介護給付費は、介護サービスの費用(介護報酬)のうち、介護保険から支払われる部分です。事業所の収入は、2つの経路に分かれます。1つは、国保連(国民健康保険団体連合会)などから支払われる介護給付費です。もう1つは、利用者から受け取る利用者負担です。
この記事では、介護報酬・利用者負担との関係と、法令上の定義を扱います。資料での使われ方と、入金を確かめるときの手順も整理します。介護報酬の全体像は「介護報酬とは」で解説しています。
介護 報酬・ 利用者 負担・ 介護 給付費の 関係
介護報酬は、利用者負担と介護給付費を合わせた金額です。利用者負担は、原則として費用の1割です。一定以上の所得がある人は、2割または3割になります。介護報酬が1万円のサービスで比べると、負担割合ごとの金額は次のとおりです。
利用者の負担割合 | 利用者負担の額 | 介護給付費の額 |
|---|---|---|
1割(原則) | 1,000円 | 9,000円 |
2割(一定以上所得者) | 2,000円 | 8,000円 |
3割(一定以上所得者のうち2割負担の基準より所得が高い人) | 3,000円 | 7,000円 |
同じサービスでも、事業所が請求する介護給付費は、利用者ごとの負担割合で変わります。請求の前に、負担割合証で一人ひとりの割合を確かめておくことが前提です。判定の条件は「介護保険の自己負担割合」で解説しています。なお、居宅介護支援(ケアマネジメント)には利用者負担がありません。全額が保険から支払われます。実際の金額は、単位数に地域区分ごとの1単位の単価を掛けて計算します。手順は「介護報酬の計算方法」を参照してください。
(参考:厚生労働省 介護サービス情報公表システム「サービスにかかる利用料」、厚生労働省老健局「介護保険制度の概要」(令和7年7月))
法令 上の 介護 給付費の 範囲
介護給付費の定義は、請求の手続を定めた命令にあります。「介護給付費及び公費負担医療等に関する費用等の請求に関する命令」の第1条第1項です。複数のサービス費を合わせた呼び方として定められています。居宅介護サービス費、地域密着型介護サービス費、居宅介護サービス計画費が含まれます。施設介護サービス費と、特定入所者介護サービス費も含まれます。要支援者向けでは、介護予防サービス費、地域密着型介護予防サービス費、介護予防サービス計画費などです。
介護保険法第18条でいう「介護給付」は、要介護者向けの保険給付だけを指します。一方、「介護給付費」は、予防給付に係るサービス費も含みます。この点で範囲が違います。なお、居宅介護福祉用具購入費、居宅介護住宅改修費、高額介護サービス費は、この定義に挙げられていません。
居宅介護サービス費の額は、厚生労働大臣が定める基準で算定した費用の額の100分の90です。実際にかかった費用のほうが少ないときは、実際の費用の額を使います。この基準が、サービスごとの単位数を定めた告示の単位数表です。2割・3割負担の人は、100分の90を100分の80・100分の70に読み替えます。単位数表の読み方は「介護報酬の「単位」とは」で解説しています。
補足給付は、施設やショートステイで、所得の低い人の食費・居住費の負担を軽くする給付です。特定入所者介護サービス費として、介護給付費に含まれます。施設は、利用者から負担限度額までを受け取ります。基準費用額との差額は、特定入所者介護サービス費として請求します。
補足給付を受けるには、利用者が市町村に申請し、負担限度額の認定を受けます。市町村は、預貯金等の額が要件を満たすかを確かめます。2026年9月29日に、この確認事務の負担を軽くする方策の素案が示されました。厚生労働省と市町村の担当者による検討の場の、中間とりまとめ(素案)です。方策は市町村の事務の工夫で、預貯金等の基準額や負担限度額を見直すものではありません。添付書類や認定証の有効期限は、市町村によって異なることがあります。申請を手伝う施設は、利用者の保険者である市町村の案内で確かめてください。
居宅介護サービス費は、法律上は利用者に支給されるものです。ただし、厚生労働省令で定める場合には、市町村が利用者に代わって事業所に支払えます。ケアプランの作成を依頼することを、市町村に届け出ている場合などです。この仕組みを法定代理受領といいます。事業所が介護給付費を請求して受け取るのは、この仕組みによるものです。
(参考:介護給付費及び公費負担医療等に関する費用等の請求に関する命令 第1条第1項、介護保険法第18条・第41条第4項・第6項・第7項・第49条の2・第51条の3、厚生労働省 介護サービス情報公表システム「サービスにかかる利用料」、厚生労働省老健局「介護保険制度における預貯金等の把握等に係る検討の場 中間とりまとめ(素案)」)
請求・ 予算・ 審議会・ 告示での 使われ 方
「介護給付費」という言葉は、請求の書類だけに出てくるものではありません。予算資料や、審議会・告示の名称にも出てきます。場面ごとに指しているものは次のとおりです。
場面 | 「介護給付費」が出てくる例 | 指しているもの |
|---|---|---|
請求 | 介護給付費請求書・介護給付費明細書 | 事業所が1か月分として請求する額 |
予算 | 厚生労働省「介護保険制度の概要」の財源構成(2025年度予算額で介護給付費13.2兆円) | 制度全体の給付の総額 |
審議会 | 社会保障審議会介護給付費分科会 | 介護報酬の改定を議論する会議の名称 |
告示 | 指定居宅サービス介護給付費単位数表など | サービスごとの単位数を定めた表の名称 |
同じ言葉でも、個々の事業所の請求額を指す場合と、制度全体の総額を指す場合があります。予算資料では、同じページに「総費用ベース」(14.3兆円)という別の数字も並んでいます。資料の数字を引用するときは、どの範囲の額かを見出しや注記で確かめてください。
請求の場面では、介護給付費の請求先は、法令上の審査支払機関である市町村です。市町村が審査・支払の事務を国保連に委託している場合は、国保連になります。請求は、各月分を翌月10日までに行います。方法は、原則として電子情報処理組織(伝送)または光ディスク等によると定められています。事業所側の手続は「介護請求とは」で解説しています。
(参考:介護給付費及び公費負担医療等に関する費用等の請求に関する命令 第1条第3項・第2条・第3条第1項・附則第2条、厚生労働省老健局「介護保険制度の概要」(令和7年7月)、厚生労働省「令和8年度介護報酬改定 介護報酬の見直し案」)
入金 確認での 介護 給付費と 利用者 負担の 分け方
介護給付費と利用者負担は、入金の経路が別です。合計額だけを見ていると、差額の原因を追えません。毎月の確認は、次の順に進めると分かりやすいでしょう。
- 国保連に請求した介護給付費と、国保連からの入金額を突き合わせます。差があれば、審査で戻された返戻や、決定後に取り下げた過誤がないかを確かめます。差額は翌月にまとめて入ると思い込み、返戻分の再請求を忘れないようにします。
- 利用者負担の請求と入金を、利用者ごとに確かめます。負担割合証の更新で割合が変わった利用者を、前の割合のまま請求していないかを見ます。
- 施設・ショートステイでは、介護報酬とは別の利用者負担を区分して管理します。食費・居住費・日常生活費などです。補足給付の対象者は、負担限度額認定証の有効期限を確かめます。市町村の判断で、2年としている場合もあります。期限が切れたまま、限度額で請求しないようにします。
内訳を分けて管理しておくと、請求額について尋ねられたときに説明しやすくなります。利用者やご家族の方に、保険から支払われる分と自己負担の分を示せます。
まとめ
介護給付費は、介護報酬のうち介護保険から支払われる部分です。法令上は、居宅介護サービス費や施設介護サービス費などの総称です。事業所での出発点は、利用者ごとの負担割合と、補足給付の対象かどうかの把握です。そのうえで、毎月の請求と入金を、介護給付費と利用者負担に分けて照合します。差があれば、返戻・過誤を確かめてください。

