介護給付費の「算定」は、提供したサービスの費用の額を、厚生労働大臣が定める基準に従って計算することです。居宅サービスの場合、根拠は介護保険法第41条第4項です。居宅介護サービス費の額は、この基準で算定した費用の額をもとに決まります。算定した額が現に要した費用の額を超えるときは、現に要した費用の額を使います。

算定を誤ると、利用者の自己負担額や支給限度額の管理にも影響します。この記事は、介護事業所の管理者と請求担当者に向けたものです。算定・届出・請求の違いと、サービス区分ごとの告示と通知の対応を整理します。体制届の届出先と様式、請求から支払までの流れも扱います(2026年10月時点)。

算定と届出と請求の違い

「算定」「届出」「請求」は、続けて行う別々の手続です。居宅サービスを例に、することと相手と根拠を表にします。

手続

何をすることか

相手

根拠

算定

提供したサービスの費用の額を、算定基準(告示)の単位数表に従って計算する

提出する相手はいない。事業所が計算し、結果を請求と利用者負担の計算に使う

介護保険法第41条第4項、算定基準の告示、留意事項通知

届出(体制届)

加算など、算定に関わる事業所の体制をあらかじめ届け出る

都道府県知事または市町村長(事業所を指定した指定権者)

算定基準の告示の単位数表の注、留意事項通知の第1「届出手続の運用」、体制等に関する届出の通知(令和6年3月15日老発0315第1号)

請求

介護給付費を、各月分について翌月10日までに請求する

審査支払機関(市町村。審査と支払を委託している場合は国民健康保険団体連合会)

介護保険法第41条第9項・第10項・第12項、介護給付費及び公費負担医療等に関する費用等の請求に関する命令 第2条・第3条

時間の順では、届出、算定、請求と進みます。届出に係る加算は、届出のあと決まった月から算定し、翌月に請求します。疑問が出たときは、どの手続の話かを先に切り分けます。届出の様式や受理は指定権者に、請求の方法は審査支払機関に確かめます。

(参考:介護保険法、介護給付費及び公費負担医療等に関する費用等の請求に関する命令、老企第36号、介護給付費算定に係る体制等に関する届出等における留意点について)

サービス区分ごとの告示と留意事項通知

算定基準の告示は、サービスの区分ごとに7つあります。告示の別表が単位数表で、基本の単位数と加算・減算が載っています。一方、この7つの単位数表に対応する留意事項通知は4つです。告示と通知は1対1ではないので、次の表で対応を確かめます。

サービスの区分

介護保険法の条文

算定基準の告示

留意事項通知

居宅サービスのうち訪問・通所系、居宅療養管理指導、福祉用具貸与

第41条第4項

指定居宅サービスの算定基準(平成12年厚生省告示第19号)

平成12年3月1日 老企第36号

居宅サービスのうち短期入所、特定施設入居者生活介護

第41条第4項

指定居宅サービスの算定基準(平成12年厚生省告示第19号)

平成12年3月8日 老企第40号

居宅介護支援

第46条第2項

指定居宅介護支援の算定基準(平成12年厚生省告示第20号)

老企第36号(訪問・通所系と同じ通知)

施設サービス(介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護医療院)

第48条第2項

指定施設サービス等の算定基準(平成12年厚生省告示第21号)

老企第40号(短期入所と同じ通知)

地域密着型サービス

第42条の2第2項

指定地域密着型サービスの算定基準(平成18年厚生労働省告示第126号)

平成18年3月31日 老計発第0331005号・老振発第0331005号・老老発第0331018号

介護予防サービス

第53条第2項

指定介護予防サービスの算定基準(平成18年厚生労働省告示第127号)

平成18年3月17日 老計発第0317001号・老振発第0317001号・老老発第0317001号

地域密着型介護予防サービス

第54条の2第2項

指定地域密着型介護予防サービスの算定基準(平成18年厚生労働省告示第128号)

地域密着型サービスと同じ通知(老計発第0331005号ほか)

介護予防支援

第58条第2項

指定介護予防支援の算定基準(平成18年厚生労働省告示第129号)

介護予防サービスと同じ通知(老計発第0317001号ほか)

告示の正式な名称は、「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準」の形です。複数のサービスを運営する事業所は、サービスごとに行を確かめます。たとえば通所介護と短期入所生活介護は、告示は同じでも通知が別です。

告示と通知は、報酬改定のたびに改正されます。2026年度は、令和8年厚生労働省告示第87号が6月1日に施行されました。改正後の内容は、厚生労働省の年度ごとの改定のページで確かめます。4つの通知すべての新旧対照表は、2024年度のページにあります。2026年度のページには、老企第36号と介護予防サービスの通知の改正分があります。

単位数表の注と留意事項通知の読み方は、「介護加算の算定要件の調べ方」で解説しています。

(参考:介護保険法、令和8年厚生労働省告示第87号、留意事項通知4つの新旧対照表(令和6年度介護報酬改定)、厚生労働省「令和8年度介護報酬改定について」「令和6年度介護報酬改定について」)

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体制届の届出先と様式の探し方

加算の届出は、正式には「介護給付費算定に係る体制等に関する届出」といいます。この記事では「体制届」と書きます。届け出る項目と様式の書き方は、厚生労働省老健局長の通知が示しています。「介護給付費算定に係る体制等に関する届出等における留意点について」です。

届出先は、算定基準の告示が単位数表の注で定めています。居宅サービス、施設サービス、介護予防サービスは都道府県知事です。指定都市と中核市では、市長が届出先になります。居宅介護支援、介護予防支援、地域密着型の各サービスは市町村長です。いずれも、事業所や施設の指定権者にあたります。

様式は、この通知の別紙です。届出書は別紙2、体制等状況一覧表は別紙1-1から1-3です。厚生労働省は、別紙様式を「令和8年度介護報酬改定について」のページに載せています。ただし、提出に使う様式と提出方法は、指定権者の案内に従います。様式を探すときは、指定権者のウェブサイトを先に確かめます。書類のそろえ方と提出の手順は、「介護加算の届出(体制届)の流れ」で解説しています。

届出に係る加算は、算定を始められる月が決まっています。訪問・通所系は届出日が15日以前か16日以降かで、施設系は受理日で決まります。サービスごとの開始月は、「介護加算はいつから算定できるか」にまとめています。

一方、加算の要件を満たさなくなったときは、速やかに届け出ます。その事実が発生した日から、加算は算定できません。届出をせずに請求を続けると、不正請求になります。支払われた介護給付費は、返還の対象です。

(参考:介護給付費算定に係る体制等に関する届出等における留意点について 第1・第2、令和8年厚生労働省告示第87号、老企第36号 第1、老企第40号 第1、厚生労働省「令和8年度介護報酬改定について」)

算定から請求と支払までの流れ

毎月の作業は、次の順で進みます。

  1. 届出の確認:算定する加算が届出済みで、算定開始月に達しているかを確かめます。届出をした月から算定を始めてしまう誤りが、起きやすい箇所です。
  2. 算定:単位数表の単位数に加算と減算を反映し、1単位の単価を掛けて費用の額を求めます。改定前の単位数や単価が、請求ソフトに残っていないかを確かめます。
  3. 請求:各月分を翌月10日までに、審査支払機関へ提出します。月末の実績の確定が遅れると、1と2の確認に時間を取れなくなります。

請求の方法は、原則として伝送か光ディスク等です。請求を受けた市町村は、算定基準と運営基準に照らして審査したうえで支払います。市町村がこの事務を国民健康保険団体連合会に委託している場合、請求先は国保連です。

計算の手順と端数処理は、「介護報酬の計算方法」で解説しています。請求の書類と提出先は「介護請求とは」で確かめられます。請求前の点検の手順は、「介護報酬の算定漏れチェック」にあります。

届出と実際の体制が一致していれば、利用者に正しい自己負担額を請求できます。あとから返還や差額の精算が生じることも防げます。

(参考:介護保険法 第41条第9項・第10項、介護給付費及び公費負担医療等に関する費用等の請求に関する命令 第1条第3項・第2条・第3条、老企第36号 第2の1)

まとめ

介護給付費の算定は、告示と留意事項通知に従って、費用の額を計算することです。出発点は、自事業所のサービスに対応する告示と通知を、対応表で特定することです。次に、現在の体制等状況一覧表を手元に置きます。届出の内容と実際の体制が合っているかを確かめてから、毎月の請求に進みます。

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参考