合の例と、入院・死亡時の提出の扱いも「LIFEの提出期限」にまとめています。

(参考:老老発0315第4号 第2の1(1)、「令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.10)」問4)

2026年5月からのLIFEは国保中央会の運用

LIFEは2026年5月11日から、公益社団法人国民健康保険中央会(国保中央会)が運用しています。それまでは、厚生労働省が運用していました。提出する様式情報に変更はなく、提出先が国保中央会運用LIFEになりました。国保中央会運用LIFEには、電子証明書をインストールした端末でなければログインできません。電子証明書は、介護保険証明書または介護DX証明書です。

厚生労働省のLIFEからの移行作業の期限は、2026年7月31日でした。移行を終えていない事業所は、7月サービス提供分以降の算定要件を満たさないとされています。該当する場合は、国保中央会運用LIFEのヘルプデスクと指定権者に対応を確認してください。新しく算定を始める事業所は、国保中央会運用LIFEのホームページで新規利用申請を行います。

(参考:介護保険最新情報Vol.1484、Vol.1495、「公益社団法人国民健康保険中央会運用LIFEへの移行に係る再周知について」令和8年7月2日事務連絡)

算定を始める前の準備

算定を始める前に、次の順で準備します。

  1. 電子証明書を用意し、国保中央会運用LIFEの利用申請を行います。電子請求やケアプランデータ連携システムの端末を、LIFEにも使う場合があります。その場合、証明書の新規取得が不要なことがあります。証明書の発行には、電子請求受付システムのユーザID・パスワードが要ります。パスワードの再発行には時間がかかることがあるため、早めに確かめておきます。
  2. LIFEへの入力方法を決めます。介護記録ソフトからのCSV取込か、LIFE上での直接入力かです。どちらの場合も、様式情報を出す前に、国保中央会運用LIFEへの利用者情報の登録が必要です。登録を後回しにすると、最初の提出期限に間に合わなくなるおそれがあります。操作の流れは「LIFEのデータ提出方法」で解説しています。
  3. 利用者ごとに評価月を一覧にします。算定開始月・利用開始月・3か月ごと・利用終了月です。ADL・栄養・口腔・認知症の評価を、誰がいつ行うかも決めます。利用終了月の提出は抜けやすいので、退所・利用終了の連絡を担当者に回す流れも決めておきます。
  4. 算定開始の届出(体制届)を指定権者に出します。届出の締切と算定を始められる月は、サービスの種類で異なります。届出が遅れると、開始月が1か月ずれることがあります。詳しくは「介護加算はいつから算定できるか」で解説しています。
  5. フィードバックを多職種で確認する場(カンファレンスなど)と時期を決めます。計画を見直した内容は、記録に残します。提出だけで終わり、活用したことが記録から分からない状態は避けます。
  6. 毎月10日より前に、提出状況を確かめる日を決めます。提出できなかった利用者がいれば、理由を介護記録等に残します。期限を過ぎてから気づくと、利用者全員分の算定に影響します。

(参考:介護保険最新情報Vol.1484、Vol.1495、「公益社団法人国民健康保険中央会運用LIFEへの移行に係る再周知について」令和8年7月2日事務連絡)

まとめ

科学的介護推進体制加算は、LIFEへの情報の提出と活用で算定できる加算です。利用者全員の情報を、少なくとも3か月ごとに翌月10日までに提出します。フィードバックは、計画の見直しに使います。出発点は、自事業所のサービスが対象かの確認です。施設系なら、(Ⅰ)と(Ⅱ)のどちらを算定するかを決めます。そのうえで、国保中央会運用LIFEを使える状態にします。次に、利用者ごとの評価月と担当の一覧を作ります。フィードバックを確認する場を決めてから、届出を出してください。評価と見直しが続けば、利用者一人ひとりの状態の変化を職員で共有できます。ケアの内容も、根拠をもって調整しやすくなります。

参考