LIFEのフィードバックは、LIFEに提出したデータをもとに作られます。自事業所の利用者全体や利用者一人ひとりの状態を、全国値や過去の値と並べて示すものです。読むときは、2点から始めます。全国の同じサービスと比べて値が低い・高い項目と、過去から変化した項目です。気付いた項目の要因を複数の職員で話し合い、計画の見直しにつなげます。
LIFE関連加算の留意事項通知は、LIFEへの提出情報とフィードバック情報の活用を求めています。PDCAサイクルでサービスの質を管理するためです。科学的介護推進体制加算では、情報を提出するだけでは算定の対象になりません。フィードバックを定期的に見る場を作ると、利用者の変化を同じ物差しで共有できます。職員の実感だけでは確かめにくい変化です。利用者に合ったケアへ、根拠をもって調整しやすくなります。
この記事では、2種類のフィードバックの違いと、フィードバック参照での開き方を扱います。グラフが表示されないときの確認、読み方、カンファレンスでの活用の流れも整理します。2026年5月に国保中央会運用LIFEへ移ってからの、集計対象の変化も扱います。画面の説明は、厚生労働省が2026年3月に行った説明会の資料に基づきます。LIFEの仕組みそのものは「科学的介護とは・LIFEとは」で解説しています。
事業所 フィードバックと 利用者 フィードバックの 違い
LIFEのフィードバックは、2024年度の介護報酬改定で見直されました。Excelファイルのダウンロードから、ブラウザ上で閲覧する方式に変わっています。資料では「令和6年度版フィードバック」と呼ばれています。種類ごとの違いは次のとおりです。
項目 | 事業所フィードバック | 利用者フィードバック |
|---|---|---|
示す内容 | 自事業所の利用者の平均値について、状態の変化と、全国の同じサービスの事業所の中での相対的な位置 | 自事業所の利用者個人の状態の変化 |
自事業所側の表示 | 利用者のデータを平均した値をグラフで表示 | 利用者個人の値を表とグラフで表示 |
全国値の絞り込み条件 | 地域・都道府県、平均要介護度、事業所規模 | 地域・都道府県、年齢階級、要介護度、障害高齢者の日常生活自立度、認知症高齢者の日常生活自立度 |
表示期間の単位 | 3か月単位 | 1か月単位 |
どちらも、最新の集計時点から最大12か月の範囲を選んで、時系列で比べられます。リハビリテーションマネジメント加算等は9か月です。グラフは、棒グラフや折れ線グラフのほかにも種類があります。ヒストグラムは、自事業所が全国の分布のどこにいるかを示します。レーダーチャートは複数の項目を1つにまとめ、箱ひげ図はばらつきを示します。
事業所全体の傾向をつかむときは、事業所フィードバックを開きます。個々の利用者の計画を見直すときは、利用者フィードバックを開きます。全国値は、要介護度などを自事業所や利用者に近い条件に絞り込んでおきます。似た状態の集団と比べられます。
(参考:厚生労働省「科学的介護情報システム(LIFE)第2回説明会 フィードバックの概要」)
フィードバック 参照での 開き方
フィードバックは、次の順に操作して開きます。
- LIFEにログインし、トップページの「フィードバック参照」を選びます。国保中央会運用LIFEは、電子証明書をインストールした端末でなければログインできません。カンファレンスで使う端末を決めておきます。
- 事業所フィードバックと利用者フィードバックを切り替え、見たい加算を選びます。かかりつけ医連携薬剤調整加算・薬剤管理指導のフィードバックは、事業所フィードバックだけです。利用者フィードバックの一覧に見当たらなくても、異常ではありません。
- サービス種類と表示期間を選びます。サービス種類には、様式を登録したサービスだけが表示されます。事業所フィードバックの表示期間は、3か月単位です。比べたい月がそのまま選べないことがあります。
- 利用者フィードバックでは、利用者IDで表示する利用者を選びます。IDは、先頭からの一致(前方一致)で検索します。IDの途中の数字だけを入れても見つかりません。
(参考:厚生労働省「LIFE第2回説明会 フィードバックの概要」、介護保険最新情報Vol.1484)
グラフが 表示されないときの 確認
自事業所や利用者のデータがない時点は、グラフや表に表示されません。利用者フィードバックの表は、空欄になります。一方、全国のグラフは、データがなくても表示されます。全国値だけが出ているときは、その時点の様式情報を提出したかを確かめます。
また、全国値の絞り込み条件を重ねると、グラフが表示されなくなることがあります。対象が11施設・事業所未満、または11名未満になった場合です。この場合は、絞り込み条件を1つずつ外して表示を確かめてください。なお、画面の一部が欠けて、一番下まで表示できないことがあります。ブラウザのズーム(画面の拡大率)を下げると、解決する場合があります。
(参考:「LIFE第2回説明会 フィードバックの概要」、「LIFE第1回説明会 よくあるお問い合わせ編」)
読み 始めは 全国値との 差と 過去からの 推移
厚生労働省の説明会資料は、表やグラフを次の2つの観点で確認する例を示しています。
- 全国の同じサービスの事業所・利用者と比べて、自事業所・利用者のどの項目の値が低いか、高いか
- 過去からの推移で、どの項目に変化があったか
差や変化が見つかっても、それだけで良い・悪いと判断はしません。利用者の背景やケアプラン、介護計画と照らして、要因を検討する手がかりにします。
差を読む前に、評価のしかたが職員の間でそろっているかも確かめます。説明会資料に、IADL項目の事例があります。フィードバックで、「していない」の割合が想定より多いと分かった事例です。実態がデータに反映されていないと気付きました。この事業所は、個別支援計画書を情報共有のツールにして、評価基準を統一しました。その結果、正確な値を記録できるようになっています。評価者によって付け方が違うと、全国値との差も推移も読み誤るおそれがあります。ADLの評価のそろえ方は「Barthel Indexの10項目と配点」で解説しています。
(参考:厚生労働省「LIFE第1回説明会 基礎編」(事例は「令和5年度 科学的介護に向けた質の向上支援等事業 事例集」事例2-1の一部))
カンファレンスでの 活用の 流れ
説明会資料が示すPDCAサイクルに沿うと、フィードバックの活用は次の流れになります。
- 事前に、見る加算と利用者、表示期間を決めて、フィードバックを開いておきます。ログインできる端末が限られるため、当日に開こうとすると手間取ることがあります。
- 複数の職員でフィードバックを見て、全国値との差や推移で気付いた点を出し合います。1人の担当者が読んで結果だけを伝える形にすると、現場の実感と照らし合わせる機会がなくなります。
- 変化や差が見られた項目について、要因を検討します。利用者の背景やケアプラン、介護計画をもとに考え、次に取り組む課題を整理します。直近の様子だけで判断せず、数か月の推移と合わせて見ます。
- 次の目標と計画を立て、計画に沿ってケアを行います。見直した内容と理由は、記録に残します。残しておかないと、次に見るときに何を確かめるのかが分からなくなります。
- 次の評価・提出のあと、再びフィードバックを開きます。見直しの結果が値に表れているかを確かめます。
気付きを共有する場としては、サービス担当者会議などが例に挙げられています。説明会資料は、認知症対応型共同生活介護の事例を紹介しています。この事業所は、ケアプラン見直しのカンファレンスを、月2回、ユニットごとに開いています。そこで、担当職員全員が、利用者フィードバックの変化の大きい項目を確認していました。
着目したのは、DBD13の「特別な理由がないのに夜中に起きて布団から出てしまう」です。6か月前の「ときどきある」が、「ほとんどない」に変わっていました。職員の実感とも合っていたため、夜間の見守りの計画を見直しています。定時巡回とセンサーマットのみにする計画です。次のカンファレンスでは、見守りの回数を減らしたあとも安眠できているようだと確認しました。推移を見ると、直近の状態だけでは立てにくい今後の見通しを、職員で共有できます。利用者にとって負担の少ないケアも選びやすくなります。
データでケアを見直す考え方は「科学的介護とは・LIFEとは」で解説しています。加算の要件としての「活用」は「科学的介護推進体制加算の算定要件」で確かめられます。
(参考:厚生労働省「LIFE第1回説明会 基礎編」、老企第36号の各LIFE関連加算の項)
国保 中央会 運用 LIFEで 変わった 集計 対象
LIFEは、2026年5月11日から、公益社団法人国民健康保険中央会(国保中央会)が運用しています。「フィードバック参照」は、国保中央会運用LIFEでも使えます。それまでの厚労省運用LIFEと同じです。ただし、集計対象は、国保中央会運用LIFEに登録された事業所・施設のデータだけです。厚労省運用LIFEに登録されたデータは、集計の対象外です。
このため、過去からの推移を見られるのは、移行後に提出したデータの範囲です。しばらくは、比べられる時点が少なくなります。移行前からの長い推移を確かめたいときは、保存しておいた過去のフィードバックと並べて見ます。なお、移行では利用者情報が引き継がれず、国保中央会運用LIFEでの再登録が必要でした。再登録や提出の操作は「LIFEのデータ提出方法」で解説しています。
厚労省運用LIFEは、2026年9月1日を停止日として案内されていました。厚生労働省は、停止後も過去のフィードバックが必要な場合の対応を案内していました。事前に、フィードバック画面からPDF等で出力して保存するという対応です。保存していない場合は、参照できるかを国保中央会運用LIFEのヘルプデスクに確かめてください。
(参考:介護保険最新情報Vol.1484、「公益社団法人国民健康保険中央会運用LIFEへの移行に係る再周知について」令和8年7月2日事務連絡)
まとめ
LIFEのフィードバックは、計画を見直すための材料です。全国値との差と過去からの推移を手がかりに、利用者の変化の要因を職員で検討します。
出発点は、事業所全体を見るか、利用者個人を見るかを決めることです。フィードバック参照で加算・サービス種類・表示期間を選び、差や変化のある項目を探します。
次に、フィードバックを複数の職員で確認する場と頻度を決め、見直した内容を記録に残してください。国保中央会運用LIFEでは、移行後に提出したデータだけが集計されます。移行前からの推移は、保存した過去のフィードバックと合わせて確かめます。
参考
- 厚生労働省「科学的介護情報システム(LIFE)第2回説明会 フィードバックの概要」(令和8年3月16日・19日実施)
- 厚生労働省「科学的介護情報システム(LIFE)第1回説明会 基礎編」(令和7年11月26日・12月2日実施)
- 厚生労働省「科学的介護情報システム(LIFE)第1回説明会 よくあるお問い合わせ編」
- 厚生労働省「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(訪問通所サービス、居宅療養管理指導及び福祉用具貸与に係る部分)及び指定居宅介護支援に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について」(平成12年3月1日老企第36号)
- 厚生労働省 介護保険最新情報Vol.1484「科学的介護情報システム(LIFE)の運営主体の移管に係る周知について」(令和8年3月23日)
- 厚生労働省「公益社団法人国民健康保険中央会運用LIFEへの移行に係る再周知について」(令和8年7月2日事務連絡)

