介護の加算とは、基本報酬に上乗せして算定する報酬です。事業所のサービス提供体制や、利用者の状況に応じて算定します。基本報酬は、基本的なサービス提供の費用です。一方、加算は、看取りや栄養改善、重度者の受け入れといった事業所の取組を評価します。要件を満たし、必要な届出をしてはじめて算定できます。

事業所は、加算ごとに「何を満たせば、いつから算定できるか」を押さえておく必要があります。算定の漏れと誤りを防ぐ前提になるためです。

この記事では、加算が評価するもの、単位数の決まり方、算定要件の型を扱います。届出と算定開始月の関係、算定中の加算の点検手順も整理します(2026年10月時点)。介護報酬全体の仕組みは「介護報酬とは」で解説しています。

加算は事業所のどんな取組を評価するのか

厚生労働省の資料では、介護報酬は基本報酬と加算で構成されると説明されています。加算は、事業所のサービスの提供体制や、利用者の状況に応じて評価するものです。評価している例として、次の3つが挙げられています。

  • 特別養護老人ホームで、一定の医療提供体制を整えたうえで看取りを行うこと
  • 多職種が協働して、低栄養状態の改善に取り組むこと
  • 訪問介護で、重度の方を受け入れられる体制を整えて受け入れること

基本報酬そのものの決まり方は「基本報酬とは」で解説しています。

加算は、介護給付費分科会で施行状況を確認し、関係者の意見を踏まえて3年周期で見直されます。ただし、3年の途中で変わることもあります。2026年度には、処遇改善加算の拡充などを行う期中改定が6月に施行されました。改定の流れは「介護報酬改定とは」で解説しています。名称・区分・要件は、改定のたびに変わり得ます。算定の際は、最新の告示と通知で確認してください。

(参考:厚生労働省老健局「介護保険制度の概要」令和7年7月)

単位数の3つの決まり方

加算の単位数の決まり方は、3通りに分かれます。定額の単位数を足すもの、所定単位数に割合を乗じるもの、総報酬単位数に加算率を乗じるものです。

単位数の決まり方

計算のしかた

加算の例(時点)

定額の単位数を足す

1回・1日・1月ごとに決まった単位数を足す

生産性向上推進体制加算:(Ⅰ)月100単位、(Ⅱ)月10単位(2024年度改定で新設。短期入所系・居住系・多機能系・施設系サービスが対象)

所定単位数に割合を乗じる

所定単位数の一定割合を足す

訪問介護の特定事業所加算:(Ⅰ)所定単位数の20%、(Ⅱ)所定単位数の10%(2024年度改定後)

総報酬単位数に加算率を乗じる

処遇改善加算を除く加減算後の総報酬単位数に、サービスごとの加算率を乗じる

介護職員等処遇改善加算:2026年6月以降、加算Ⅰイの加算率は訪問介護で27.0%、通所介護で11.1%

同じ加算でも、サービスの種類によって単位数や加算率が異なります。また、割合や加算率で決まる加算は、もとになる単位数が変われば額も変わります。自事業所のサービス区分の単位数表で確かめ、請求ソフトの設定と照らし合わせてください。加算を一覧で見るときの整理のしかたは「介護報酬の加算一覧の見方」で解説しています。

(参考:厚生労働省老健局「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」、厚生労働省老健局「令和8年度介護報酬改定について」社保審-介護給付費分科会 第253回 資料1)

算定要件にはどんな型があるか

要件は加算ごとに異なります。ただし、厚生労働省の資料から、次のような型に分けて見ることができます。

要件の型

加算の例

求められることの例

体制の整備

生産性向上推進体制加算(Ⅱ)

委員会の開催と安全対策、見守り機器等のテクノロジーの導入、1年以内ごとに1回の効果データの提供

データの提出

科学的介護推進体制加算

LIFEへのデータ提出を少なくとも3月に1回行う

計画と報告

介護職員等処遇改善加算

処遇改善計画書の提出と、事業年度ごとの実績報告書の提出

減算に該当しないこと

通所介護の個別機能訓練加算

人員欠如減算・定員超過減算に該当している場合は算定しない

体制を整えた時点で終わる要件は、多くありません。委員会の開催やデータの提出のように、算定中も続けて満たす必要のある要件が多くを占めます。自事業所の加算がどの型かを把握しておくと、日々の確認の頻度を決めやすくなります。

要件の細部は、単位数表・大臣基準告示・留意事項通知に分かれて書かれています。読む順番は「介護加算の算定要件の調べ方」を参考にしてください。減算の主な原因は「介護の減算とは」で解説しています。

(参考:厚生労働省老健局「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」、厚生労働省老健局長通知「介護職員等処遇改善加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について(令和8年度分)」老発0313第6号)

届出の時期と算定開始月の関係

要件を満たしたら、指定を受けた都道府県・市町村に体制の届出(体制届)を出します。算定を始められる月は、届出の時期とサービスの種類で決まります。サービスごとの開始月と期限は「介護加算はいつから算定できるか」で解説しています。届出の手順は「介護加算の届出(体制届)の流れ」にまとめています。

算定中の加算の点検手順

加算の根拠は、日々の記録や体制の積み重ねです。算定中の加算は、次の順で点検すると抜けが出にくくなります。

  1. 算定中の加算を一覧にし、名称・区分・届出日・根拠書類の保管場所を書きます。区分を変更したのに、一覧を届出当初の区分のままにしないよう注意します。
  2. 要件(人員配置・委員会・研修・データ提出など)ごとに、確認する頻度と担当者を決めます。LIFEへの提出のように期限のある要件を、担当者の記憶だけに頼らないことが大切です。
  3. 請求ソフトの加算の設定が、届出の内容と一致しているかを確かめます。区分変更の届出後に、ソフトの設定を前の区分のまま請求してしまう誤りがよくあります。
  4. 未算定の加算は、要件と現状の差を確かめます。単位数だけで判断せず、必要な人員配置や記録の負担とあわせて検討します。

要件ごとに担当を分けておくと、1人の担当者に確認が集中せず、抜けにくくなります。また、点検は、加算が評価している取組を確かめる機会にもなります。看取りや栄養改善、LIFEのデータを使った見直しが、ケアとして続いているかを見ます。点検項目の例は「介護加算のチェックリスト」にまとめています。

まとめ

加算は、事業所の体制や利用者の状況に応じて、基本報酬に上乗せされる報酬です。要件を満たして届出をすれば、届出の時期に応じて決まる月から算定できます。出発点は、算定中の加算の名称・区分・届出日・根拠書類を一覧にすることです。あわせて、それぞれの要件の型と確認の頻度を決めます。そのうえで、請求ソフトの設定と届出の内容が一致しているかを確かめます。未算定の加算は、要件と現状の差から検討してください。

参考