基本報酬は、介護報酬のうち、基本的なサービス提供に係る費用として定められた部分です。単位数はサービスの種類ごとに、要介護度・提供時間・事業所の規模・居室の形態などの区分で決まっており、加算や減算はこの基本報酬を起点に計算されます。そのため、どの区分で算定しているかを取り違えると、請求額全体がずれます。
この記事では、2024年度改定後の単位数を例に、基本報酬の区分の見方と、加算・減算との関係、算定している区分を確かめる手順を扱います(2026年9月時点)。介護報酬全体の仕組みは「介護報酬とは|基本報酬・加算・減算の仕組みと支払いの流れ」で解説しています。
サービスごとに 単位数を 決める 区分
どの区分で単位数が分かれるかは、サービスの特徴によって異なります。2024年度改定後の単位数の例は次のとおりです。
サービス(算定の単位) | 単位数を決める区分 | 単位数の例(2024年度改定後) |
|---|---|---|
訪問介護(1回あたり) | サービスの内容(身体介護・生活援助)と提供時間 | 身体介護の20分未満が163単位、30分以上1時間未満が387単位。生活援助の20分以上45分未満が179単位 |
通所介護(1回あたり) | 事業所の規模と提供時間と要介護度 | 通常規模型で7時間以上8時間未満の場合、要介護1が658単位、要介護5が1,148単位 |
介護老人福祉施設(1日あたり) | 居室の形態と要介護度 | 従来型個室は要介護1が589単位、要介護5が871単位。ユニット型個室は要介護1が670単位、要介護5が955単位 |
同じサービスでも、利用者の要介護度や提供時間、事業所の規模が変われば単位数も変わります。自事業所のサービスについて、どの区分が単位数を左右しているかを把握しておくと、請求の点検で見るべき箇所が絞れます。
2026年度の期中改定(2026年6月施行)は、処遇改善分と食費の基準費用額の引上げ分で構成されています。改正告示では、訪問介護費・通所介護費・介護福祉施設サービスの基本報酬の項目は改正されておらず、上の単位数は2026年9月時点でも使われています。
(参考:厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」、厚生労働省「令和8年度介護報酬改定について」社保審-介護給付費分科会 第253回 資料1、厚生労働省「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準等の一部を改正する告示」令和8年厚生労働省告示第87号)
なお、基本報酬は円ではなく単位数で定められ、金額にするときは、地域区分とサービスの種類に応じた1単位の単価を掛けます。単位で定める理由は「介護報酬の「単位」とは|単位制の理由と単位数表の記号・請求での使われ方」で解説しています。
基本 報酬を 起点にした 加算と 減算の 計算
加算は、事業所のサービスの提供体制や利用者の状況に応じて、基本報酬に上乗せされるものです。一方、減算は、基準を満たしていない場合に所定単位数を一定の割合で減らすもので、例えば業務継続計画未実施減算は、施設・居住系サービスで所定単位数の100分の3、その他のサービスで100分の1です。また、介護職員等処遇改善加算は、ほかの加算・減算を反映した後の総報酬単位数に、サービスごとの加算率を掛けて算定します。
つまり、基本報酬の区分を誤ると、割合で計算する減算や処遇改善加算の単位数もあわせてずれます。報酬の増減を見るときも、基本報酬・加算・減算に分けて要因を確かめると、どこを直せばよいかが分かりやすいでしょう。加算と減算の詳細は「介護の加算とは|基本報酬との関係と単位数の決まり方・算定前の確認点」と「介護の減算とは|主な減算の種類と割合・人員欠如減算の猶予・月次の確認手順」で解説しています。
(参考:厚生労働省「介護保険制度の概要」令和7年7月、厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」、厚生労働省「令和8年度介護報酬改定について」社保審-介護給付費分科会 第253回 資料1)
改定で 基本 報酬が 上がるとは 限らない 理由
基本報酬の単位数は、報酬改定のたびにサービスと区分ごとに見直されます。2024年度改定では、訪問介護の身体介護(20分未満)が167単位から163単位に下がった一方、通所介護(通常規模型・7時間以上8時間未満・要介護1)は655単位から658単位に上がりました。介護予防通所リハビリテーションのように、運動器機能向上加算を廃止して基本報酬に包括した例もあります。全体の改定率がプラスでも、自事業所の区分の単位数が上がるとは限らないため、改定のときは区分ごとに新旧の単位数を確かめます。改定の流れは「介護報酬改定とは?」で解説しています。
(参考:厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」)
算定している 区分の 確認 手順
単位数の一次情報は、サービスごとの「費用の額の算定に関する基準」(告示)の別表(単位数表)です。居宅サービスは平成12年厚生省告示第19号、居宅介護支援は同第20号、施設サービス等は同第21号、地域密着型サービスは平成18年厚生労働省告示第126号です。これを手元に置いて、次の順に確かめます。
- 事業所として届け出ている区分(事業所の規模や居室の形態など)を確かめる。よくある失敗は、前年度の区分をそのまま使い続けることです。例えば通所介護の事業所規模は、前年度の1月当たりの平均利用延人員数で判定されるため、年度ごとに見直しが要ります。
- 利用者ごとの区分(要介護度や提供時間など)が、実際のサービスと請求で一致しているかを確かめる。よくある失敗は、要介護認定の更新や区分変更で要介護度が変わったのに、前の要介護度のまま請求することです。
- 請求ソフトに設定された単位数が、単位数表と一致しているかを確かめる。よくある失敗は、改定の施行月にソフトの更新が反映されていないことです。
区分を正しく算定することは、事業所の収入を守るだけでなく、利用者に正しい自己負担額を請求することにもつながります。利用者負担は報酬の額をもとに計算されるため、区分の誤りは利用者への請求額の誤りにもなるからです。
(参考:厚生労働省「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準等の一部を改正する告示」令和8年厚生労働省告示第87号、厚生労働省「通所介護・地域密着型通所介護・認知症対応型通所介護」社保審-介護給付費分科会 第258回 資料1)
まとめ
基本報酬は、サービスごとに要介護度・提供時間・事業所の規模などの区分で単位数が決まる、介護報酬の土台です。点検の出発点は、自事業所のサービスでどの区分が単位数を左右しているかを把握することです。そのうえで、事業所の区分・利用者ごとの区分・請求ソフトの単位数の3点を、単位数表と照らし合わせて確かめてください。

