介護報酬の地域区分は、職員の賃金の地域差を報酬に反映するための区分です。事業所の所在地によって、1級地から7級地とその他の8つに分かれます。区分ごとに、1単位の単価が変わります。同じサービスを同じ回数提供しても、所在地で報酬額と利用者負担額が変わります。

請求事務では、自事業所の級地と単価が、請求ソフトに正しく設定されていることが前提です。この記事では、区分ごとの上乗せ割合と市区町村を扱います(2026年10月時点)。級地の決まり方と確認手順、2027年度改定に向けた検討の状況も整理します。級地とサービス種類ごとの単価は「介護報酬の1単位の単価」にまとめています。

地域区分ごとの上乗せ割合と適用される市区町村の数

介護報酬は、事業所の所在する地域なども勘案して定められます(介護保険法第41条第4項など)。そのため、1単位の単価を、サービスごと・地域ごとに設定しています。単位制の考え方は「介護報酬の「単位」とは」で解説しています。

上乗せ割合と、各区分が適用されている市区町村の数は次のとおりです。

地域区分

上乗せ割合

適用される市区町村の数(2024〜2026年度)

1級地

20%

23(東京都特別区)

2級地

16%

7

3級地

15%

29

4級地

12%

24

5級地

10%

59

6級地

6%

137

7級地

3%

170

その他

0%

1,292

全国1,741の市区町村(2023年12月1日現在)のうち、1,292が「その他」です。7割を超える市区町村で、上乗せはありません。上乗せ割合が20%でも、単価がそのまま20%高くなるわけではありません。反映されるのは、サービスごとの人件費割合(70%・55%・45%)に応じた分だけです。1級地では、人件費割合70%の訪問介護が11.40円です。45%の通所介護は10.90円です。

級地ごとの市区町村は次のとおりです。5〜7級地は数が多いため、政令指定都市だけを載せています。

地域区分

都道府県と市区町村

1級地

東京都:特別区

2級地

東京都:調布市、町田市、狛江市、多摩市/神奈川県:横浜市、川崎市/大阪府:大阪市

3級地

埼玉県:さいたま市/千葉県:千葉市、浦安市/東京都:八王子市、武蔵野市、三鷹市、青梅市、府中市、小金井市、小平市、日野市、東村山市、国分寺市、国立市、清瀬市、東久留米市、稲城市、西東京市/神奈川県:鎌倉市、厚木市/愛知県:名古屋市、刈谷市、豊田市/大阪府:守口市、大東市、門真市/兵庫県:西宮市、芦屋市、宝塚市

4級地

茨城県:牛久市/埼玉県:朝霞市、志木市、和光市/千葉県:船橋市、成田市、習志野市/東京都:立川市、昭島市、東大和市/神奈川県:相模原市、横須賀市、藤沢市、逗子市、三浦市、海老名市/大阪府:豊中市、池田市、吹田市、高槻市、寝屋川市、箕面市、四條畷市/兵庫県:神戸市

5級地

京都市、堺市、広島市、福岡市など

6級地

仙台市、静岡市など

7級地

札幌市、新潟市、浜松市、岡山市、北九州市など

表にない市区町村は、後の手順で別紙から探します。

(参考:厚生労働省 第262回社会保障審議会介護給付費分科会 資料3「地域区分」、厚生労働大臣が定める一単位の単価)

級地の決まり方と経過措置・特例

各市町村の級地は、公務員(国家・地方)の地域手当の区分に準拠して決めるのが原則です。公平性・客観性を担保するためです。ただし、地域手当の見直しで、支給割合が下がる自治体もあります。そこで、報酬単価の大幅な変更を緩和する経過措置が設けられています。市町村の意向を確認したうえで、見直し前後の支給割合の範囲内で設定できます。この経過措置は、2026年度末まで延長されています。

また、隣接する地域との関係で、公平性を欠くと考えられる自治体には特例があります。市町村の意向を確認したうえで、隣接地域の区分の範囲内で引き上げ・引き下げを認めるものです。特例には「完全囲まれルール」など複数のルールがあり、条件は資料に整理されています。

2024年度改定では、38自治体で級地が変わりました(引き上げ35、引き下げ3)。級地は介護報酬改定の際に変わることがあるため、改定のたびに確認し直します。地域手当への準拠か、経過措置・特例かは、市町村の介護保険担当課に問い合わせると分かります。

(参考:厚生労働省 第262回社会保障審議会介護給付費分科会 資料3「地域区分」)

自事業所の級地の確認と請求ソフトとの照合

単価を決める地域区分は、指定を受けた事業所や施設が所在する地域で決まります。確認の手順は次のとおりです。

  1. 指定を受けた事業所(施設)の所在地の市区町村を確かめます。法人本部の所在地で調べてしまう誤りに注意します。
  2. 資料3の「(別紙)令和6年度から令和8年度までの間の地域区分の適用地域」で、その市区町村名を探します。名称は、2024年4月1日時点のものです。市区町村名の後ろにある括弧内の数字は、2021〜2023年度の級地です。現在の級地と取り違えないようにします。
  3. 見つかった列の級地を、自事業所の地域区分とします。どの列にもない市区町村は「その他」(上乗せ0%)です。表は、級地ごとに都道府県名の下へ市区町村名が並ぶ形です。見落として「その他」と判断しないよう、都道府県名から探します。
  4. 級地とサービス種類から1単位の単価を確かめ、請求ソフトの地域区分・単価と照合します。事業所の移転やサテライトの開設のあとは、設定の更新漏れも確かめます。

照合の手順と、出張所や移転した月の単価の扱いは「介護報酬の1単位の単価」で解説しています。級地と単価を正しく設定しておくと、利用者とご家族に正しい負担額を示せます。

(参考:厚生労働省 第262回社会保障審議会介護給付費分科会 資料3「地域区分」、厚生労働大臣が定める一単位の単価)

2027年度改定に向けた地域区分の検討状況

2026年8月5日の第262回介護給付費分科会で、地域区分が議題になりました。国家公務員の地域手当は、2024年の人事院勧告で見直されています。級地区分を設定する単位が、市町村から都道府県を基本とする形に広がりました。区分の段階数も、7から5になりました。これを踏まえ、2027年度介護報酬改定でどう対応するかが論点として示されています。公務員の地域手当に準拠する原則のもとでの対応です。ただし、資料は論点を示した段階で、級地の見直し案は示されていません。

現時点で請求に使う級地は、2024〜2026年度の適用地域のとおりです。2027年度改定の内容が決まったら、次の2点を確認します。改定の進み方は「介護報酬改定とは」で解説しています。

  1. 改定後の適用地域の一覧で、自事業所の所在地の級地が変わったかどうかを確かめます。経過措置の扱いが変わる場合もあるため、現在の級地のまま続くと決めつけないようにします。
  2. 級地が変わった場合は、適用が始まる月に合わせて請求ソフトの単価設定を更新します。月間の単位数に新旧の単価を掛けて、収入への影響も試算します。

(参考:厚生労働省 第262回社会保障審議会介護給付費分科会 資料3「地域区分」)

まとめ

介護報酬の地域区分は、事業所の所在地で決まる8つの区分です。級地とサービス種類で、1単位の単価が決まります。出発点は、指定を受けた事業所の所在地の市区町村を、適用地域の一覧で探すことです。次に、請求ソフトの地域区分・単価と照合します。2027年度改定の内容が決まったら、改定後の一覧で級地をもう一度確かめてください。

参考