栄養マネジメント強化加算は、管理栄養士を基準以上に配置し、低栄養のリスクがある入所者の食事を継続して観察しながら栄養ケアを調整し、入所者ごとの栄養の情報をLIFEに提出する施設が算定できる加算です。2026年9月時点の単位数は1日につき11単位で、対象は介護保険施設の4サービスです。

要件の中心は、管理栄養士が入所者の食事の様子を定期的に見て、食事の内容や食べる環境をその都度調整することにあります。体制が続けば、入所者の食べる量の減りや飲み込みの変化に早く気づき、低栄養の悪化を防ぎやすくなります。この記事では、対象サービスと算定できない場合、管理栄養士の必要数の計算、食事の観察の対象と頻度、LIFEへの提出、ほかの加算との関係、毎月の点検手順を扱います。

対象サービスと算定できない場合

算定できるのは次の4サービスで、単位数はいずれも1日につき11単位です。加算は、原則として入所者全員を対象に要件を満たしたうえで、入所者全員について算定するものとされています。

  • 介護老人福祉施設(特養)
  • 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護(地域密着型特養)
  • 介護老人保健施設
  • 介護医療院

栄養ケア・マネジメントは2021年度改定で基本サービスに含まれ、栄養管理の基準を満たさない施設は基本報酬から1日につき14単位が減算されます。この減算を受けている場合は、栄養マネジメント強化加算を算定できません。また、定員超過や人員基準欠如に該当する場合も算定できないため、加算の要件だけでなく施設全体の基準を満たしていることが前提になります。なお、特養・老健・介護医療院では、栄養マネジメント強化加算を算定している場合、退所時栄養情報連携加算は算定できません。

算定を始めるときは、指定権者への届出が必要です。届出の時期や様式は、指定権者に確認してください。

(参考:厚生労働省「介護報酬の算定構造のイメージ(R8.6.1)」、厚生労働省「指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準」(平成12年厚生省告示第21号)、厚生労働省「厚生労働大臣が定める基準」(平成27年厚生労働省告示第95号)第65号の3、厚生労働省「令和3年度介護報酬改定の概要(栄養関連)」)

管理栄養士の必要数の計算

管理栄養士の必要数は、常勤の栄養士が給食管理を行っているかどうかで変わります。

施設の栄養士の配置

必要な管理栄養士の数(常勤換算)

常勤の栄養士を1人以上配置し、その栄養士が給食管理を行っている

常勤の栄養士に加えて、入所者の数を70で除して得た数以上

上記以外

入所者の数を50で除して得た数以上

ここでいう給食管理は、調理管理、材料管理、施設等管理、業務管理、衛生管理、労働衛生管理を指します。計算に使う入所者の数は、前年度(4月から翌年3月まで)の全入所者の延数を前年度の日数で割った平均で、小数点第2位以下を切り上げます。新規開設や再開の場合は推定数を使います。管理栄養士の常勤換算は、暦月ごとの勤務延時間数を常勤の職員が勤務すべき時間で割って出し、小数点第2位以下を切り捨てます。調理業務の委託先に配置されている栄養士・管理栄養士は数に含められません。なお、やむを得ない事情で一時的に人数が減った場合は、1月を超えない期間内に補充すれば、減らなかったものとみなされます。

たとえば前年度の平均入所者数が80.0人の施設では、50で除すと1.6となり、管理栄養士が常勤換算で1.6以上必要です。常勤の栄養士が給食管理を行っている場合は70で除して1.142…となり、常勤換算は小数点第2位以下を切り捨てるため、1.1では足りず1.2以上が必要です。入所者の数は年度ごとに変わるので、4月には前年度の実績で必要数を計算し直してください。

(参考:厚生労働省「厚生労働大臣が定める基準」(平成27年厚生労働省告示第95号)第65号の3、厚生労働省「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(短期入所サービス及び特定施設入居者生活介護に係る部分)及び指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について」(平成12年3月8日老企第40号))

食事の観察の対象と頻度

告示では、低栄養状態にある入所者と低栄養状態のおそれのある入所者について、医師、歯科医師、管理栄養士、看護師、介護支援専門員などが共同して作成した栄養ケア計画に従い、食事の観察を定期的に行い、栄養状態、心身の状況、嗜好を踏まえた食事の調整等をすることが求められています。留意事項通知では、この対象を低栄養状態のリスクが中リスクと高リスクの入所者とし、観察の頻度を週3回以上としています。

食事の観察(ミールラウンド)は管理栄養士が行うことを基本とし、やむを得ない事情で管理栄養士が行えない場合は介護職員など他の職種が行ってもよいとされていますが、その場合は観察の結果を管理栄養士に報告します。観察では、栄養状態、食事摂取量、摂食・嚥下の状況、食欲・食事の満足感、嗜好を踏まえた食事の調整のほか、姿勢、食具、食事の介助方法などの食事環境も整えます。問題が見つかったら関係する職種と速やかに共有し、必要に応じて栄養ケア計画を見直します。経口維持加算を算定している入所者については、その加算の食事の観察と兼ねることができます。

低リスクの入所者についても、食事の観察の際にあわせて食事の状況を把握し、問題があれば同じように共有して対応します。なお、栄養ケア計画の作成に、告示に挙げられた職種のすべてが関わる必要はなく、管理栄養士とその他の必要な職種による多職種共同で足りるとされています。

観察した日、観察した職種、気づいた点と調整の内容を入所者ごとに記録しておくと、週3回を満たしているかと、計画の見直しにつながったかを後から確かめやすくなります。

(参考:厚生労働省「厚生労働大臣が定める基準」(平成27年厚生労働省告示第95号)第65号の3、老企第40号、厚生労働省「令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)」問126)

LIFEへの提出内容と期限

LIFEへは、施設の入所者全員について、「リハビリテーション・個別機能訓練、栄養、口腔の実施及び一体的取組について」の別紙様式4-1-1(栄養・摂食嚥下スクリーニング・アセスメント・モニタリング(施設))のうち、次の項目を提出します(やむを得ない場合を除く)。

  • 要介護度と実施日
  • 低栄養状態のリスクレベルとリスクの状況
  • 食生活状況等
  • 多職種による栄養ケアの課題(低栄養関連問題)
  • 総合評価と計画変更

経口維持加算(Ⅰ)または(Ⅱ)を算定している入所者については、「摂食・嚥下の課題」「食事の観察」「多職種会議」の項目も提出します。提出の時期は個別機能訓練加算(Ⅱ)と同じ扱いとされ、計画を新規に作成した月、計画を変更した月、そのほか少なくとも3月に1回について、それぞれ翌月10日までに提出します。

提出すべき月に提出できない事実が生じた場合は、直ちに届出が必要で、その月のサービス提供分から提出した月の前月までは、入所者全員について加算を算定できません。提出の操作や期限の考え方は、「LIFEの提出期限」と「LIFEへのデータ提出の手順|利用者登録から「確定」の確認とエラー時の対処」で解説しています。

(参考:厚生労働省「科学的介護情報システム(LIFE)関連加算に関する基本的な考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について」(令和6年3月15日老老発0315第4号))

ほかの加算の要件になっている点

口腔衛生管理加算(Ⅱ)とあわせて栄養マネジメント強化加算を算定していることが、次の加算の要件になっています。

  • 特養・地域密着型特養:個別機能訓練加算(Ⅲ)
  • 介護老人保健施設:リハビリテーションマネジメント計画書情報加算(Ⅰ)
  • 介護医療院:理学療法注7、作業療法注7、言語聴覚療法注5

栄養マネジメント強化加算を算定できない月は、これらの加算も算定できなくなります。管理栄養士の配置数やLIFEへの提出に不足が見つかったときは、機能訓練・リハビリテーションや口腔の担当者にも同じ日に伝えてください。各加算の要件は、「個別機能訓練加算」と「口腔衛生管理加算の算定要件|(Ⅰ)(Ⅱ)の違いと歯科との取り決め・LIFE提出の準備」で、特養のほかの加算は「特養(介護老人福祉施設)の加算一覧|4系統の主な加算・減算と単位数(2026年9月時点)」で整理しています。

(参考:厚生労働省「厚生労働大臣が定める基準」(平成27年厚生労働省告示第95号)、老老発0315第4号)

毎月の点検手順

  1. 年度の初めに、前年度の平均入所者数から管理栄養士の必要数を計算する。定員や月末時点の入所者数で割らないようにします。
  2. 月ごとに、管理栄養士の常勤換算の数を勤務実績から出して必要数と比べる。調理業務の委託先の栄養士・管理栄養士を数に含めないようにします。
  3. 入所者ごとの低栄養状態のリスクを見直し、中リスク・高リスクの入所者の食事の観察を週3回以上の予定で組む。入所者のリスクが変わったのに、観察の対象者の一覧を更新しないままにしないようにします。
  4. 食事の観察の記録を週ごとに確かめ、回数が足りない週や管理栄養士への報告が抜けている記録がないかを見る。他の職種が観察した回の結果を、管理栄養士に伝えないままにしないようにします。
  5. LIFEへの提出が必要な入所者と月を一覧にし、翌月10日までに提出する。経口維持加算を算定している入所者の追加項目を漏らさないようにします。

まとめ

栄養マネジメント強化加算は、基準以上の管理栄養士の配置、中リスク・高リスクの入所者への週3回以上の食事の観察と栄養ケアの調整、入所者全員の情報のLIFEへの提出がそろって、入所者全員について算定できます。点検の出発点は、前年度の平均入所者数から管理栄養士の必要数を計算し、毎月の常勤換算と比べることです。そのうえで、食事の観察の対象者と記録、LIFEへの提出予定を月ごとに確かめ、個別機能訓練加算(Ⅲ)などを算定している場合は、その担当者とも点検の結果を共有してください。

参考