サービス提供体制強化加算は、介護福祉士の割合、勤続年数の長い職員の割合、常勤職員の割合のいずれかによって(Ⅰ)〜(Ⅲ)の区分が決まる加算です。割合の基準はサービスごとに違い、(Ⅰ)または(Ⅱ)の届出は、介護職員等処遇改善加算の上位区分の要件にもなっています。

割合は原則として前年度の実績で判定するため、年度の途中で職員が入れ替わってもすぐに区分が変わるわけではありません。一方で、年度が替わるたびに確かめ直す必要があり、区分が下がるときは届出が要ります。割合を毎年確かめておくことは、加算の返還を防ぐだけでなく、有資格者や経験の長い職員が利用者に続けて関わる体制を保つことにもつながります。この記事では、通所介護と施設・居住系サービスを中心に、単位数、区分ごとの職員割合の基準、割合の計算方法、届出後の管理、併算定の制限と処遇改善加算との関係、割合を試算して記録する手順を扱います。

対象サービスと単位数

単位数は、通所介護は1回につき、介護老人福祉施設・介護老人保健施設・介護医療院・特定施設入居者生活介護は1日につき、いずれも(Ⅰ)22単位、(Ⅱ)18単位、(Ⅲ)6単位です(2026年9月時点)。訪問入浴介護や訪問看護などにもこの加算はありますが、区分や単位数が異なるため、自サービスの単位数表で確認してください。なお、訪問介護にはこの加算がなく、介護福祉士の配置などは特定事業所加算で評価されます。

(参考:「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準」(平成12年厚生省告示第19号)、「指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準」(平成12年厚生省告示第21号))

区分ごとの職員割合の基準

基準は「厚生労働大臣が定める基準」(平成27年厚生労働省告示第95号)に、サービスごとに定められています。主なサービスの基準は次のとおりです。(Ⅰ)と(Ⅲ)は、並んでいる条件のいずれか1つを満たせば足ります。

区分

通所介護

認知症対応型共同生活介護・特定施設入居者生活介護

介護老人福祉施設・介護老人保健施設・介護医療院

(Ⅰ)

介護福祉士が70%以上、または勤続10年以上の介護福祉士が25%以上

介護福祉士が70%以上、または勤続10年以上の介護福祉士が25%以上(特定施設入居者生活介護は、あわせて質の向上に資する取組の実施が必要)

介護福祉士が80%以上、または勤続10年以上の介護福祉士が35%以上(あわせて質の向上に資する取組の実施が必要)

(Ⅱ)

介護福祉士が50%以上

介護福祉士が60%以上

介護福祉士が60%以上

(Ⅲ)

介護福祉士が40%以上、または勤続7年以上の職員が30%以上

介護福祉士が50%以上、常勤職員が75%以上、勤続7年以上の職員が30%以上のいずれか

介護福祉士が50%以上、常勤職員が75%以上、勤続7年以上の職員が30%以上のいずれか

割合の分母は条件ごとに異なり、介護福祉士の割合は介護職員の総数、常勤職員の割合は看護職員と介護職員の総数、勤続年数の割合はサービスを利用者に直接提供する職員の総数です。直接提供する職員とは、通所介護と介護老人福祉施設では生活相談員、看護職員、介護職員、機能訓練指導員を指します。通所介護の(Ⅲ)には常勤職員の割合の条件がない点に注意してください。また、どの区分も、定員超過利用や人員基準欠如による減算に該当していないことが前提です。自事業所がどの区分に当たるかは、(Ⅰ)から順に条件を当てはめていくと分かりやすいでしょう。

施設と特定施設入居者生活介護の(Ⅰ)で求められる「質の向上に資する取組」は、サービスの質の向上や利用者の尊厳の保持を目的に、事業所として継続的に行う取組です。留意事項通知では、LIFEを活用したPDCAサイクルの構築やICT・テクノロジーの活用などが例に挙げられています。取組の意義と目的を職員に周知し、続けて取り組むことが求められるため、実施内容を記録に残しておきます。ここに挙げていないサービスの基準は、告示で確認してください。

(参考:「厚生労働大臣が定める基準」(平成27年厚生労働省告示第95号)第23号・第43号・第59号・第72号・第87号・第93号・第100号の6、老企第36号 第二の7(26)、老企第40号 第二の4(24)・5(50))

割合の計算は前年度(3月を除く)の常勤換算の平均

職員の割合は、常勤換算方法で算出した前年度(3月を除く)の平均で判定します。2026年度であれば、2025年4月から2026年2月までの11か月分の平均を使うことになります。介護福祉士は各月の前月の末日時点で資格を取得している者を数え、勤続年数も各月の前月の末日時点の年数で数えます。勤続年数には、その事業所での勤務年数に加え、同一法人等が経営する他の介護サービス事業所、病院、社会福祉施設等で、利用者に直接サービスを提供する職員として勤務した年数を含められます。

前年度の実績が6か月に満たない事業所(新たに事業を開始または再開した事業所を含む)は、届出日の属する月の前3か月の平均を用います。そのため、新規開設の事業所が届け出られるのは4か月目以降です。この方法で届け出た事業所は、届出後も直近3か月間の割合を毎月維持しなければならず、割合を毎月記録し、所定の割合を下回ったときは直ちに届出を出す必要があります。

(参考:老企第36号 第二の3(12)④〜⑦、老企第40号 第二の2(28)①〜④)

届出後の管理と区分が変わるときの届出

前年度の実績で届け出ている事業所は、年度が替わるごとに、前年度(3月を除く)の平均で区分を確かめ直すことになります。要件を満たさなくなった場合や、満たさなくなることが明らかな場合は、速やかに届出が必要です。その場合、要件を満たさなくなった事実が生じた日から加算を算定できず、届出をせずに請求すると不正請求として返還の対象になります。届出の様式や期限は指定権者(都道府県・市町村)ごとに定めがあるため、事前に確認してください。体制届の出し方は「介護加算の届出(体制届)の流れ」で解説しています。

(参考:老企第36号 第一の5)

併算定の制限と処遇改善加算との関係

(Ⅰ)〜(Ⅲ)は、いずれか1つしか算定できません。介護老人福祉施設では、日常生活継続支援加算を算定している場合、この加算は算定できません(日常生活継続支援加算の要件は「日常生活継続支援加算とは」を参照)。

2026年6月以降の介護職員等処遇改善加算Ⅰイ・Ⅰロでは、キャリアパス要件Ⅴ(介護福祉士等の配置要件)として、サービスごとに定められた加算の届出が必要です。通所介護、介護老人保健施設、介護医療院などはサービス提供体制強化加算(Ⅰ)または(Ⅱ)が該当し、介護老人福祉施設は日常生活継続支援加算(Ⅰ)または(Ⅱ)、特定施設入居者生活介護は入居継続支援加算(Ⅰ)または(Ⅱ)でも満たせます。訪問介護では特定事業所加算(Ⅰ)または(Ⅱ)が該当します。そのため、サービス提供体制強化加算が(Ⅱ)から(Ⅲ)に下がると、処遇改善加算の区分にも影響する場合があります。区分が変わるときは処遇改善加算の変更の届出も必要になるため、両方をあわせて確認してください。処遇改善加算の区分と要件は「介護職員等処遇改善加算の区分と要件」で解説しています。

(参考:「指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準」(平成12年厚生省告示第21号)、「介護職員等処遇改善加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について(令和8年度分)」(令和8年3月13日老発0313第6号)3(1)⑥・別紙1表3)

割合の試算と毎月の記録の手順

  1. 職員台帳の整備:職員ごとに、職種、常勤・非常勤の別、介護福祉士の資格取得日、勤続年数の起算日、月ごとの勤務時間を一覧にします。採用後に資格を取った職員の取得日が台帳に反映されていないことがよくあります。
  2. 前年度の割合の計算:前年度の4月から2月までの月別の常勤換算数を出し、介護福祉士・常勤職員・勤続年数の条件ごとに割合を計算します。3月分を含めて平均しないよう注意します。
  3. 区分の判定:(Ⅰ)から順に条件を当てはめ、届け出ている区分と一致するかを確かめます。介護福祉士の割合の分母(介護職員)と勤続年数の割合の分母(直接提供する職員)を取り違えないようにします。
  4. 届出と処遇改善加算の確認:区分が変わる場合や要件を満たさなくなる場合は、指定権者に届け出ます。同時に、処遇改善加算のキャリアパス要件Ⅴに影響しないかを確かめます。サービス提供体制強化加算の届出だけを出し、処遇改善加算の変更の届出を忘れることがあります。
  5. 毎月の記録:退職、入職、資格取得があった月は割合の変化を記録し、翌年度の区分の見込みを早めにつかみます。前年度の実績で届け出ている事業所でも、年度末まで見込みを確認しないと、年度が替わってから区分の変更に気づくことになります。加算全体の点検方法は「介護加算の自己点検のやり方」で解説しています。

基準に届かない見込みのときは、介護福祉士資格の取得を目指す職員への支援や、勤続年数の条件を使える区分がないかを検討します。

まとめ

サービス提供体制強化加算の区分は、サービスごとに定められた介護福祉士・常勤職員・勤続年数の長い職員の割合で決まり、割合は原則として前年度(3月を除く)の常勤換算の平均で判定します。出発点は、職員台帳に資格取得日、雇用形態、勤続年数、月ごとの勤務時間がそろっているかを確かめることです。そのうえで前年度の実績から割合を試算し、届け出ている区分と一致するか、処遇改善加算の区分に影響がないかを確認して、変更が必要なら指定権者に届け出てください。

参考