看取り介護加算は、医師が回復の見込みがないと診断した入所者に、同意を得た計画と施設の看取りに関する指針に基づいて看取り介護を行った施設が算定する加算です。特養では死亡日以前45日を上限に、死亡日に近いほど高い単位数を死亡月にまとめて算定します。(Ⅱ)は、配置医師との取り決めなどの体制があり、入所者が施設内で亡くなった場合に限られます(2026年9月時点)。

算定には、施設の体制を届け出るだけでなく、入所者ごとの説明と同意を記録で示せることが必要です。この記事では、特養(地域密着型を含む)を対象に、加算があるサービス、単位数、対象となる入所者、施設基準、退所・入院した場合の扱い、算定前に整える記録を順に説明します。

看取り介護加算があるサービスと老健のターミナルケア加算

「看取り介護加算」の名称で設けられているのは、介護老人福祉施設(特養)と地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護、特定施設入居者生活介護と地域密着型特定施設入居者生活介護、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)です。一方、介護老人保健施設は「ターミナルケア加算」、短期入所生活介護や訪問入浴介護は「看取り連携体制加算」で、名称も要件も別の加算です。特定施設とグループホームの看取り介護加算は施設基準が特養と異なるため、それぞれ「特定施設入居者生活介護の加算一覧」「グループホームの加算一覧」で確認してください。

(参考:厚生労働省「厚生労働大臣が定める施設基準」(平成27年厚生労働省告示第96号)、厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」)

特養の単位数は死亡日に近いほど高い

特養の看取り介護加算の単位数は、告示(平成12年厚生省告示第21号)で次のように定められています。2026年6月の改定後の算定構造でも同じ単位数で、地域密着型特養も同じ区分・単位数です。

死亡日からの期間

看取り介護加算(Ⅰ)

看取り介護加算(Ⅱ)

死亡日以前31日以上45日以下

1日72単位

1日72単位

死亡日以前4日以上30日以下

1日144単位

1日144単位

死亡日の前日と前々日

1日680単位

1日780単位

死亡日

1,280単位

1,580単位

(Ⅰ)と(Ⅱ)の違いは、最後の3日間の単位数です。同じ入所者に(Ⅰ)と(Ⅱ)を併せて算定することはできず、(Ⅱ)は入所者が施設内で亡くなった場合に限られます。どちらも日数に応じた単位を毎月算定するのではなく、死亡月にまとめて算定するため、請求は入所者が亡くなったあとになります。

(参考:厚生労働省「指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準」(平成12年厚生省告示第21号)、厚生労働省「介護報酬の算定構造のイメージ(R8.6.1)」)

算定できる入所者の3つの要件

対象となるのは、次の3つをすべて満たす入所者です。

  • 医師が、一般に認められている医学的知見に基づき、回復の見込みがないと診断した人
  • 医師・生活相談員・看護職員・管理栄養士・介護支援専門員などが共同で作成した介護の計画について、内容に応じた職員から説明を受け、同意している人(家族等が説明を受けて同意した場合を含む)
  • 看取りに関する指針に基づき、状態や家族の求めなどに応じて随時、介護記録などを活用した説明を受け、同意したうえで介護を受けている人(家族等の同意を含む)

随時の説明への同意を口頭で得た場合は、説明した日時と内容、同意を得たことを介護記録に書いておく必要があります。本人が十分に判断できる状態になく、家族に連絡しても来所がない場合でも、医師・看護職員・介護職員などが相談しながら共同して看取り介護を行っていれば算定できます。ただし、その場合は職員間の相談の日時と内容、本人の状態、家族に連絡したが来所がなかったことを記録し、その後も家族に連絡を取り続けることが求められています。

(参考:厚生労働省「厚生労働大臣が定める基準に適合する利用者等」(平成27年厚生労働省告示第94号)第61号・第48号、厚生労働省「指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について」(老企第40号))

(Ⅰ)の施設基準と(Ⅱ)で加わる配置医師との取り決め

(Ⅰ)の施設基準は次の5つです。

  • 常勤の看護師を1名以上配置し、施設の看護職員か、病院・診療所・訪問看護ステーションの看護職員との連携により、24時間連絡できる体制を確保している
  • 看取りに関する指針を定め、入所の際に入所者または家族等に内容を説明し、同意を得ている
  • 医師・生活相談員・看護職員・介護職員・管理栄養士・介護支援専門員などが協議し、看取りの実績などを踏まえて指針を適宜見直している
  • 看取りに関する職員研修を行っている
  • 看取りを行う際に、個室または静養室を利用できるよう配慮している

指針に盛り込む項目として、留意事項通知は、施設の看取りに関する考え方、終末期にたどる経過とそれに応じた介護の考え方、施設で行いうる医療行為の選択肢、医師や医療機関との連携体制(夜間・緊急時を含む)、入所者等への情報提供と意思確認の方法、説明資料と同意書の書式、家族への心理的支援の考え方などを例に挙げています。指針を作るときや見直すときは、この項目と照らし合わせるとよいでしょう。

(Ⅱ)は、この5つに加えて、配置医師緊急時対応加算の施設基準に適合していることが必要です。具体的には、緊急時の注意事項や病状などの情報共有の方法、曜日や時間帯ごとの医師との連絡方法、診察を依頼するタイミングなどを配置医師と施設の間で取り決め、1年に1回以上見直すこと、そして複数の配置医師を置くか、配置医師と協力医療機関の医師が連携して、施設の求めに応じ24時間対応できる体制を確保することです。協力医療機関との連携の要件は「協力医療機関連携加算の算定要件」で整理しています。

(参考:厚生労働省「厚生労働大臣が定める施設基準」(平成27年厚生労働省告示第96号)第45号・第44号の2・第54号・第54号の2、厚生労働省「指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について」(老企第40号)令和6年度改正の新旧対照表)

退所・入院した場合の算定

看取り介護の途中で入所者が自宅に戻ったり医療機関に入院したりして、そこで亡くなった場合でも、看取り介護加算は算定できます。ただし、退所した日の翌日から死亡日までの間は施設で看取り介護を行っていないため算定できず、その期間が45日以上あれば加算は算定できません。入院や外泊をはさんだ場合は、その期間を除いた日について算定でき、入院・外泊・退所の当日を算定できるかは、その日に施設サービス費を算定するかどうかで決まります。

注意したいのは、退所した月と亡くなった月が異なる場合です。加算は死亡月にまとめて算定するため、入所者側から見ると、退所した翌月に施設から前月分の自己負担を請求されることになります。そのため、退所・入院の際に、翌月に亡くなった場合は前月分の看取り介護加算の自己負担を請求する場合があることを説明し、文書で同意を得ておく必要があります。あわせて、入院先の医療機関が施設に本人の状態を伝えることについても、文書で同意を得ておきます。事前に説明しておけば、ご家族が予期しない請求に戸惑うことを防げます。

なお、(Ⅱ)は施設内で亡くなった場合に限られるため、(Ⅱ)を届け出ている施設で入所者が入院先などで亡くなったときにどの区分で算定するかは、指定権者(都道府県や市町村)の案内で確認してください。

(参考:厚生労働省「指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準」(平成12年厚生省告示第21号)、厚生労働省「指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について」(老企第40号))

算定前に整える記録と手順

施設として備えておくのは、看取りに関する指針と見直しを協議した記録、職員研修の実施記録、24時間連絡できる体制が分かる連絡体制表です。(Ⅱ)を届け出る場合は、配置医師との取り決めを書いた書面と、年1回以上の見直しの記録も必要です。届出に添える書類と算定後に残す書類の考え方は「介護加算の届出に必要な書類」で説明しています。

入所者ごとには、次の順で記録を残します。

  1. 入所時に指針を説明し、同意を得る。指針を見直したあとに、古い版の説明資料を使い続けないようにします。
  2. 医師の診断を受けて、多職種で看取り介護の計画を作成し、説明して同意を得る。診断日と説明した職員・日時が記録から分からない状態は避けます。
  3. 看取り介護の期間中は、身体症状の変化と介護、入所者と家族の気持ちの変化とケア、把握した意向とそれに基づく対応を介護記録に残す。口頭で得た同意を記録に書き忘れやすいので注意します。
  4. 退所・入院するときは、翌月死亡時の自己負担の請求と、医療機関から状態を聞くことについて説明し、文書で同意を得る。口頭の説明だけで済ませないようにします。
  5. 死亡月に、入院・外泊の期間と退所の翌日以降を除いて日数を数え、区分ごとに算定する。入院していた日まで数えてしまう誤りに気をつけます。

書類の様式や保存の扱いは、指定権者の案内や最新の留意事項通知で確認してください。

(参考:厚生労働省「指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について」(老企第40号))

まとめ

看取り介護加算は、回復の見込みがないと医師が診断した入所者に、同意を得た計画と指針に基づいて看取り介護を行ったことを、死亡月にまとめて評価する加算です。まずは施設基準の5項目と、(Ⅱ)を届け出るなら配置医師との取り決めが、記録で確認できる状態になっているかを点検してください。そのうえで、入所時・計画作成時・退所時の説明と同意の記録を残す手順を職員間で決めておくと、入所者とご家族が方針を理解したうえで最期の時間を過ごせるよう支えることにもつながります。特養で算定できるほかの加算は「特養(介護老人福祉施設)の加算一覧」で整理しています。

参考