加算が算定できない原因は、要件の不足だけではありません。手続や時期の問題でも算定できなくなります。届出が算定開始月に間に合っていない場合や、届出のあとで体制が変わった場合です。LIFEへの提出が期限に遅れた場合も、算定できません。

原因を取り違えると、要件を整えても算定できない状態が続きます。算定できない期間の請求を見落とすこともあります。この記事では、通知で確認できる5つの原因と、算定できない範囲を扱います。原因を切り分ける手順も整理します。算定できない期間に請求していた場合の対応も扱います(2026年10月時点)。

算定できない5つの原因と算定できない範囲

届出の手続は、留意事項通知の「第1 届出手続の運用」に定められています。訪問・通所系のサービスは老企第36号、短期入所・特定施設・施設サービスは老企第40号です。LIFEへの提出期限は、LIFE関連加算の事務処理手順の通知に、加算ごとに書かれています。

原因

算定できない範囲

確認する資料

届出が受理されていない、または算定開始月の前である

算定開始月より前のサービス提供分

届出の受理の通知と届出日

届出後に要件を満たさなくなった

要件を満たさなくなった事実が発生した日以降

勤務表・資格証などの体制の記録

要件の一部が欠けている(届出の時点から欠けていた場合を含む)

要件を満たしていない期間

要件ごとの根拠の記録

LIFEへの提出期限に遅れた(科学的介護推進体制加算など)

提出できない事実が生じた月のサービス提供分から、提出した月の前月までの利用者全員の分

LIFEの提出状況

そのサービスに、その加算の設定がない

そのサービスでは算定できない

介護報酬の算定構造

このうち3つは、要件を満たしていても算定できなくなる原因です。届出と算定開始月、提出期限、加算の設定です。「要件は満たしているはずなのに算定できない」ときは、まずこの3つを疑います。

算定開始月は、サービスの種類で数え方が違います。訪問・通所系では、届出が15日以前か16日以降かで決まります。短期入所・特定施設・施設サービスでは、届出が受理された日で決まります。地域密着型サービスは、別の留意事項通知に定めがあります。種別ごとの開始月は「介護加算はいつから算定できるか」で確かめてください。

届出後に要件を満たさなくなったときは、速やかにその旨を届け出る必要があります。算定できないのは、要件を満たさなくなった事実が発生した日からです。届出の時点で要件を満たしていなかったことが、事後調査などで分かる場合もあります。指導のあとも改善されなければ、届出の受理が取り消され、加算全体が無効になります。改善された場合でも、要件を満たすまでは算定できません。

要件には、ほかの加算と同時に算定できないという決まりもあります。たとえば、特養の日常生活継続支援加算です。この加算を算定する場合、サービス提供体制強化加算は算定できません。通所介護の栄養アセスメント加算にも、決まりがあります。利用者が栄養改善サービスを受けている間は、原則として算定しません。栄養改善サービスが終了した日の属する月も同じです。

LIFEへの提出では、科学的介護推進体制加算などに遅れたときの定めがあります。提出すべき月の情報を提出できない事実が生じたら、直ちに届出を出します。その月のサービス提供分から提出した月の前月まで、利用者全員について算定できません。通知は、4月の情報を5月10日までに提出できない例を挙げています。この場合、4月サービス提供分から算定できません。遅れたときの扱いは加算ごとに書かれているので、算定している加算の項を確認します。詳しくは「LIFEの提出期限」で解説しています。

加算はサービスごとに設定されています。たとえば、入浴介助加算や個別機能訓練加算は、通所介護の算定構造にはあります。しかし、訪問介護の算定構造にはありません。

(参考:厚生労働省 老企第36号「実施上の留意事項について」第1の1(6)・4・5、第2の7(17)、同 老企第40号「実施上の留意事項について」第1の1(2)、第2の5(10)、同 老老発0315第4号「科学的介護情報システム(LIFE)関連加算に関する基本的な考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について」第2、同「介護報酬の算定構造のイメージ(R8.6.1)」)

原因を切り分ける手順

算定できない理由が分からないときは、次の順に確認します。手続や時期の問題を先に確かめます。要件の読み直しに時間をかける前に、原因が見つかることがあるためです。

  1. 届出の受理と算定開始月の確認:届出の受理の通知があるかを確かめます。受理の日と届出の日から、算定開始月はいつかも確かめます。短期入所・特定施設・施設サービスでは、受理された日で数えます。届出を出した日で数えてしまう誤りがよくあります。
  2. 届出後の体制の変化の確認:職員の退職や異動、配置の変更がなかったかを確かめます。変わった日がいつかも確かめます。変更を届け出ないまま、翌月以降も同じ加算を請求し続けてしまう例に気をつけます。
  3. 要件と根拠の記録の確認:要件を単位数表の注・大臣基準告示・留意事項通知から書き出します。すべての項目に根拠の記録があるかを確かめます。区分(Ⅰ・Ⅱなど)ごとの要件の違いや、ほかの加算と同時に算定できない決まりも見ます。区分の要件を取り違えていないかも確かめます。調べ方は「介護加算の算定要件の調べ方」で解説しています。
  4. 提出期限の確認:LIFEなど、期限のある提出が期限内に済んでいるかを確かめます。提出が遅れた月の分だけ請求を止めれば済むと考えがちです。しかし、算定できない範囲は提出した月の前月まで続きます。
  5. 算定構造と請求ソフトの設定の確認:算定構造に、その加算と区分があるかを確かめます。請求ソフトの設定が合っているかも見ます。通所介護と地域密着型通所介護のように、名前の近いサービスの取り違えに気をつけます。

確認の順番を固定しておくと、担当者が変わっても同じ手順で原因を探せます。5つを確かめても判断がつかないときは、届出先の自治体に確認してください。体制届の出し方は「介護加算の届出(体制届)の流れ」で整理しています。

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算定できない期間に請求していた場合の過誤調整と返還

算定できない期間に加算を請求していたと分かったときは、過誤調整で訂正します。審査決定済みの請求を取り下げて、正しく請求し直す手続です。手続の進め方は保険者によって異なることがあるので、請求先の保険者に確認します。請求のやり直し方は「介護加算の過誤請求への対応」で解説しています。

一方、要件を満たさなくなったのに届出をしないまま請求していた場合は、不正請求となります。支払われた介護給付費は、不当利得として返還の対象です。返還するときは、利用者負担金の過払い分も利用者に返します。返還の範囲は「介護加算の返還が必要になる場面」で確かめられます。原因を早く切り分けると、利用者に誤った負担を求め続けずに済みます。

(参考:厚生労働省 老企第36号「実施上の留意事項について」第1の5・6、同「介護保険施設等に対する監査マニュアル」3.4.1)

まとめ

加算が算定できない原因は、5つに分けて確かめられます。届出の受理と算定開始月、届出後の要件の変化、要件の欠けが、そのうちの3つです。残りは、提出期限と、サービスごとの加算の設定です。算定できないと分かったら、まず届出の受理の通知と届出日から算定開始月を確かめます。次に、手順の順に原因を絞り込みます。算定できない期間に請求していた分が見つかったら、保険者に確認して過誤調整を進めてください。

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参考