褥瘡マネジメント加算は、入所者の褥瘡の有無と発生リスクを評価し、多職種で作った褥瘡ケア計画に沿って管理する施設が算定できる加算です。(Ⅰ)は評価・計画・見直し・LIFEへの提出という取組を評価し、(Ⅱ)はそれに加えて、褥瘡が治癒した、または発生しなかったという成果を評価します。算定するには、入所時の評価から3月ごとの見直し、LIFEへの提出までを入所者ごとに期限どおり回す必要があり、その流れは入所者の褥瘡を早く見つけ、悪化や新たな発生を防ぐことにもつながります。この記事では、2026年9月時点の対象施設と単位数、(Ⅰ)と(Ⅱ)の要件の違い、評価から計画の見直しまでの流れ、LIFEへの提出時期と遅れたときの扱いを扱います。
対象 施設と 単位数
褥瘡マネジメント加算を算定できるサービスと単位数は、次のとおりです(2026年9月時点)。2026年6月の期中改定では、この加算の単位数と算定できる区分は変わっていません。
サービス | 単位数(1月につき) | 算定できる場合 |
|---|---|---|
介護老人福祉施設(特養) | (Ⅰ)3単位/(Ⅱ)13単位 | 施設サービス費の区分による制限なし |
地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護 | (Ⅰ)3単位/(Ⅱ)13単位 | 施設サービス費の区分による制限なし |
介護老人保健施設(老健) | (Ⅰ)3単位/(Ⅱ)13単位 | 介護保健施設サービス費(Ⅰ)またはユニット型介護保健施設サービス費(Ⅰ)を算定する場合のみ |
看護小規模多機能型居宅介護 | (Ⅰ)3単位/(Ⅱ)13単位 | 看護小規模多機能型居宅介護費(1月につき)を算定する場合のみ(短期利用居宅介護費では算定しない) |
老健では、療養型など介護保健施設サービス費(Ⅰ)以外の区分を算定している場合、この加算は算定できません。届出の前に、自施設が算定している基本サービス費の区分を確かめてください。看護小規模多機能型居宅介護では、以下の「入所時」を「利用開始時」、「入所者」を「利用者」と読み替えます。なお、介護医療院にはこの加算がなく、特別診療費の「褥瘡対策指導管理」が同じ役割を持ちます。その(Ⅱ)が、褥瘡の治癒や発生なしという成果を評価する区分です。特養で算定できるほかの加算は「特養(介護老人福祉施設)の加算一覧」で整理しています。
(参考:厚生労働省「介護報酬の算定構造のイメージ(R8.6.1)」、厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」)
加算 (Ⅰ)の 要件
加算(Ⅰ)は、厚生労働大臣が定める基準第71号の2イの(1)〜(5)をすべて満たす施設で算定できます。
- 入所者ごとに、入所時に褥瘡の有無を確認し、褥瘡の発生と関連のあるリスクを入所時に評価する。その後も少なくとも3月に1回評価する。
- 確認と評価の結果などを厚生労働省(LIFE)に提出し、その情報などを褥瘡管理に活用する。
- 褥瘡がある、または発生するリスクがあるとされた入所者ごとに、医師、看護師、介護職員、管理栄養士、介護支援専門員その他の職種が共同して褥瘡ケア計画を作成する。
- 褥瘡ケア計画に従って褥瘡管理を行い、管理の内容と入所者の状態を定期的に記録する。
- 評価に基づき、少なくとも3月に1回、入所者ごとに褥瘡ケア計画を見直す。
評価とLIFEへの提出は入所者全員が対象で、褥瘡ケア計画を作るのは褥瘡がある人と発生リスクがある人です。どの入所者に何が必要かを分けて管理すると、計画の作り漏れを防げます。
(参考:厚生労働省「厚生労働大臣が定める基準」(平成27年厚生労働省告示第95号)第71号の2)
加算 (Ⅱ)で 評価される 成果
加算(Ⅱ)は、(Ⅰ)の要件をすべて満たしたうえで、入所時に褥瘡が認められた人はその褥瘡が治癒したこと、入所時に褥瘡が発生するリスクがあるとされた人は褥瘡が発生していないことが要件です。留意事項通知では、入所日の属する月の翌月以降に別紙様式5で評価し、その月に持続する発赤(d1)以上の褥瘡の発症がない場合に算定できるとされています。
誤解しやすいのは、入所時に褥瘡があった人の扱いです。この人は、褥瘡が治癒した後でなければ(Ⅱ)を算定できません。また、入所した月は(Ⅱ)の評価の対象にならないので、入所月に(Ⅱ)を算定しないよう、請求の前に入所日と評価月を照らし合わせてください。
(参考:厚生労働省「厚生労働大臣が定める基準」第71号の2ロ、厚生労働省「指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について」(老企第40号)令和6年度改正の新旧対照表)
入所時の 評価から 計画の 見直しまでの 流れ
留意事項通知に沿うと、施設での作業は次の順になります。
- 入所時の評価:届出日の属する月以降の新規入所者は、入所時に褥瘡の有無を確認し、リスクを評価する。届出月の前月にすでに入所している人は、介護記録等に基づいて入所時の評価を行う。既入所者の入所時の評価を省かないよう注意する。
- 褥瘡ケア計画の作成:褥瘡がある人とリスクがある人について、関連職種が共同して取り組む事項や評価の間隔を検討し、別紙様式5で作成する。特養では、施設サービス計画に相当する内容を書けば褥瘡ケア計画に代えられるが、下線や枠で囲うなど、ほかの記載と区別できるようにする。区別せずに書くと、計画を作成したことを示しにくくなる。
- 説明と同意:計画に基づくケアを始めるときに、入所者またはご家族に説明し、同意を得る。同意を得た日と相手を記録に残しておく。
- 管理と記録:計画に従って褥瘡管理を行い、管理の内容と入所者の状態を定期的に記録する。
- 評価と見直し:少なくとも3月に1回リスクを評価し、その結果に基づいて計画を見直す。計画に実施上の問題があれば、3月を待たずに直ちに見直す。見直しでは、LIFEへの提出情報とフィードバックを活用する。前回の評価日から3月を過ぎないよう、次の評価月を決めておく。
(参考:厚生労働省「指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について」(老企第40号)令和6年度改正の新旧対照表)
LIFEへの 提出 時期と 遅れたときの 扱い
LIFEへの提出は、次の月ごとに、その翌月10日までに行います。既入所者は加算の算定を始めようとする月、新規入所者は入所した月、そのほかは褥瘡の発生と関係のあるリスクの評価を行った月(評価は少なくとも3月に1回)です。提出するのは、入所者全員の別紙様式5の「基本情報」「褥瘡の有無」「危険因子の評価」で、褥瘡がある人は「褥瘡の状態の評価」と「褥瘡ケア計画」(自由記載を除く)も提出します。
提出すべき月の情報を提出できない事実が生じた場合は、直ちに届出が必要です。その月のサービス提供分から、提出した月の前月までは、入所者全員について算定できません。たとえば4月の情報を5月10日までに提出できなければ、4月サービス提供分から算定できなくなります。
ただし、月末に入所した人で、情報を集める時間が足りないなどやむを得ない場合は、その人に限り、入所月の翌々月10日までの提出が認められます。この場合、その人の入所月分は算定できず、翌々月10日までに提出すれば翌月分から算定できます。また、その人の情報を提出できなくても、ほかの入所者の情報を提出していれば、ほかの入所者分は算定できます。どちらの場合も、提出が難しかった理由を介護記録等に明記しておきます。
提出漏れは入所者全員の算定に影響するので、入所者ごとに評価月と提出期限を一覧にし、毎月10日より前に確認する流れを作っておくと安心です。提出期限の考え方は「LIFEの提出期限は提出月の翌月10日」で、LIFEの仕組みは「科学的介護とは・LIFEとは」で解説しています。
(参考:厚生労働省「科学的介護情報システム(LIFE)関連加算に関する基本的な考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について」(老老発0315第4号)、厚生労働省「令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)」問171・問172)
まとめ
褥瘡マネジメント加算は、入所時の評価、多職種の褥瘡ケア計画、3月ごとの評価と見直し、LIFEへの提出で(Ⅰ)を算定し、褥瘡の治癒や発生なしという成果があれば(Ⅱ)を算定します。まず、自施設のサービスと基本サービス費の区分が対象になるかを確かめ、既入所者を含めた入所時の評価を済ませてください。そのうえで、入所者ごとの評価月とLIFEの提出期限を一覧にし、計画の見直しとあわせて管理します。同じようにLIFEへの提出と計画で算定する加算には、排せつ支援加算や自立支援促進加算があります。

