介護報酬の「単位」は、サービスの報酬額を表す共通の物差しです。サービスや加算ごとに、単位数が決まっています。その合計に1単位の単価(10円〜11.40円)を掛けると、円の額になります。
単位数と単価を分けて読めると、改定で変わったのがどちらなのかを切り分けられます。請求ソフトの設定が正しいかも、自分で確かめられます。その結果、利用者に請求する自己負担額の誤りも防げます。
この記事では、単位制が採られている理由と、単位数表(算定構造)の記号の読み方を扱います。支給限度額の管理と請求書で単位数を使う欄、改定後の確認も整理します。内容は、2026年10月時点の厚生労働省の資料に沿っています。
円ではなく 単位で 定める 理由
利用者に直接サービスを提供する従業者の賃金には、地域によって差があります。この差を介護報酬に反映するため、報酬を「単位」で定めています。1単位の単価は、サービスごと・地域ごとに設定されています。事業者に支払われるサービス費は、サービスごとに算定した単位数に単価を掛けた額です。その1割・2割または3割が、利用者の自己負担です。
単価は、事業所の所在地の地域区分と、サービスごとの人件費割合で決まります。地域区分は、1級地〜7級地とその他に分かれます。たとえば同じ1級地でも、訪問介護は1単位11.40円、通所介護は10.90円です。次の表は、訪問介護の身体介護中心・30分以上1時間未満を1回分だけ換算した例です。単位数は、2026年6月1日時点で387単位です。
地域区分 | 訪問介護の1単位の単価 | 387単位を1回分換算した額 |
|---|---|---|
その他 | 10円 | 3,870円 |
1級地 | 11.40円 | 4,411.80円 |
同じ単位数でも、事業所の所在地によって円の額が変わります。一方、単位数は全国共通です。他の地域の事業所の情報を参考にするときは、単位数で比べます。円の額は、自事業所の単価で計算し直すと読み違えを防げます。
級地とサービス種類ごとの単価の一覧は「介護報酬の1単位の単価」で解説しています。自事業所の級地の調べ方は「介護保険の地域区分一覧」にまとめています。
(参考:厚生労働省「地域区分」第262回社会保障審議会介護給付費分科会 資料3、「介護報酬の算定構造のイメージ(R8.6.1)」)
算定 構造の 資料で 見る 所定 単位数と 加減算の 記号
単位数は、告示の別表(単位数表)で定められています。厚生労働省は、その体系をサービスごとの図にした資料を公表しています。「介護報酬の算定構造のイメージ(R8.6.1)」です。冒頭の脚注は、加算・減算の記号の意味を次のように説明しています。
記号 | 計算のしかた |
|---|---|
+○○単位 | 所定単位数に○○単位を足す |
-○○単位 | 所定単位数から○○単位を引く |
+○○/100 | 所定単位数に、所定単位数×○○/100を足す |
-○○/100 | 所定単位数から、所定単位数×○○/100を引く |
×○○/100 | 所定単位数に○○/100を掛ける |
読み違えやすい点は3つあります。1つ目は、「+25/100」を25単位の加算と読んでしまうことです。「/100」の付いた記号は、所定単位数に対する割合を表します。訪問介護費の図では、身体介護中心・30分以上1時間未満の所定単位数が387単位です。夜間・早朝の場合は+25/100、深夜の場合は+50/100と示されています。
2つ目は、「+」「-」と「×」の違いです。「+」「-」の付いた割合は、元の単位数への上乗せや差し引きを表します。一方、「×」は単位数そのものの掛け算です。訪問介護費の図では、事業所と同一建物の利用者にサービスを行う場合などが×90/100です。90/100を足すのではなく、所定単位数の90/100を算定します。
3つ目は、率で示される加算の「所定単位」の範囲です。訪問介護の介護職員等処遇改善加算(Ⅰ)イは「1月につき+所定単位×270/1000」です。ここでの所定単位は、基本部分だけではありません。図のイからトまでにより算定した単位数の合計で、ほかの加算・減算を含みます。
算定の単位も、「1回につき」「1日につき」「1月につき」のように項目ごとに決まっています。単位数や率と一緒に確かめます。基本報酬の単位数の決まり方は「基本報酬とは」で扱っています。加算の位置づけは「介護の加算とは」で解説しています。
(参考:厚生労働省「介護報酬の算定構造のイメージ(R8.6.1)」、令和8年厚生労働省告示第87号)
支給 限度額の 管理と 請求書で 単位数を 使う欄
単位数は、報酬額の計算のほかにも使われます。区分支給限度基準額の管理と、介護給付費明細書の記載です。明細書の給付費明細欄には、サービスコード・単位数・回数を記載します。請求額集計欄では、単位数をもとに請求額を計算します。
請求額集計欄の項目 | 記載する内容 |
|---|---|
計画単位数 | 居宅介護支援事業者などが作成したサービス提供票の別表に記載された、その月の区分支給限度基準内単位数 |
限度額管理対象単位数 | そのサービス種類のうち、支給限度額管理の対象となる単位数の合計 |
限度額管理対象外単位数 | そのサービス種類のうち、支給限度額管理の対象外となる単位数の合計 |
給付単位数 | 計画単位数と限度額管理対象単位数のいずれか低いほうに、限度額管理対象外単位数を加えた単位数 |
単位数単価 | 事業所所在地におけるそのサービス種類の1単位の単価 |
保険請求額 | 給付単位数×単位数単価(小数点以下切り捨て)に保険給付率を掛けた額(小数点以下切り捨て) |
実際の請求では、1回ごとではなく月の給付単位数に単価を掛け、1円未満を切り捨てます。また、支給限度額管理の対象外とされている項目があります。訪問介護では、特別地域訪問介護加算や介護職員等処遇改善加算などです。どの項目が対象外かは、算定構造の図の欄外に書かれています。
計画単位数は、ケアマネジャーが作成するサービス提供票の別表に基づきます。実績の単位数と差が出たときは、請求の前に居宅介護支援事業所などと照らし合わせます。単位数から請求額と利用者負担額を出す手順は「介護報酬の計算方法」で解説しています。
(参考:厚生労働省「介護給付費請求書等の記載要領について」(介護保険最新情報Vol.1489)、「介護報酬の算定構造のイメージ(R8.6.1)」)
改定後の 単位数と 率の 確認
単位数や率は、介護報酬改定のたびに変わります。2026年度は期中改定が行われ、告示は2026年6月1日から施行されました。たとえば訪問介護の処遇改善加算(Ⅰ)は、所定単位の1000分の245でした。改正後は、加算(Ⅰ)イが1000分の270です。改定の内容と確認の手順は「介護報酬改定とは」で解説しています。
なお、単価のもとになる地域区分は、2027年度の改定に向けて見直しが議論されています。2026年10月時点では、現行の地域区分と単価がそのまま適用されます。
改定後の単位数は、次の順で確かめます。
- 厚生労働省の「介護報酬」のページから、算定構造のイメージの最新版を開きます。以前に保存したファイルを使い続けないよう、表題の日付(R8.6.1など)を確かめます。
- 算定している項目の単位数・率・算定の単位を、請求ソフトの設定と照合します。改定前の区分名や率のまま残っていないかを見ます。
- 自事業所の級地と単位数単価を確かめます。出張所(サテライト事業所)では、出張所の所在地の単価を使う点を見落とさないようにします。
(参考:令和8年厚生労働省告示第87号、厚生労働省老健局「令和8年度介護報酬改定について」、「地域区分」第262回社会保障審議会介護給付費分科会 資料3、「介護給付費請求書等の記載要領について」(介護保険最新情報Vol.1489))
まとめ
介護報酬の単位は、報酬額を表す全国共通の物差しです。単位数に、地域とサービスごとの1単位の単価を掛けると円の額になります。確認の出発点は、算定構造のイメージの最新版と、自事業所の級地です。算定している項目の単位数・率・算定の単位を、請求ソフトの設定と照合してください。2027年度の改定の告示が出たら、地域区分の見直しを含めて同じ手順で確かめます。

