加算の届出は、正式には「介護給付費算定に係る体制等に関する届出」(体制届)といいます。提出先は、事業所を指定した都道府県や市町村(指定権者)です。届出書・体制等状況一覧表・添付書類を提出し、受理されると加算を算定できます。

届出の時期の決まりには、周知期間を取るという目的があります。利用者やケアマネジャーが、支給限度額を管理できるようにするためです。受理後の掲示も、利用料に関する情報を利用者に示すためのものです。

この記事では、提出先と様式、そろえる書類、提出方法、受理までの流れを順に扱います。受理後の掲示と、算定できなくなったときの届出も整理します(2026年10月時点)。

届出が必要な項目の範囲

厚生労働省の通知では、届出を求める項目を2つに整理しています。1つは、告示に明記されている事項です。事前に都道府県知事または市町村長へ届け出なければならないとされています。もう1つは、届出事項として特に規定されていなくても、管理や審査に必要な事項です。ケアマネジャーが支給限度額を管理するときや、審査支払機関や保険者が請求を審査するときに使います。

これらの項目を並べた様式が「体制等状況一覧表」です。加算のほか、割引の有無やLIFEへの登録状況なども、一覧表の項目になっています。算定を考えている加算が一覧表のどの欄にあるかを、最初に確かめると進めやすいでしょう。

(参考:厚生労働省「介護給付費算定に係る体制等に関する届出等における留意点について」第1・第5の1)

提出先となる指定権者と一覧表の様式

提出先は、そのサービスの指定をした指定権者です。体制等状況一覧表の様式も、サービスの種類ごとに分かれています。

サービスの種類

提出先(指定権者)

体制等状況一覧表の様式

居宅サービス・介護保険施設

都道府県(指定都市・中核市では市)

別紙1-1(居宅サービス・施設サービス・居宅介護支援)

居宅介護支援

市町村

別紙1-1(居宅サービス・施設サービス・居宅介護支援)

介護予防サービス

都道府県(指定都市・中核市では市)

別紙1-2(介護予防サービス)

地域密着型サービス・地域密着型介護予防サービス

市町村

別紙1-3(地域密着型サービス・地域密着型介護予防サービス)

複数のサービスを行う事業所は、サービスごとに提出先と様式が違うことがあります。受付の窓口や提出方法の案内は、自治体ごとに出ています。指定を受けたときの通知や、指定権者のウェブサイトで確かめます。

(参考:介護保険法第41条・第42条の2・第46条ほか、厚生労働省「介護給付費算定に係る体制等に関する届出等における留意点について」第1)

届出書・体制等状況一覧表・添付書類の3点

そろえる書類は、届出書、体制等状況一覧表、添付書類の3点です。届出書は、別紙2「介護給付費算定に係る体制等に関する届出書(指定事業者用)」を使います。異動等の区分(新規・変更・終了)、異動項目、特記事項を書きます。異動項目には、体制等状況一覧表で選んだ項目をそのまま書きます。変更の届出では、特記事項に変更前と変更後の状況を詳しく書きます。

添付書類は、一覧表で届け出る内容によって決まります。割引の届出には別紙5、設備の届出には別紙6「平面図」を付けます。人員配置の届出には、別紙7「従業者の勤務の体制及び勤務形態一覧表」を付けます。加算ごとの届出書が定められているものもあります。書類ごとの内容と探し方は「介護加算の届出に必要な書類」で解説しています。

(参考:厚生労働省「介護給付費算定に係る体制等に関する届出等における留意点について」第2・第5の1)

電子申請・届出システムでの提出

留意事項通知では、届出は電子申請や電子メールでも行えるとしています。そのうえで、単位数表で「電子情報処理組織を使用する方法」によるとされた届出は、その方法で行います。やむを得ない事情でその方法を使えない場合は、電子メールなどの適切な方法によります。ただし、指定権者が電子での受理の準備を終えるまでは、この取扱いは適用されません。

電子の方法として厚生労働省が用意しているのが、「電子申請・届出システム」です。GビズIDでログインし、加算の届出書類はファイルとして添付して提出します。厚生労働省の資料によると、指定権者が受理の準備を終える期限は2026年3月31日でした。2026年7月の資料でも、電子申請が原則であることを事業所へ周知するよう、指定権者に求めています。

利用開始の案内は、指定権者が出します。提出先がこのシステムで受け付けているかは、指定権者のウェブサイトで確かめます。まだGビズIDを取得していない事業所は、提出の予定より前に取得しておくとよいでしょう。

電子で行った届出は、指定権者のコンピュータのファイルに記録された時に到達したものとみなされます。期限の近くに提出するときは、システムの申請一覧で受付の状況を確かめておくと安心です。

(参考:厚生労働省「令和6年度介護報酬改定について」掲載の留意事項通知(老企第36号・老企第40号)新旧対照表、厚生労働省「電子申請・届出システムについて」)

受理までの流れと算定開始月

指定権者は、届出書類をもとに要件を審査し、補正が必要なら補正を求めます。審査の期間は、原則として2週間以内が標準です。遅くても、おおむね1か月以内とされています(補正にかかる時間は除きます)。要件を満たしていれば、受理されます。要件を満たさず補正にも応じない場合は、不受理として書類が返されます。受理されると、その旨が届出者と国民健康保険団体連合会(国保連)に通知されます。

算定を始められる月は、サービスの種類によって決まり方が違います。訪問・通所系と居宅介護支援は、届出の日が毎月15日以前か16日以降かで決まります。短期入所や施設サービスは、受理された日が属する月で決まります。施設系は、補正のやりとりにかかる日数も見込んで早めに出すと安全です。サービスごとの開始月は「介護加算はいつから算定できるか」で解説しています。

(参考:老企第36号 第一の1、老企第40号 第一の1)

受理後の掲示とウェブサイト掲載

届出事項は、都道府県(指定都市・中核市では市。居宅介護支援は市町村)で閲覧に供されます。事業所も、利用料に関する情報として事業所内に掲示し、ウェブサイトに掲載します。ウェブサイトとは、法人のホームページ等か、介護サービス情報公表システムのことです。

掲載には例外があります。介護サービス情報公表制度で報告義務の対象外となる事業所は、掲載が望ましいとされるにとどまります。介護保険法施行規則第140条の44各号に該当する事業所です。また、居宅療養管理指導では、掲載しないことができる場合があります。自ら管理するホームページ等がなく、掲載が過重な負担となる場合です。

掲示とウェブサイトは、利用者やご家族が負担額を確かめる手がかりになります。加算を新たに算定するときや区分が変わったときは、両方を更新します。

(参考:厚生労働省「令和6年度介護報酬改定について」掲載の留意事項通知(老企第36号)新旧対照表 第1の2)

算定できなくなるときの変更・終了の届出

加算の区分を変えるときや加算をやめるときは、届出書の異動等の区分を「変更」「終了」にします。職員の退職などで体制が変わり、加算が算定できなくなる状況が生じたときは、速やかに届け出ます。そうなることが明らかなときも同じです。この場合、算定できなくなった事実が発生した日から、その加算は算定できません。

届出をしないまま請求すると不正請求となり、支払われた介護給付費は返還の対象になります。悪質な場合は、指定の取消しもありえます。また、指定権者は届出の内容を事後に調査することがあります。届出の時点で要件を満たしていなかったと分かれば、受理が取り消される場合があります。このとき、加算全体が無効になります。

返還が生じたときは、利用者が払いすぎた自己負担分も、計算書を付けて利用者に返します。要件に関わる変化があったら、その日付を記録します。その日から算定を止めたうえで、届け出ます。

(参考:老企第36号 第一の3〜6。2024年度改定の新旧対照表では、この部分は改正されていません)

提出から受理後までの手順

  1. 算定したい月から逆算して、提出日を決めます。施設系では、受理日を見込まずに月末近くに出すと、開始が1か月遅れることがあります。
  2. 指定権者のウェブサイトで、最新の様式と提出方法を確かめます。通知の改正で様式が変わるので、前回の届出で使ったファイルを使い回しません。
  3. 体制等状況一覧表で届け出る項目を選び、届出書の異動項目に同じ項目を書きます。一覧表と異動項目が食い違うと、補正を求められることがあります。
  4. 添付書類をそろえます。変更の届出で、変更前の勤務表を付けてしまう誤りに気をつけます。
  5. 提出し、受付の状況と補正の連絡を確かめます。補正の連絡を見落とすと、受理がその分遅れます。
  6. 受理されたら、掲示とウェブサイトの利用料の表示を届出の内容に合わせます。請求ソフトの体制の設定も合わせます。よくある失敗は、掲示だけ直してウェブサイトの更新を忘れることです。
  7. 要件を満たさなくなったら、速やかに変更・終了を届け出ます。届出が遅れた期間も算定を続けてしまうと、返還の対象になります。

まとめ

加算の届出は、指定権者へ届出書・体制等状況一覧表・添付書類を出して行います。受理後の掲示とウェブサイト掲載までで完了です。出発点は、自事業所のサービスごとに提出先・様式・提出方法を確かめることです。そのうえで、算定したい月から提出日を逆算します。受理後は、掲示・ウェブサイト・請求ソフトの設定をそろえます。要件が変わったときの変更・終了の届出まで、運用に組み込みます。加算の要件そのものの確かめ方は「介護加算の算定要件の調べ方」で解説しています。

参考