介護報酬は、「単位数の合計×1単位の単価」で費用額を出します。そこから、保険請求額と利用者負担額に分けて計算します。四捨五入と切り捨ての箇所は、厚生労働省の通知で決まっています(2026年10月時点)。

端数処理の順番を知っておくと、請求ソフトの計算結果が正しいかを自分で確かめられます。利用者やご家族にも、請求額の内訳を説明しやすくなります。この記事では、単位数から利用者負担額までの手順と、端数処理の使い分けを扱います。利用者負担のずれと、請求ソフトの結果の確かめ方も整理します。単価の一覧や個別の加算の要件は扱いません。単位という考え方そのものは「介護報酬の「単位」とは」で解説しています。

単位数から利用者負担額までの5つの手順

計算は、次の順に進めます。

  1. 単位数の確認:サービスコード表で、算定するサービスの単位数を確かめます。加算などを含む合成コードの単位数は、すでに端数処理された整数です。合成コードの単位数に、同じ加算の割合をもう一度掛けないようにします。
  2. 加算・減算の反映:割合を掛ける加算・減算は、1回掛けるごとに小数点以下を四捨五入します。次の割合は、整数にした単位数に掛けます。割合をまとめて掛けてから四捨五入すると、結果がずれることがあります。
  3. 費用額の計算:単位数の合計に1単位の単価を掛け、1円未満を切り捨てます。単価は、事業所所在地とサービス種類で決まります。同じ地域区分でも、別のサービスの単価を使わないようにします。
  4. 保険請求額の計算:費用額に保険給付率(9割・8割・7割)を掛け、1円未満を切り捨てます。給付率は、利用者の負担割合(1〜3割)で決まります。負担割合証の割合と合っているかを確かめます。
  5. 利用者負担額の計算:費用額から保険請求額を引いた額が、利用者負担額です。費用額に負担割合を掛けて求めると、請求上の額と合わないことがあります。

手順5は、公費負担がない場合の計算です。公費負担がある場合は、保険請求額に加えて、公費請求額と公費分本人負担も差し引きます。また、区分支給限度基準額の管理が必要なサービスでは、手順3・4に「給付単位数」を使います。計画単位数と限度額管理の対象単位数のうち、低いほうに対象外の単位数を加えた数です。単価は「介護報酬の1単位の単価」で確かめられます。コード表の読み方は「介護のサービスコードとは」で解説しています。

(参考:厚生労働省 老企第36号 第2の1⑴、「介護給付費請求書等の記載要領について」、介護保険法第41条第4項・第49条の2)

加算・減算の割合は1回ごとに四捨五入

単位数の計算では、割合を掛けるたびに四捨五入し、常に整数に次の割合を掛けます。ただし、単位数の合計に割合を掛ける加算・減算もあります。使い分けと、老企第36号の計算例は次のとおりです。計算例は、訪問介護(身体介護中心・30分以上1時間未満)の387単位によるものです。2024年3月の改正後の単位数です。

計算の場面

端数処理

老企第36号の計算例

割合を掛ける加算・減算(次の行のものを除く)

1回掛けるごとに小数点以下を四捨五入

夜間または早朝の加算(所定単位数の25%):387×1.25=483.75→484単位。続けて特定事業所加算Ⅳ(所定単位数の3%):484×1.03=498.52→499単位

特別地域加算など支給限度額管理の対象外の加算、事業所と同一建物の利用者などへの減算

1回ごとではなく、対象となる単位数の合計に割合を掛ける

月6回で特別地域加算(15%)の対象:387単位×6回=2,322単位、2,322×0.15=348.3→348単位

単位数から金額への換算

1円未満を切り捨て

次の節の表のとおり

通知は、1行目の例を一度に掛けてから四捨五入するのではない、としています。387×1.25×1.03=498.2625は498単位となり、1単位少なくなります。

記載要領では、介護職員等処遇改善加算も、合計に率を掛けて算出します。対象のサービスコードの所定単位数の合計に率を掛け、小数点以下を四捨五入します。ただし、2026年の改正で、例外が加えられました。地域包括支援センターが行う介護予防支援の処遇改善加算です。この場合は、サービスコード表で定められた固定値を記載します。

(参考:厚生労働省 老企第36号 第2の1⑴①・②、「介護給付費請求書等の記載要領について」)

金額への換算は1円未満の切り捨て|1級地・訪問介護・月8回の計算例

前の例(499単位)を月に8回提供した場合の計算です。事業所は1級地で、訪問介護の単価は11.40円です。利用者は1割負担(保険給付率9割)とします。計算の手順を示す例で、実際の請求額ではありません。介護職員等処遇改善加算は含めていません。

計算の段階

計算

端数処理後の額

月の単位数

499単位×8回

3,992単位

費用額

3,992単位×11.40円=45,508.80円

45,508円(1円未満切り捨て)

保険請求額

45,508円×0.9=40,957.2円

40,957円(1円未満切り捨て)

利用者負担額

45,508円−40,957円

4,551円

月の単位数と費用額は、老企第36号に示された計算例のとおりです。保険請求額と利用者負担額は、記載要領の計算式に当てはめました。計算式は「保険請求額=《《給付単位数×単位数単価》×保険給付率》」です。《 》は、小数点以下の切り捨てを表します。利用者負担額は「《給付単位数×単位数単価》-保険請求額」です。切り捨ては費用額と保険請求額で行い、利用者負担額は引き算で決まります。45,508円×0.1で求めると4,550円となり、1円合わなくなります。

(参考:厚生労働省 老企第36号 第2の1⑴②、「介護給付費請求書等の記載要領について」)

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都度徴収した利用者負担の合計と請求上の額のずれ

記載要領は、サービス提供のたびに利用者負担を徴収している場合にも触れています。端数処理により、徴収した合計と請求上の額が一致しない場合がありうる、としています。1回ごとに切り捨てた合計と、月の合計から計算した額とでは、切り捨てる回数が違うためです。

都度徴収をしている事業所は、月末に2つの金額を照合します。請求ソフトが出した利用者負担額と、実際に受け取った金額です。差額が出たときの扱いも、事業所内で決めておきます。理由と扱いを前もって説明しておくと、利用者やご家族が金額の違いに戸惑わずに済みます。

(参考:厚生労働省「介護給付費請求書等の記載要領について」)

請求ソフトの計算結果の確かめ方

請求ソフトは、端数処理を自動で行います。ただし、導入時や報酬改定の後は、1件を手計算して結果を照らし合わせます。設定やマスタの誤りに気づけるためです。次の順に確かめます。

  1. 割合で算定する加算が複数ある利用者を1人選び、その月の実績を用意します。加算のない利用者だけで確かめると、四捨五入の順番の誤りが見つかりません。
  2. 実績のサービスコードと単位数を、改定後のサービスコード表と照らし合わせます。改定前のコード表と見比べないようにします。
  3. 1回ごとに四捨五入する加算と、合計に割合を掛ける加算を分けて、単位数を計算します。特別地域加算や処遇改善加算を、1回ごとに計算しないように注意します。
  4. 費用額・保険請求額・利用者負担額を、手順3〜5の順に計算し、ソフトの結果と比べます。給付率は、前月の値ではなく、その月に有効な負担割合証の割合で計算します。
  5. 結果が合わないときは、どの段階でずれたかを控え、ソフトの提供元に設定を問い合わせます。

負担割合の判定と負担割合証の見方は「介護保険の自己負担割合」で解説しています。請求ソフトが対応する処理は「介護請求ソフトとは」を参照してください。

まとめ

介護報酬は、単位数の段階では、割合を掛けるたびに四捨五入します。金額の段階では、費用額と保険請求額をそれぞれ1円未満切り捨てます。利用者負担額は、引き算で出します。確かめるときは、1回ごとに四捨五入する加算か、合計に割合を掛ける加算かの区別から始めます。次は、割合で算定する加算がある利用者を1人選び、ソフトの結果を手計算で確かめてください。

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参考