自立支援促進加算は、医師が入所者ごとに自立支援に係る医学的評価を行い、その結果に基づく支援計画でケアを続け、評価結果などをLIFEに提出している施設が算定できる加算です。医学的評価、支援計画の見直し、LIFEへの提出はいずれも少なくとも3か月に1回が求められるため、算定を続けられるかどうかは、入所者ごとの日程を施設として管理できるかにかかっています。

この記事では、2026年9月時点の告示・通知に基づいて、対象の施設と単位数、算定要件、別紙様式7での支援計画の作り方、LIFEへの提出月と期限、入院で利用が途切れたときの扱い、日程管理の手順を扱います。なお、2026年6月の期中改定は介護職員等処遇改善加算の拡充と食費の基準費用額の見直しが中心で、この加算の単位数と要件は変わっていません。(参考:厚生労働省「令和8年度介護報酬改定について」、厚生労働省「介護報酬の算定構造のイメージ(R8.6.1)」)

対象の施設と単位数

算定できるのは、次の4つの施設サービスです。単位数は2024年度改定で見直され、介護老人保健施設だけが月300単位のまま据え置かれました。

施設サービス

単位数(1月につき)

介護老人福祉施設(特養)

280単位

地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護

280単位

介護医療院

280単位

介護老人保健施設(老健)

300単位

同じ2024年度改定で、医師の医学的評価の頻度は「少なくとも6か月に1回」から「少なくとも3か月に1回」に見直され、支援計画の見直しとLIFEへの提出の頻度にそろえられました。2024年3月以前の運用のまま評価を半年ごとにしている施設は、周期を3か月に改める必要があります。(参考:厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」、厚生労働省「介護報酬の算定構造のイメージ(R8.6.1)」)

算定要件の4つの基準

算定要件は、厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第95号)第71号の4に定められています。次の4つのいずれにも適合することが必要です。

基準

内容

頻度

医学的評価とLIFEへの提出(イ)

医師が入所者ごとに、入所時に自立支援に係る医学的評価を行い、その後も見直す。評価の結果などを厚生労働省(LIFE)に提出し、自立支援の促進に活用する

評価の見直しは少なくとも3か月に1回

支援計画の策定と実施(ロ)

医学的評価で自立支援の促進が必要とされた入所者ごとに、医師、看護職員、介護職員、介護支援専門員などが共同して支援計画を作り、計画に従ったケアを行う

評価で必要とされたとき

支援計画の見直し(ハ)

医学的評価に基づき、入所者ごとに支援計画を見直す

少なくとも3か月に1回

医師の参加(ニ)

医師が支援計画の策定などに参加している

計画を作るたび

医師が関わるのは、医学的評価だけではありません。支援計画の策定にも医師の参加が求められているため、配置医師などとは、評価の日と計画を話し合う日の両方をあらかじめ取り決めておくと、要件の漏れを防げます。(参考:厚生労働省「厚生労働大臣が定める基準」(平成27年厚生労働省告示第95号)第71号の4)

別紙様式7での支援計画の作り方

支援計画は、関係職種が共同し、別紙様式7(自立支援促進に関する評価・支援計画書)を用いて作ります。医学的評価と支援実績に基づき、入所者一人ひとりの特性に配慮して個別に作り、画一的な計画にならないよう留意することが、留意事項通知に示されています。計画の実施にあたっては、入所者と家族の希望を確認し、尊厳が十分に保たれるようにします。通知が示す支援の項目のうち、主なものは次のとおりです。

  • 寝たきりによる廃用性機能障害の防止や改善に向けて、離床、座位保持、立ち上がりを計画的に支援する
  • 食事は本人の希望に応じて居室外でとり、車椅子ではなく普通の椅子を使う。本人が長年親しんだ食器や箸の持ち込みも認め、食事の時間や嗜好も個人の習慣や希望に合わせる
  • 生活全般で画一的・集団的な介護ではなく個別ケアを行い、入所者や家族と相談して、できる限り自宅と同様の暮らしを続けられるようにする
  • 入所者と地域住民などが交流する機会を定期的に設け、地域や社会とのつながりを保つ

ほかの項目は、留意事項通知の本文で確認してください。地域密着型介護老人福祉施設は、地域密着型サービスの留意事項通知にある別紙様式7を使います。この加算で問われているのは書類の有無ではなく、入所者が施設でも自宅に近い暮らしを続けられているかどうかです。計画を作るときは、離床や食事といった日々の場面で本人の希望をどう反映したかを、支援実績として残しておくと、次の見直しの材料になります。(参考:厚生労働省「指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について」(老企第40号)令和6年度改正の新旧対照表)

LIFEへの提出の対象と提出月

支援計画を作るのは医学的評価で必要とされた入所者ですが、LIFEへの提出は施設の入所者全員が対象です。提出するのは、別紙様式7の「基本情報」「現状の評価」「支援実績」と、「支援計画」のうち自由記載を除く項目で、やむを得ない場合を除いて提出します。提出する月と期限は次のとおりです。

提出する月

対象になる入所者

提出期限

加算の算定を開始しようとする月

算定開始時にすでに入所している人

翌月10日まで

入所した日の属する月

算定開始後に入所した人

翌月10日まで

医学的評価を行った日の属する月

入所者全員(評価は少なくとも3か月に1回)

翌月10日まで

月末に入所して情報を集める時間が足りないなど、やむを得ない場合は、その入所者に限って入所月の翌々月10日までの提出が認められています。ただし、その場合はその入所者の入所月の分は算定できません。

提出すべき月に提出できない事実が生じた場合は、直ちに届出が必要で、その月のサービス提供分から提出した月の前月まで、入所者全員について算定できなくなります。たとえば4月分の情報を5月10日までに提出できないときは、4月サービス提供分から算定できません。一方、月末に入所した人の分だけがやむを得ず提出できなかった場合は、ほかの入所者の分を提出していれば算定できます。いずれの場合も、提出が難しかった理由を介護記録などに書いておきます。提出期限の扱いは「LIFEの提出期限|翌月10日の数え方と間に合わないときの扱い・例外」、LIFEでの操作は「LIFEへのデータ提出の手順|利用者登録から「確定」の確認とエラー時の対処」で詳しく解説しています。(参考:厚生労働省「科学的介護情報システム(LIFE)関連加算に関する基本的な考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について」(老老発0315第4号)、厚生労働省「令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)」問171・問172)

入院などで利用が途切れたときの提出

入院などで施設の利用が途切れたときは、中断の長さで扱いが変わります。30日未満の中断で再入所を前提としている場合は、「サービス利用終了時」と「サービス利用開始時」の情報を提出しなくてもかまいません。30日以上の中断が決まった場合は、その時点で「サービス利用終了時」として入院までの最新の評価データを提出し、利用を再開したときに「サービス利用開始時」のデータを提出します。入院が急で評価できていない項目があるときは、評価できている項目だけを提出すれば算定できます。なお、入所者が亡くなった場合は、亡くなった月の情報を「サービス利用終了時」として提出します。(参考:厚生労働省「科学的介護情報システム(LIFE)第1回説明会 説明Ⅲ よくあるお問い合わせについて」)

評価・見直し・提出の日程管理

医学的評価、支援計画の見直し、LIFEへの提出は、どれも少なくとも3か月に1回が要件ですが、入所日が入所者ごとに違うため、放っておくと期限がばらつきます。次の順で入所者ごとの日程表を作ると、期限の見落としを防ぎやすくなります。

  1. 入所者ごとに、医学的評価の実施日、支援計画の見直し日、LIFEの提出月を1つの表にまとめる。評価日と計画の見直し日を別々の表で管理すると、片方だけが3か月を超えやすくなります。
  2. 配置医師などと、評価の日と支援計画を話し合う日をまとめて押さえる。評価の記録はあっても、計画の策定に医師が参加した記録がないと、要件(ニ)を満たしていることを示せません。
  3. 評価した月の翌月10日を、提出期限として表に書き込む。月末に評価すると期限までの日数が短くなるので、評価は月の前半に置くと余裕が生まれます。
  4. 入所・入院・退院・再入所のたびに表を更新する。30日以上の入院で「サービス利用終了時」の提出を忘れやすいので、入院が決まった時点で担当者が確認します。
  5. 提出できなかった入所者がいたら、その理由を介護記録に書き、届出が必要かどうかを確認する。

褥瘡マネジメント加算や排せつ支援加算も、LIFEへの提出月は同じ考え方で決まります。これらを同じ入所者に算定している場合は、一定の条件のもとで提出のタイミングをそろえることが認められているので、日程表を1つにまとめると管理の手間が減ります。それぞれの要件は「褥瘡マネジメント加算とは|(Ⅰ)(Ⅱ)の違いと評価・ケア計画・LIFE提出の進め方」と「排せつ支援加算とは|(Ⅰ)〜(Ⅲ)の要件の違いと評価・支援計画・LIFE提出の進め方」で解説しています。(参考:厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」、厚生労働省「科学的介護情報システム(LIFE)関連加算に関する基本的な考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について」(老老発0315第4号))

まとめ

自立支援促進加算は、医師の医学的評価、医師が参加する支援計画、少なくとも3か月に1回の見直し、入所者全員分のLIFEへの提出がそろって、はじめて算定できます。出発点は、入所者ごとに評価日・計画の見直し日・提出月を1つの表にまとめ、配置医師と日程を合わせることです。そのうえで、別紙様式7の計画に入所者と家族の希望を反映し、離床や食事の場面での支援実績を記録していきます。LIFEの仕組みそのものは「科学的介護とは・LIFEとは」で解説しています。

参考