介護請求とは、介護サービスを提供した事業所が行う手続です。費用のうち保険給付にあたる部分を、月ごとに審査支払機関へ請求します。残りの利用者負担分は、利用者から受け取ります。

請求の書類には、保険から支払われる額と利用者が負担する額が並んで記載されます。そのため、請求を正しく行うことは、事業所の入金だけに関わるものではありません。利用者に正しい負担額を伝えることにもつながります。この記事では、請求する費用の範囲、使う書類、提出先と期限を整理します。国保連請求と呼ばれる理由と、請求前に確認することも扱います(2026年10月時点)。

請求するのはサービス費用のうち保険給付にあたる部分

介護保険では、利用者がサービスを受けたとき、市町村(保険者)が費用の9割を事業所に支払います。一定以上の所得がある人は、8割または7割です。利用者は、残りの1割(2割・3割)を負担します。保険給付は、本来は利用者に支給されるものです。ただし、市町村が利用者に代わって事業所に支払う仕組みがあります。事業所は、この仕組みにもとづいて保険給付分を請求します。なお、居宅サービスでこの仕組みが使えるのは、省令で定める場合に限られます。利用者が居宅介護支援(ケアプランの作成)を受けることを、市町村に届け出ている場合などです。

一方、居宅介護支援は、費用の額そのものが保険給付(居宅介護サービス計画費)とされています。そのため、利用者負担はありません。また、公費負担医療等の対象となる利用者もいます。その場合は、保険請求額とは別に、公費請求額も請求の書類に記載します。

自事業所のサービスについて、次の3つを分けて把握しておきます。「保険者へ請求する額」「公費で請求する額」「利用者から受け取る額」です。分けておくと、請求書や明細書の欄の意味が分かりやすくなります。

(参考:厚生労働省老健局「介護保険制度の概要」令和7年7月、介護保険法第41条第6項・第46条第2項、厚生労働省「介護給付費請求書等の記載要領について」)

請求書と明細書と給付管理票の役割

請求の書類の様式は、省令に定められています。「介護給付費及び公費負担医療等に関する費用等の請求に関する命令」です。記載方法は、厚生労働省の「介護給付費請求書等の記載要領について」で示されています。主な書類は次の3つです。

書類

作成する単位

作成する事業所

主な内容

介護給付費明細書

利用者1人分・1か月分(サービスの種類に応じた様式ごと)

サービスを提供した事業所

サービスの内容、単位数、保険請求額、公費請求額、利用者負担額

介護給付費請求書(様式第一)

事業所ごと・1か月分

サービスを提供した事業所

明細書の件数、単位数、費用合計、保険請求額、公費請求額、利用者負担の合計

給付管理票(様式第十一)

利用者1人分・1か月分

居宅介護支援事業所や地域包括支援センターなど、ケアプランを作成した事業所

ケアプランに位置づけたサービスの給付計画(事業所ごと・サービスの種類ごと)

請求書は、明細書を集計した書類です。件数は、明細書の様式ごとに、利用者1人分の請求を1件として数えます。給付管理票は、月末時点の「サービス利用票(控)」から作成します。月を通じて小規模多機能型居宅介護などを利用した場合は、その事業所が給付管理票を作成します。

つまり、訪問介護や通所介護などの居宅サービス事業所が作るのは、明細書と請求書です。給付管理票は、ケアプランを作成した事業所が作ります。国保連の審査では、居宅サービス事業所の明細書と給付管理票が突き合わされます。一致しないものは、返戻や保留になります。明細書を確定させる前に、実績の単位数がケアプランの計画と合っているかを確かめておきます。確かめる相手は、担当のケアマネジャーです。返戻になったときの対応は「介護請求の返戻とは」で解説しています。

(参考:介護給付費及び公費負担医療等に関する費用等の請求に関する命令 附則第2条第3項、厚生労働省「介護給付費請求書等の記載要領について」、国民健康保険中央会「介護給付費請求の手引き(審査支払結果帳票の解説)」令和7年12月)

請求の提出先と請求方法

省令では、請求は「審査支払機関」に対して行うと定められています。審査支払機関は市町村です。ただし、審査と支払の事務を、国民健康保険団体連合会(国保連)に委託している場合があります。その場合は、国保連を指します。

請求の方法は2つです。電子情報処理組織を使う方法(伝送)か、光ディスク等を提出する方法です。書面による請求は、省令の附則で認められた一部の事業者に限られます。伝送を始めるときの届出と準備は「国保連伝送(インターネット請求)の始め方」にまとめています。

(参考:介護給付費及び公費負担医療等に関する費用等の請求に関する命令 第1条第3項・第2条、附則第2条・第3条)

国保連請求とは

国保連請求とは、介護給付費の請求データを国保連に提出して行う請求のことです。実務での呼び方で、法令では「審査支払機関」への請求と書かれています。

国保連が請求先になる根拠は、介護保険法にあります。第41条第9項は、居宅サービスの請求について、市町村が審査したうえで支払うと定めています。同条第10項は、この審査と支払の事務を国保連に委託できるとしています。第10項は、地域密着型サービスや施設サービスなどの費用にも準用されています。国保連の側では、第176条第1項第1号が根拠です。市町村から委託を受けて行う請求の審査と支払を、国保連の業務に挙げています。

そのため、請求データの送り先は国保連でも、保険給付を行うのは保険者です。この関係を押さえておくと、届出や問い合わせの相手を取り違えずに済みます。記載要領は、請求書の連絡先欄に書く電話番号を定めています。「審査支払機関、保険者からの問い合わせ用」の番号です。請求の内容については、国保連と保険者のどちらからも問い合わせが来ることがあります。対応する窓口を決めておきます。

(参考:介護保険法第41条第9項・第10項、第176条第1項第1号、介護給付費及び公費負担医療等に関する費用等の請求に関する命令 第1条第3項、厚生労働省「介護給付費請求書等の記載要領について」)

請求の期限は各月分を翌月10日まで

介護給付費等の請求は、各月分について翌月10日までに行うと定められています。たとえば、9月に提供したサービスの分は、10月10日が期限です。伝送による請求には、到達の時点の決まりがあります。審査支払機関のコンピュータのファイルに記録された時に、到達したものとみなされます。送信の操作だけで提出が済んだと考えず、受付の結果を確かめてください。

月末に実績を確定してから期限までの日数は限られます。そのため、期限から逆算して、社内の締め日を決めておくと安心です。段取りの組み方は「介護請求の締め日」で解説しています。

(参考:介護給付費及び公費負担医療等に関する費用等の請求に関する命令 第3条第1項・第2項)

請求を始める前に事業所で確認すること

請求を始める前に、次の順に確認しておきます。

  1. 自事業所のサービスの種類と、対応する明細書の様式を確かめます。介護予防サービスや総合事業のサービスも提供する場合は、介護給付とは別の様式になります。この点を見落とさないようにします。
  2. 請求方法を決め、審査支払機関に届け出ます。伝送か光ディスク等かを決めます。届け出るのは、事業所の名称・所在地、介護保険事業所番号、請求方法、開始年月などです。届出は、請求を始める前に済ませます。
  3. 届け出た内容を変えるときの手続を確かめます。名称や所在地、請求方法を変えるときは、あらかじめ審査支払機関に変更を届け出ます。届出の相手は、指定権者ではなく審査支払機関です。移転や名称変更のときに、指定権者への手続だけで済ませないようにします。届出の様式と出し方は、国保連の案内で確かめます。
  4. ケアマネジャーとの実績の共有方法を確かめます。利用者ごとに、ケアプランを作成している事業所と担当者を把握します。月末の実績をどう伝えるかも決めておきます。予定の変更を伝えないままにすると、明細書と給付管理票が一致しない原因になります。
  5. 社内スケジュールと分担を決めます。月末の実績確定から翌月10日までの日程と、作成者・確認者の分担です。明細書を確定させる前に請求書を作ると、件数や金額がずれます。明細書から先に仕上げる順番にします。
  6. 問い合わせに答える窓口を決めます。請求書に載せる電話番号と、その電話に出る人です。請求ソフトに、以前の担当者の番号が残っていないかも確かめます。審査結果の通知を、月のどの時点で誰が確かめるかも決めておきます。

(参考:介護給付費及び公費負担医療等に関する費用等の請求に関する命令 第4条第1項・第2項、附則第2条第3項、厚生労働省「介護給付費請求書等の記載要領について」)

まとめ

介護請求は、サービス費用のうち保険給付にあたる部分を請求する手続です。明細書と請求書にまとめて、各月分を翌月10日までに審査支払機関へ請求します。市町村が委託していれば、請求先は国保連です。

出発点は、自事業所のサービスの種類と明細書の様式を確かめることです。請求方法と届出の状況も確かめます。そのうえで、ケアマネジャーとの実績の共有方法を決めます。翌月10日から逆算した社内の締め日も決めておきます。請求の手順を月単位でつかみたい場合は、「介護請求の流れ」を読むと全体像が分かります。

参考