介護報酬の1単位の単価は、10円が基本です。事業所所在地の地域区分(級地)と、サービス種類の組み合わせで決まります。範囲は10円〜11.40円です。単価を誤って登録すると、保険請求額だけでなく利用者負担額も誤ります。この記事では、2026年10月時点の単価の一覧と表の読み方を扱います。自事業所の単価を確かめ、請求ソフトの設定と照合する手順も整理します。

サービス種類ごとの人件費割合の区分

介護報酬は、サービスごとの単位数に1単位の単価を掛けて、円に換算します。単価に地域差を付けているのは、介護サービスの従業者の賃金に地域差があるためです。その差を単価にどれだけ反映させるかは、サービス種類ごとに決まっています。費用に占める人件費の割合(人件費割合)によって、3つの区分に分けられています。70%・55%・45%の3つです。単位数そのものの考え方は「介護報酬の「単位」とは」で解説しています。

人件費割合の区分

対象のサービス種類

人件費割合70%

訪問介護、訪問入浴介護、訪問看護、居宅介護支援、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、夜間対応型訪問介護

人件費割合55%

訪問リハビリテーション、通所リハビリテーション、認知症対応型通所介護、小規模多機能型居宅介護、看護小規模多機能型居宅介護、短期入所生活介護

人件費割合45%

通所介護、地域密着型通所介護、短期入所療養介護、特定施設入居者生活介護、地域密着型特定施設入居者生活介護、認知症対応型共同生活介護、介護老人福祉施設、地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護、介護老人保健施設、介護医療院

区分なし(どの級地でも10円)

居宅療養管理指導、福祉用具貸与

介護予防サービスは、対応する介護サービスと同じ区分に入ります。介護予防支援は、居宅介護支援と同じ70%の区分です。居宅療養管理指導と福祉用具貸与は、介護予防を含めて、どの級地でも1単位10円です。自事業所のサービスがどの行に入るかを、先に確かめておきます。そうすると、次の単価表で見る列が決まります。

(参考:厚生労働省「厚生労働大臣が定める一単位の単価」(平成27年厚生労働省告示第93号)、第262回社会保障審議会介護給付費分科会 資料3「地域区分」)

級地と人件費割合の区分別の1単位の単価

2026年8月の介護給付費分科会の資料に、現行の単価として示された表です。

級地

上乗せ割合

人件費割合70%のサービス

人件費割合55%のサービス

人件費割合45%のサービス

1級地

20%

11.40円

11.10円

10.90円

2級地

16%

11.12円

10.88円

10.72円

3級地

15%

11.05円

10.83円

10.68円

4級地

12%

10.84円

10.66円

10.54円

5級地

10%

10.70円

10.55円

10.45円

6級地

6%

10.42円

10.33円

10.27円

7級地

3%

10.21円

10.17円

10.14円

その他の地域

0%

10円

10円

10円

自事業所の級地の行と、サービス種類の区分の列が交わるセルが単価です。同じ級地でも、区分によって単価が違います。たとえば4級地では、訪問介護が10.84円、通所介護が10.54円です。なお、上乗せ割合は、そのまま単価に掛けるものではありません。人件費割合を掛けた分だけが上乗せされます。告示は、単価を「10円に割合を乗じて得た額」としています。割合は、千分の単位で定められています。1級地の人件費割合70%の区分なら、千分の千百四十です(1+20%×70%=1.14)。

現行の地域区分の適用地域は、2024年度から2026年度までのものです。2027年度改定での見直しは、まだ決まっていません。自事業所の級地の調べ方と検討の状況は「介護保険の地域区分一覧」で解説しています。

(参考:第262回社会保障審議会介護給付費分科会 資料3「地域区分」、厚生労働省「厚生労働大臣が定める一単位の単価」(平成27年厚生労働省告示第93号))

自事業所の単価の確かめ方と請求ソフトとの照合

単価は、事業所とサービス種類の組み合わせごとに1つ決まります。請求ソフトによる介護報酬の自動計算は、地域区分と単価が正しく登録されていることが前提です。複数のサービスを運営する法人では、次の順に一覧を作ると確認漏れを防げます。

  1. 事業所所在地の級地を確かめます。告示の適用地域の表で、指定を受けた事業所が所在する市町村の級地を探します。法人本部の所在地で見ないように気をつけます。判断に迷うときは、指定権者(都道府県・市町村)に確認します。
  2. 届出の控えと照らし合わせます。指定権者に提出した「介護給付費算定に係る体制等状況一覧表」の控えで、「地域区分」欄を見ます。この欄には、事業所の所在する地域の地域区分を記載することになっています。手順1の級地と違うときは、ソフトの設定を直す前に指定権者に確認します。
  3. サービス種類の区分を確かめます。上の区分の表で、事業所が行うサービス種類ごとに人件費割合の区分を見ます。同じ建物で訪問介護と通所介護を運営していても、同じ単価にはなりません。
  4. 単価表から単価を特定します。級地の行と区分の列から単価を読み、事業所とサービス種類の組み合わせごとに一覧にします。上乗せ割合の20%をそのまま掛けて、12円としないように注意します。
  5. 請求ソフトの設定と照合します。登録されている地域区分と、サービス種類ごとの単価を、手順4の一覧と照らし合わせます。1つのソフトで複数の事業所を管理している場合は、事業所番号ごとに確かめます。1つの事業所の設定だけを見て、ほかも正しいと判断しないようにします。
  6. 明細書1件で検算します。1人分の明細書で、給付単位数に単位数単価を掛け、小数点以下を切り捨てます。この額に保険の給付率を掛けて切り捨てた額が、保険請求額です。利用者負担額は、掛けた額から保険請求額や公費請求額などを差し引いた残りです。保険請求額だけを見て、利用者負担額の確認を省かないようにします。

介護給付費明細書の請求額集計欄には、単位数単価を記載します。事業所所在地における、当該サービス種類の単価です。利用者負担額も、給付単位数に単価を掛けた額から計算されます。そのため、単価の誤りに後から気づくと、過誤の手続が必要になる場合があります。利用者との差額の精算も、あわせて必要になります。過誤の手続は「介護請求の過誤とは」で解説しています。正しい単価を登録しておくことは、利用者に正しい負担額を請求することでもあります。

一度正しく設定しても、次のようなときには単価が変わることがあります。そのつど、手順5と手順6で確かめ直します。

確かめ直すきっかけ

確かめる設定

介護報酬改定での適用地域の見直し

改定後の級地と、適用月からの単価

事業所の移転

移転先の級地と、移転した月の単価

出張所(サテライト事業所)の開設

出張所の所在地の単価

新しいサービス種類の指定

追加したサービス種類の単価

請求ソフトの乗り換え

移行後の地域区分と、サービス種類ごとの単価の登録

記載要領では、出張所(サテライト事業所)は、出張所の所在地の単価を記載します。月の途中で、単価の異なる地域区分をまたいで移転することもあります。その月は、月内で最も高い単価を記載します。移転や出張所の開設があった月は、明細書の単位数単価欄で、この扱いどおりかを確かめてください。改定や地域区分の見直しのあとは、ソフトの更新に任せきりにしないようにします。新しい単価になっているかを、適用月の最初の請求で確かめます。

(参考:「介護給付費請求書等の記載要領について」の一部改正について(介護保険最新情報Vol.1489)、厚生労働省老健局長通知「介護給付費算定に係る体制等に関する届出等における留意点について」第5の1)

まとめ

介護報酬の1単位の単価は、2つの組み合わせで決まります。事業所所在地の級地と、サービス種類の人件費割合の区分です。範囲は10円〜11.40円です。確認の出発点は、指定を受けた事業所の所在地と、そこで行うサービス種類の組み合わせです。事業所とサービス種類ごとの単価を一覧にして、届出の控えと請求ソフトの設定に照らし合わせます。移転や改定で級地が変わったときは、その一覧と設定を更新してください。

参考