加算の管理は、管理台帳を作ることから始まります。「加算の管理表」と呼ぶ事業所もあります。加算ごとに、次の4点を一覧できるようにしたものです。いつから算定しているか、何を届け出たか、いつ何を提出するか、根拠資料はどこにあるかです。台帳があれば、提出期限の見落としに早く気づけます。要件を満たさなくなったのに算定を続けてしまう誤りにも気づけます。

この記事では、台帳に持たせる項目と記入例、提出物と届出の期限の書き方を扱います。台帳の運用手順と、管理システムで確かめたい機能も整理します(2026年10月時点)。

管理台帳(加算の管理表)に持たせる7つの項目

台帳の項目

記入する内容の例

記入例(仮の通所介護事業所)

加算の名称

加算名・区分・対象のサービス種類

科学的介護推進体制加算(通所介護)

届出と算定開始月

届出の提出日・受理日・算定開始月

2026年10月9日に届出、10月16日に受理、11月から算定

算定要件と根拠

告示・留意事項通知・Q&Aの該当箇所

老企第36号 第2の7(21)、LIFE関連加算の通知 第2の1

根拠資料の保管場所

勤務体制一覧表・計画書・記録の置き場所

共有フォルダの「加算」、LIFEの提出記録

定期的な提出物と期限

計画書・実績報告・LIFEへの提出など

LIFEへ11月分を12月10日まで。以後は少なくとも3月ごと

要件に影響する変更

職員の退職・異動、体制の変更と届出の要否

LIFEの担当者が交代する予定(引き継ぎを確認)

担当者と確認日

担当者名・最後に確認した日

事務の担当者名、2026年11月5日

1行を1つの加算にして、この7項目を列に並べると、算定中の加算を一覧で見渡せます。右の列は、仮の事業所を想定した記入例です。要件の根拠には、資料名だけでなく該当箇所まで書いておきます。改定や運営指導のときに、読み直す手間が減ります。

(参考:老企第36号 第1の1(6)・第2の7(21)、厚生労働省 老老発0315第4号「科学的介護情報システム(LIFE)関連加算に関する基本的な考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について」第2 1(1))

定期的な提出物と期限の書き方

定期的な提出が必要な加算は、提出物と期限を今年度の日付に直して台帳に書き込みます。

提出物

期限・頻度

処遇改善加算の計画書

その年度に初めて算定する月の前々月の末日

処遇改善加算の実績報告書

年度の最終の加算の支払月の翌々月の末日

生産性向上推進体制加算の実績データ

1年以内ごとに1回

LIFEへの様式情報

加算ごとに定められた頻度と期限

処遇改善加算の区分と期限の詳細は「介護職員等処遇改善加算の区分と要件」で解説しています。生産性向上推進体制加算の報告は「生産性向上推進体制加算の要件」で確かめられます。

LIFEへの提出の頻度は、加算ごとに異なります。どの加算で何を出すかは「LIFEへの提出が必要な加算の一覧」で確かめられます。LIFEは2026年5月11日から、国民健康保険中央会が運用しています。利用には電子証明書の設定が必要です。台帳の担当者欄には、LIFEを操作する担当者と使う端末も書いておきます。

(参考:厚生労働省「介護職員等処遇改善加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について(令和8年度分)」(令和8年3月13日老発0313第6号)、厚生労働省「令和6年度介護報酬改定 生産性向上推進体制加算について」(R8.3更新)、介護保険最新情報Vol.1495、厚生労働省「科学的介護情報システム(LIFE)について」)

算定開始月と変更時の届出の管理

算定を始めたい月から逆算して、届出の期限を台帳に書いておきます。算定開始月は、サービスの種類によって、届出の日か受理の日で決まります。サービスごとの開始月は「介護加算はいつから算定できるか」で確かめてください。届出の書類と流れは「介護加算の届出(体制届)の流れ」で解説しています。

事業所の体制について、加算が算定されなくなる状況が生じた場合は、速やかに届け出ます。算定されなくなることが明らかな場合も同じです。その事実が発生した日から、算定しません。届け出ずに請求すると、不正請求として返還を求められます。人員配置が要件の加算では、退職や配置換えのたびに、台帳の変更欄で影響を確かめます。

(参考:老企第36号 第1の1(6)・第1の5、老企第40号 第1の1(2))

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台帳の運用手順

  1. 算定中の加算を、体制等状況一覧表や直近の請求内容から洗い出して台帳に並べます。記憶だけで書き出すと、以前に届け出た加算が漏れやすくなります。
  2. 加算ごとに、要件の根拠となる告示・留意事項通知・Q&Aの該当箇所を書きます。資料の日付も書き添えます。2026年6月の期中改定より前の資料を、参照したままにしないためです。
  3. 提出物の期限を今年度の日付で書き込みます。前年度の日付をそのまま使うと、期限を1年読み違えます。
  4. 職員の退職・異動や体制の変更があったら、要件に影響するかを確かめます。届出の要否も記録します。影響が出るのは翌月からと思い込み、事実が発生した日を書き漏らすことがあります。
  5. 毎月決まった日に担当者が台帳を見直し、確認日を記録します。確認日の欄が空のままだと、誰がいつ確かめたかが後から分かりません。

最初は、表計算の台帳で1〜2か月ほど運用します。入力が続かない項目、期限を見落としそうになった場面、根拠資料を探した回数を書き留めます。この記録が、管理システムに求める機能を具体的にします。算定前後や変更時の確認項目は「介護加算のチェックリスト」で整理しています。

管理システムで確認したい5つの機能

  • 加算ごとの届出状況・算定開始月・区分を一覧で登録・検索できるか
  • 提出期限や見直しの時期を担当者ごとに通知できるか
  • 勤務体制一覧表・計画書・記録などの根拠資料を加算に紐づけて保管し、必要なときに出力できるか
  • 請求ソフト・記録ソフト・LIFEとの間で、CSVなどでデータを出力・取り込みできるか
  • 誰がいつ更新したかの履歴が残り、閲覧・編集の権限を分けられるか

厚生労働省の「介護ソフトを選定・導入する際のポイント集」も、確認項目を挙げています。LIFE登録用ファイルの出力機能と、情報セキュリティ・個人情報保護への対応です。データの改ざん防止の対策も挙げています。デモや試用では、表計算で運用した台帳のデータを実際に入力します。一覧・検索・通知・資料の紐づけが自施設の運用に合うかを、担当者に確かめてもらいます。製品の比べ方は「クラウド型の介護ソフトの選び方」で解説しています。

なお、システムの表示は、事業所が入力した情報にもとづくものです。要件を満たしているかを判断するものではありません。運営指導では、加算の算定要件にかかる文書等で適合性が確認されます。要件の最終確認は、告示・留意事項通知・Q&Aと、指定権者や保険者への問い合わせで行います。

(参考:厚生労働省「介護ソフトを選定・導入する際のポイント集」、厚生労働省「介護保険施設等 運営指導マニュアル」)

まとめ

加算の管理は、加算ごとに1行の台帳を作ることが土台です。算定開始月・届出・要件の根拠・提出物の期限・根拠資料の場所をまとめます。出発点は、算定中の加算を洗い出し、今年度の提出期限と届出の期限を書き込むことです。次に、表計算の台帳をしばらく運用します。足りなかった機能を基準に、管理システムのデモや試用で確かめます。要件どおりの体制と記録を保つと、加算が想定するサービスを利用者に実際に届けられます。利用者負担を含む請求の誤りも防げます。

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参考