協力医療機関連携加算は、協力医療機関との間で、入所者・入居者の同意を得て病歴等の情報を共有する会議を定期的に開いている場合に、1月につき算定する加算です。会議は概ね月1回以上が原則で、単位数は、協力医療機関が運営基準の要件を満たすかどうかで2つの区分に分かれます。

会議で平時から病歴や急変時の対応を共有しておけば、入所者の病状が急変したときに、協力医療機関の相談・診療・入院の受入れにつながりやすくなります。この記事では、対象サービスと単位数の区分、協力医療機関の要件、会議の頻度と進め方、算定の対象になる入所者、算定開始までの準備を、2026年9月時点の告示・通知・Q&Aで整理します。なお、2026年6月の期中改定は処遇改善加算の拡充と食費の基準費用額の見直しが中心で、この加算は見直されていません。

対象サービスと単位数の区分

2024年度の介護報酬改定で、施設系サービスとグループホームに新設され、特定施設では従来の医療機関連携加算がこの加算に見直されました。単位数は、告示で次のとおり定められています。

対象サービス

協力医療機関が要件を満たす場合

協力医療機関が要件を満たさない場合

介護老人福祉施設・地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護・介護老人保健施設・介護医療院

3要件を満たす場合は月50単位

月5単位

特定施設入居者生活介護(介護予防を含む)・地域密着型特定施設入居者生活介護

2要件を満たす場合は月100単位

月40単位

認知症対応型共同生活介護

2要件を満たす場合は月100単位

月40単位

施設系の上位区分は、2024年度は経過措置で月100単位でしたが、2025年4月からは月50単位です。どちらの区分も会議を定期的に開くことが前提で、区分を分けるのは協力医療機関が満たす要件です。まず自施設の協力医療機関がどの要件を満たしているかを確かめ、算定する区分を決めます。告示と留意事項通知の読み方は「介護加算の算定要件の調べ方」で解説しています。

(参考:厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」、「指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準」、「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準」)

協力医療機関の要件と施設の義務

上位区分の要件は、運営基準で協力医療機関に求められている次の体制です。施設系は3つすべて、特定施設とグループホームは1つ目と2つ目を満たす必要があります。

  • 入所者・入居者の病状の急変時等に、医師または看護職員が相談対応を行う体制を常時確保していること
  • 施設からの診療の求めがあった場合に、診療を行う体制を常時確保していること
  • (施設系のみ)病状の急変時等に、施設の医師または協力医療機関等の医師が診療し、入院が必要と認められた入所者の入院を原則として受け入れる体制を確保していること。この要件を満たす協力医療機関は病院に限られます

要件は、複数の医療機関を協力医療機関として定め、その組み合わせで満たしてもかまいません。この場合、上位区分を算定するには、それぞれの医療機関と会議を行う必要があります。一方、すべての要件を満たす医療機関を複数定めている場合は、そのうち1つの医療機関との会議で差し支えないとされています。

特養・老健・介護医療院では、3要件を満たす協力医療機関を定めることが運営基準上の義務です。ただし、2027年3月31日までは経過措置として努力義務とされています。特定施設とグループホームは、2要件を満たす協力医療機関を定める努力義務です。いずれのサービスも、1年に1回以上、協力医療機関との間で急変時等の対応を確認し、協力医療機関の名称等を指定権者に届け出なければなりません。施設系で現在5単位の区分で算定している場合は、経過措置が終わる前に、3要件を満たす医療機関との協議を進めておくとよいでしょう。

(参考:厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」、「指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準」第28条・附則(e-Gov法令検索)、厚生労働省「令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.2)」問13)

会議の頻度と進め方

会議は、概ね月1回以上開く必要があります。ただし、協力医療機関が電子的システムで施設の入所者の情報を随時確認できる体制がある場合は、年3回以上で差し支えありません。なお、協力医療機関に診療を求める可能性が高い入所者がいる場合は、より高い頻度で会議を開くことが望ましいとされています。

会議では、協力医療機関に診療を求める可能性が高い入所者や新規入所者を中心に、情報共有と急変時等の対応の確認を行います。毎回の会議で、入所者全員の詳細な病状を共有しなくてもかまいません。会議はテレビ電話装置等で行うことができ、その場合は個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」等を守ります。運営基準で求められる年1回以上の急変時等の対応の確認と一体的に行ってもよく、開催状況はその概要を記録しなければなりません。

出席者の職種は問われません。入所者の病歴その他の健康に関する情報を協力医療機関の担当者に説明でき、急変時等の対応を確認できる人が出席します。

「随時確認できる体制」の例は、都道府県が地域医療介護総合確保基金で整備する地域医療情報連携ネットワークに参加し、施設の医師等が記録した入所者の診療情報と急変時の対応方針を、協力医療機関がネットワーク上で確認できる場合です。この場合、施設の医師等は、入所者ごとに月1回以上記録します。状況に変化がなければ記録を省略できますが、その旨を文書等で少なくとも月1回、協力医療機関に提供します。

(参考:厚生労働省「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(短期入所サービス及び特定施設入居者生活介護に係る部分)及び指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について」新旧対照表、「令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)」問127、「令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.3)」問3)

算定の対象になる入所者と対象外の利用者

この加算は、協力医療機関との連携体制を評価する体制加算で、入所者全員について算定します。そのため、病歴等を協力医療機関と共有することに同意が得られない入所者にも算定できます。ただし、その入所者についても、急変時等に協力医療機関の診療等が受けられるよう取り組む必要があります。

一方、グループホームでは、要支援2の利用者(介護予防認知症対応型共同生活介護)にはこの加算が設けられておらず、算定できません。ショートステイ(短期利用)の利用者も、情報共有は居宅サービスのケアマネジャー等が行うため、対象外です。

(参考:厚生労働省「令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)」問151・152、「令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.7)」問1)

算定開始までの準備

  1. 協力医療機関との協定書等で、どの要件を満たしているかを確かめます。よくある失敗は、入院の受入れの要件を診療所に頼っている場合です。この要件を満たせるのは病院に限られます。
  2. 上位区分を算定するのに、要件を満たす医療機関の情報を指定権者に届け出ていない場合は、速やかに届け出ます。加算そのものは体制の届出を要しないと案内している自治体(船橋市など)もありますが、扱いは指定権者の案内で確かめてください。協力医療機関を変更・追加したのに届出を出し直していない、という漏れに気をつけます。
  3. 協力医療機関と、会議の頻度(月1回か年3回か)、開催方法(対面かテレビ電話装置等か)、毎回取り上げる入所者の選び方を決めます。年3回にするのは、地域医療情報連携ネットワークで施設の医師等が月1回以上記録する体制ができている場合だけです。
  4. 入所者・入居者から、病歴等を協力医療機関と共有することへの同意を得ます。同意が得られない入所者の情報は、会議で共有しないようにします。
  5. 会議の概要を記録する様式を決め、開催のたびに残します。会議を開いても記録がなければ、算定の根拠を示せません。算定後に残す書類の整理は「介護加算の届出に必要な書類」で解説しています。

(参考:厚生労働省「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(短期入所サービス及び特定施設入居者生活介護に係る部分)及び指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について」新旧対照表、船橋市「協力医療機関に関する届出について(定期的な届出及び協力医療機関連携加算)」)

まとめ

協力医療機関連携加算は、入所者の同意を得て協力医療機関と病歴等を共有する会議を定期的に開くことで算定でき、単位数は協力医療機関が満たす要件で決まります。出発点は、自施設の協力医療機関が運営基準のどの要件を満たしているかの確認です。そのうえで、協力医療機関と会議の頻度と進め方を決め、同意の取得と会議記録の様式を整えてから算定を始めます。施設系では、協力医療機関の義務の経過措置が2027年3月31日に終わることもあわせて確認しておきましょう。

参考