小規模多機能型居宅介護の基本報酬は、登録者1人につき「1月につき」の包括報酬です。加算も多くが1月単位で、総合マネジメント体制強化加算(Ⅰ)の1,200単位のように単位数の大きいものがあるため、加算の漏れや減算の見落としは毎月の報酬にそのまま響きます。また、看護職員の配置や訪問体制の強化、認知症ケアの体制など、加算の要件の多くは登録者が自宅での暮らしを続けるための支援そのものです。
この記事では、2026年9月時点の「指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準」(告示)と、厚生労働省「介護報酬の算定構造のイメージ(R8.6.1)」で確かめた主な加算・減算を、「体制」「利用者の状態」「地域」の系統に分けて示します。あわせて、月額の基本部分と短期利用のどちらで算定できるか、2024年度改定と2026年6月の期中改定で変わった点、毎月の確認手順を扱います。全加算の網羅ではなく、介護予防小規模多機能型居宅介護は算定の構造が別のため扱いません。
基本 部分の 月額と 短期 利用の 区分
告示では、基本部分を「イ 小規模多機能型居宅介護費(1月につき)」と「ロ 短期利用居宅介護費(1日につき)」に分けています。イはさらに、事業所と同一建物に住む登録者かどうかで単位数が分かれます。
区分 | 算定の単位 | 要介護1 | 要介護5 |
|---|---|---|---|
イ(1)同一建物に居住する者以外 | 1月につき | 10,458単位 | 27,209単位 |
イ(2)同一建物に居住する者 | 1月につき | 9,423単位 | 24,516単位 |
ロ 短期利用居宅介護費 | 1日につき | 572単位 | 843単位 |
加算には「イを算定する場合のみ」「ロを算定する場合のみ」と範囲が決まっているものがあります。以下の表の「算定できる範囲」の列で、月額(イ)と短期利用(ロ)のどちらで算定できるかを確かめてください。短期利用を受け入れている事業所は、同じ加算でも利用者ごとに算定できるかどうかが変わります。
(参考:指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準 別表4、厚生労働省「介護報酬の算定構造のイメージ(R8.6.1)」)
2024年度 改定と 2026年 6月の 期中 改定で 変わった 加算
2024年度介護報酬改定(2024年4月施行)では、総合マネジメント体制強化加算に、地域包括ケアの推進と地域共生社会の実現に資する取組を評価する(Ⅰ)が新設され、従来の区分は(Ⅱ)として1,000単位から800単位に下がりました。認知症加算も、認知症介護実践リーダー研修等の修了者の配置などを要件とする(Ⅰ)(Ⅱ)が新設され、従来の(Ⅰ)(Ⅱ)は(Ⅲ)(Ⅳ)として単位数が見直されています。従来の区分のまま届け出ている事業所は、上位区分の要件を満たせるかを確かめてください。
2026年6月の期中改定では、介護職員等処遇改善加算の対象が介護職員から介護従事者に広がり、加算率が引き上げられました。あわせて、生産性向上や協働化に取り組む事業者向けの上乗せ区分として(Ⅰ)ロ・(Ⅱ)ロが新設されています。小規模多機能型居宅介護の加算率は次のとおりです。
処遇改善加算の区分 | 加算率 |
|---|---|
加算(Ⅳ) | 12.8% |
加算(Ⅲ) | 15.6% |
加算(Ⅱ)イ | 16.8% |
加算(Ⅰ)イ | 17.1% |
加算(Ⅱ)ロ | 18.3% |
加算(Ⅰ)ロ | 18.6% |
加算率は、イからヨまでの加算・減算を含めた単位数の合計に掛けます。ほかの加算の取り方が処遇改善加算の額にも響くため、区分を変えるときは両方をあわせて試算してください。区分ごとの要件と届出の期限は、「介護職員等処遇改善加算の区分と要件」で解説しています。
(参考:厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」「令和8年度介護報酬改定の概要」)
体制に関する 加算
事業所の人員配置や取組の体制を届け出て算定する加算です。月単位で単位数が大きいものが多く、届出が前提になります。
加算 | 単位数 | 算定できる範囲 |
|---|---|---|
総合マネジメント体制強化加算(Ⅰ) | 1月1,200単位 | 月額(イ)のみ |
総合マネジメント体制強化加算(Ⅱ) | 1月800単位 | 月額(イ)のみ |
訪問体制強化加算 | 1月1,000単位 | 月額(イ)のみ |
看護職員配置加算(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ) | 1月900・700・480単位 | 月額(イ)のみ |
科学的介護推進体制加算 | 1月40単位 | 月額(イ)のみ |
生産性向上推進体制加算(Ⅰ)(Ⅱ) | 1月100・10単位 | 月額(イ)と短期利用(ロ) |
サービス提供体制強化加算(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ) | 月額は1月750・640・350単位 | 月額(イ)と短期利用(ロ) |
サービス提供体制強化加算は、短期利用(ロ)では1日につき25・21・12単位と、月額とは別の単位数になります。区分が複数ある加算は、どれか1つの区分だけを算定します。職員割合の計算は「サービス提供体制強化加算の算定要件」、生産性向上推進体制加算は「生産性向上推進体制加算の要件」、LIFE への提出は「科学的介護推進体制加算の算定要件」で解説しています。
(参考:指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準 別表4、厚生労働省「介護報酬の算定構造のイメージ(R8.6.1)」)
利用者の 状態に 応じた 加算
利用開始直後、認知症、看取り、リハビリ職との連携など、個々の利用者への対応を評価する加算です。対象になる利用者がいる月だけ算定するため、月ごとに対象者を洗い出す必要があります。
加算 | 単位数 | 算定できる範囲 |
|---|---|---|
初期加算 | 1日30単位(登録日から30日以内) | 月額(イ)のみ |
認知症加算(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)(Ⅳ) | 1月920・890・760・460単位 | 月額(イ)のみ |
若年性認知症利用者受入加算 | 1月800単位 | 月額(イ)のみ |
看取り連携体制加算 | 1日64単位(死亡月に加算) | 月額(イ)のみ |
口腔・栄養スクリーニング加算 | 1回20単位(6月に1回まで) | 月額(イ)のみ |
生活機能向上連携加算(Ⅰ)(Ⅱ) | 1月100・200単位 | 月額(イ)と短期利用(ロ) |
認知症行動・心理症状緊急対応加算 | 1日200単位(7日まで) | 短期利用(ロ)のみ |
認知症加算の(Ⅲ)は認知症高齢者の日常生活自立度Ⅲ以上の登録者、(Ⅳ)は要介護2で自立度Ⅱの登録者が対象です。(Ⅰ)(Ⅱ)は、認知症介護実践リーダー研修等の修了者を配置し、自立度Ⅲ以上の登録者に専門的な認知症ケアを行う区分で、(Ⅰ)はさらに認知症介護指導者研修の修了者の配置と、職員ごとの認知症ケアの研修計画が要件になります。若年性認知症利用者受入加算は、認知症加算を算定している場合は算定できません。
看取り連携体制加算は、死亡日と死亡日以前30日以下の期間について、死亡月にまとめて加算します。看護職員配置加算(Ⅰ)を算定していない事業所は算定できません。生活機能向上連携加算は、(Ⅰ)が計画に基づく初回のサービスを行った月、(Ⅱ)が初回の月以降3月の間の加算で、(Ⅰ)と(Ⅱ)は同時に算定できません。
(参考:指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準 別表4、厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」)
地域に関する 加算と 支給 限度額 管理
事業所の所在地や登録者の居住地に応じて、所定単位数に一定の割合を加える加算です。
加算 | 加算の割合 | 算定できる範囲 |
|---|---|---|
特別地域小規模多機能型居宅介護加算 | 所定単位数の15/100 | 月額(イ)のみ |
中山間地域等における小規模事業所加算 | 所定単位数の10/100 | 月額(イ)と短期利用(ロ) |
中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算 | 所定単位数の5/100 | 月額(イ)のみ |
中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算は、通常の事業の実施地域を越えてサービスを提供した場合に算定します。
この3つの加算と、訪問体制強化加算、総合マネジメント体制強化加算、サービス提供体制強化加算、介護職員等処遇改善加算は、支給限度額管理の対象外です。これらを算定しても、利用者の区分支給限度基準額の枠は使いません。ケアマネジャーが支給限度額の残りを計算するときに取り違えやすいため、給付管理の担当者と共有しておくとよいでしょう。支給限度額管理の考え方は「介護報酬の加算一覧の見方」で解説しています。
(参考:指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準 別表4、厚生労働省「介護報酬の算定構造のイメージ(R8.6.1)」)
主な 減算と 過少 サービスの 判定
減算 | 減算の方法 | 対象になる状況 |
|---|---|---|
登録定員の超過 | 所定単位数の70/100で算定 | 登録者数が登録定員を超える |
従業者の員数の不足 | 所定単位数の70/100で算定 | 従業者の員数が基準に満たない |
過少サービスに対する減算 | 所定単位数の70/100で算定 | 提供回数の平均が週4回未満 |
身体拘束廃止未実施減算 | 所定単位数の1/100を減算 | 身体拘束の適正化の措置が未実施 |
高齢者虐待防止措置未実施減算 | 所定単位数の1/100を減算 | 虐待防止の措置が未実施 |
業務継続計画未策定減算 | 所定単位数の1/100を減算 | 業務継続計画が未策定 |
過少サービスに対する減算は、月額(イ)の算定に関わる減算です。通いサービス・訪問サービス・宿泊サービスの算定月の提供回数について、登録者(短期利用居宅介護費を算定する者を除く)1人当たりの平均回数が週4回に満たない場合に、所定単位数の70/100で算定します。登録者ごとではなく、事業所全体の平均で判定する点に注意してください。
身体拘束・虐待防止・業務継続計画の3つの減算は、それぞれ「厚生労働大臣が定める基準」を満たしていない場合に適用されます。委員会の開催や指針の整備などの具体的な基準は、告示と、指定権者である市町村の案内で確かめてください。
(参考:指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準 別表4、厚生労働省「介護報酬の算定構造のイメージ(R8.6.1)」)
毎月の 請求前の 確認 手順
- 登録者を、月額(イ)の登録者と短期利用(ロ)の利用者に分けて一覧にする。短期利用の利用者に、月額(イ)のみの加算を付けたままにしないよう注意します。
- 通い・訪問・宿泊の提供回数を集計し、短期利用を除く登録者1人当たりの週平均が4回以上かを確かめる。月末の締めだけで集計すると、下回っていたことに気付くのが請求の直前になるため、月の途中でも途中経過を見ます。
- 認知症加算と若年性認知症利用者受入加算の対象者を、日常生活自立度と要介護度で確かめる。前月の一覧をそのまま使わず、要介護認定の更新や区分変更があった登録者を見直します。
- 初期加算・看取り連携体制加算・口腔・栄養スクリーニング加算など、期間や回数に上限がある加算の対象者と日数を確かめる。登録日や前回のスクリーニング日の記録と照らし合わせます。
- 体制に関する加算について、届け出た区分の要件(職員の配置や割合、総合マネジメント体制強化加算の取組の記録など)が当月も満たされているかを確かめる。職員の退職や異動があった月は、届出の変更が要らないかを市町村に確認します。
まとめ
小規模多機能型居宅介護の加算は、月額の包括報酬に「体制」「利用者の状態」「地域」の加算が重なる構造で、加算ごとに月額(イ)と短期利用(ロ)のどちらで算定できるかが決まっています。まず、自事業所が届け出ている加算の区分と、この記事の表の単位数・算定できる範囲を照らし合わせてください。そのうえで、上位区分の要件を満たせる加算がないか、過少サービスなど減算の条件に近づいている項目がないかを毎月の手順で確かめます。区分の変更や新たな加算を届け出るときは、最新の告示と市町村の案内で要件を確かめてから準備を始めてください。

