介護のアセスメントとは、利用者の能力や置かれている環境を評価する手順です。自立した日常生活を支えるうえで、解決すべき課題を把握します。居宅サービス計画でも施設サービス計画でも、厚生労働省令で計画作成の最初に置かれています。利用者(入所者)と家族への面接で行うことも定められています。

アセスメントで集めた情報は、計画の原案、サービス担当者会議、モニタリングの土台になります。様式や運用に抜けがあると、利用者の意向や生活に合わない計画につながりかねません。この記事では、省令での位置づけと、計画作成からモニタリングまでの流れを扱います。2023年10月に改正された課題分析標準項目も整理します。最後に、様式と運用の点検手順を示します(2026年10月時点)。

省令が定めるアセスメント

居宅介護支援の基準は、「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準」(平成11年厚生省令第38号)です。第13条第6号は、介護支援専門員に課題の把握を求めています。適切な方法で、利用者の能力や置かれている環境等を評価します。そのうえで、利用者が現に抱える問題点を明らかにし、解決すべき課題を把握します。続く第7号は、この課題の把握を「アセスメント」と呼んでいます。利用者の居宅を訪問し、利用者と家族に面接して行うことを定めています。面接の趣旨を説明して、理解を得ることも必要です。

施設でも同じ形です。「指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準」(平成11年厚生省令第39号)の第12条が定めています。第3項が課題の把握を、第4項が入所者と家族への面接を、計画担当介護支援専門員に求めています。居宅への訪問はありませんが、面接で行う点は変わりません。

(参考:「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準」第13条第6号・第7号、「指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準」第12条第3項・第4項)

計画作成とモニタリングの流れ

アセスメントは、計画を作る一連の手順の最初に位置づけられています。居宅と施設で条文の番号は違いますが、順序は同じです。

手順

居宅介護支援(第13条)

介護老人福祉施設(第12条)

アセスメント

居宅を訪問し利用者・家族に面接(第7号)

入所者・家族に面接(第4項)

計画の原案

アセスメントの結果に基づき作成(第8号)

アセスメントの結果に基づき作成(第5項)

サービス担当者会議

原案の担当者を招集し意見を求める(第9号)

会議の開催や照会で意見を求める(第6項)

説明と同意

原案を説明し文書で同意を得る(第10号)

原案を説明し文書で同意を得る(第7項)

計画の交付

利用者と担当者に交付(第11号)

入所者に交付(第8項)

モニタリング

継続的なアセスメントを含む(第13号・第14号)

継続的なアセスメントを含む(第9項・第10項)

アセスメントは、計画作成時の1回で終わりではありません。実施状況の把握(モニタリング)の中でも、「継続的なアセスメント」として続けるものと定められています。居宅介護支援のモニタリングは、少なくとも月1回、利用者の居宅を訪問して面接するのが原則です。結果も記録します。ただし、訪問しない月をテレビ電話装置等での面接にできる場合があります。利用者の同意や、サービス担当者会議等での合意などの条件を満たす場合です。この場合も、少なくとも2か月に1回は居宅で面接します。施設では、定期的に入所者に面接し、結果を記録します。

なお、居宅介護支援の第13条第15号は、要介護更新認定や区分変更の認定を受けたときの定めです。サービス担当者会議で、計画変更の必要性について意見を求めます。こうした時点は、アセスメントをやり直す目安にもなります。

(参考:「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準」第13条第6号〜第15号、「指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準」第12条第3項〜第10項)

アセスメントの方法と課題分析標準項目

厚生労働省の解釈通知は、課題分析の方法に条件を付けています。介護支援専門員の個人的な考え方や手法だけで行ってはなりません。利用者の課題を客観的に抽出する手法として、合理的と認められる適切な方法を用いるよう求めています。居宅介護支援では、この「適切な方法」を別の通知で示すとしています。その通知が、「介護サービス計画書の様式及び課題分析標準項目の提示について」(老企第29号)です。事業所が使う課題分析の手法は、この課題分析標準項目を具備していれば、適切な方法として扱われます。

施設の解釈通知(老企第43号)にも、同じ定めがあります。施設の様式を見直すときも、課題分析標準項目を照らし合わせる基準に使えます。抜けている観点を見つけやすくなります。

(参考:「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準について」(老企第22号)第二の3(8)、「指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準について」(老企第43号)、「介護サービス計画書の様式及び課題分析標準項目の提示について」(老企第29号)別紙4)

2023年10月改正後の23項目

課題分析標準項目は、2023年10月16日の通知(老認発1016第1号)で改正されました。項目数は、改正前と同じ23項目です。№1〜№9が「基本情報に関する項目」、№10〜№23が「課題分析(アセスメント)に関する項目」です。23項目と変更点は次のとおりです。

№

改正後の項目名

改正前の項目名と主な変更点

1

基本情報(受付、利用者等基本情報)

名称は同じ

2

これまでの生活と現在の状況

生活状況

3

利用者の社会保障制度の利用情報

利用者の被保険者情報

4

現在利用している支援や社会資源の状況

現在利用しているサービスの状況

5

日常生活自立度(障害)

障害老人の日常生活自立度

6

日常生活自立度(認知症)

認知症である老人の日常生活自立度

7

主訴・意向

主訴

8

認定情報

名称は同じ

9

今回のアセスメントの理由

課題分析(アセスメント)理由

10

健康状態

名称は同じ

11

ADL

名称は同じ

12

IADL

名称は同じ

13

認知機能や判断能力

認知。改正前の№20 問題行動を統合

14

コミュニケーションにおける理解と表出の状況

コミュニケーション能力

15

生活リズム

新設(1日・1週間の生活リズム)

16

排泄の状況

排尿・排便

17

清潔の保持に関する状況

褥そう・皮膚の問題。褥そうの有無は№10へ

18

口腔内の状況

口腔衛生

19

食事摂取の状況

食事摂取。摂食嚥下機能などを例示に追加

20

社会との関わり

改正前の№15から移動

21

家族等の状況

介護力。家族等の意向や負担感も確認

22

居住環境

名称は同じ

23

その他留意すべき事項・状況

特別な状況。経済的困窮などを例示に追加

改正の理由について、厚生労働省のQ&Aは2点を挙げています。1つは、項目の名称や「項目の主な内容(例)」の記載が、一部現状に合わなくなっていたことです。もう1つは、「適切なケアマネジメント手法」と整合させる必要があったことです。この手法は、2024年4月からの新しい法定研修カリキュラムに盛り込まれました。

そのうえでQ&Aは、情報収集項目がこれまでと変わるわけではないと説明しています。「介護力」を「家族等の状況」に改めたのは、家族等を介護の資源としてだけ見る捉え方を改めるためです。本人と家族等の望む生活を目指す観点からとされています。

つまり、改正後の標準項目に合わせる目的は、観点を見落とさないことです。生活リズムや家族等の意向といった観点です。

(参考:厚生労働省 介護保険最新情報Vol.1178、Vol.1179)

「項目の主な内容(例)」はすべて埋める必要があるか

改正後の標準項目では、各項目の「項目の主な内容(例)」が大きく書き足されています。Q&Aは、これらはすべての情報収集を求めるものではないと説明しています。各利用者の課題分析に必要な情報を判断するための例示です。Q&Aは、各保険者にも留意を求めています。例示の内容が把握されていないことだけをもって、アセスメントが適切でないと判断しないことです。実地指導等で、基準違反としないよう求めています。

たとえば、№10 健康状態には、身長・体重・BMI・血圧が例示に加わりました。Q&Aは、介護支援専門員が機材を持参して測ることまでは想定していないとしています。医療機関や通所サービスでの測定状況を確認して、情報を集める方法を示しています。

様式の欄をすべて埋めることが目的ではありません。課題の判断に必要な情報がそろっているかを確かめます。なぜその情報を集めたのかを説明できるかも確かめます。

(参考:厚生労働省 介護保険最新情報Vol.1179 問1・問3・問10)

自事業所の様式と運用の点検手順

アセスメントの様式には、介護ソフトの帳票や法人の独自様式がよく使われます。次の順に、改正後の標準項目と照らし合わせて点検します。

  1. 様式の項目を、改正後の23項目と1つずつ照合します。改正前の項目名のままの様式では、№15 生活リズムにあたる欄がないことに気づきにくくなります。
  2. 面接の記録に、日時・場所・面接した相手・趣旨を説明したことが残るかを確かめます。居宅介護支援では、電話での聞き取りだけで済ませた記録にならないようにします。
  3. アセスメントをやり直す時点を決めておきます。№9 今回のアセスメントの理由の例が目安になります。初回、要介護認定の更新、区分変更、サービスの変更、退院・退所、入所、転居などです。前回のアセスメント票の日付だけを変えて使い回さないようにします。
  4. 他の事業所や医療機関から得た情報は、出どころと時点を記録します。血圧や体重などの値を、いつの測定か分からないまま転記しないようにします。
  5. アセスメントの結果を、サービス担当者会議で担当者と共有します。様式の写しを渡すだけで終わらせず、計画の原案にどう反映したかを説明します。

施設での日々の記録とLIFEの評価の活用

施設では、アセスメントは計画作成時だけでなく、モニタリングの中で継続して行います。厚生労働省のLIFE説明会資料も、「日々のアセスメントの結果」を挙げています。取組の効果や課題を把握するためのデータの1つです。LIFEへ提出するADLや認知症の評価は、計画の見直しにも使えます。

そのため、日々の記録のうち、アセスメントに引き継ぐ情報を決めておきます。LIFEの評価とアセスメントで、同じ状態を二重に評価しないように運用をそろえます。LIFEの項目と評価のしかたは「LIFEの入力項目」で解説しています。LIFEの仕組みは「科学的介護とは・LIFEとは」で確かめられます。

(参考:厚生労働省「科学的介護情報システム(LIFE)第1回説明会 基礎編」(令和7年11月26日・12月2日実施))

まとめ

介護のアセスメントは、省令で面接による実施が定められた、計画作成の出発点です。

まず、自事業所のアセスメント様式を、改正後の課題分析標準項目と照らし合わせます。生活リズムや家族等の意向といった観点が、欄として用意されているかを確かめてください。そのうえで、面接の記録の残し方と、アセスメントをやり直す時点を事業所内で決めます。利用者の意向と暮らしに沿った計画を作りやすくなります。

参考