排せつ支援加算は、入所者全員の排せつの状態を医師または医師と連携した看護師が評価し、改善が見込まれる人には原因分析に基づく支援計画で支援を続ける施設が算定できる加算です。(Ⅰ)はこの取組を評価し、(Ⅱ)(Ⅲ)は入所時と比べた排尿・排便の改善、おむつ使用の解消、尿道カテーテルの抜去といった成果を評価します。区分は入所者ごとに決まり、成果が出た人は(Ⅱ)か(Ⅲ)、それ以外の人は(Ⅰ)で算定するため、入所時の評価を起点として記録を残すことが算定の前提になります。この記事では、対象サービスと単位数、(Ⅰ)の要件、(Ⅱ)(Ⅲ)の判定、評価から見直しまでの進め方、LIFEへの提出を、2026年9月時点の告示・通知に沿って扱います。

対象サービスと単位数

排せつ支援加算を算定できるのは、介護老人福祉施設(特養)、地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護、介護老人保健施設、介護医療院、看護小規模多機能型居宅介護の5サービスです。単位数はいずれも1月につき次のとおりで、2026年6月の改定後もこの単位数です。

区分

算定できる入所者

単位数(1月につき)

排せつ支援加算(Ⅰ)

施設の要件を満たしたうえで、(Ⅱ)(Ⅲ)を算定しない入所者

10単位

排せつ支援加算(Ⅱ)

入所時と比べて、排尿・排便の改善、おむつ使用の解消、尿道カテーテルの抜去のいずれかがあった入所者

15単位

排せつ支援加算(Ⅲ)

入所時と比べて、排尿・排便の改善とおむつ使用の解消の両方があった入所者

20単位

3つの区分は同じ入所者に重ねて算定できません。(Ⅰ)は原則として入所者全員を対象に、(Ⅱ)(Ⅲ)を算定する人を除いた全員について算定します。算定には、あらかじめ指定権者への届出が必要です。看護小規模多機能型居宅介護では、告示の「入所者」を「利用者」、「施設入所時」を「利用開始時」と読み替えます。特養で算定しているほかの加算とあわせて確認するときは、「特養(介護老人福祉施設)の加算一覧」で整理しています。

(参考:厚生労働省「介護報酬の算定構造のイメージ(R8.6.1)」、厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」、老企第40号)

(Ⅰ)を構成する4つの要件

(Ⅰ)は、厚生労働大臣が定める基準の第71号の3イに定める次の4つを、すべて満たす施設で算定できます。

  • 入所者ごとに、要介護状態の軽減の見込みを、医師または医師と連携した看護師が入所時に評価し、その後も少なくとも3月に1回評価する
  • 評価の結果などをLIFE(科学的介護情報システム)で厚生労働省に提出し、排せつ支援に活用する
  • 評価の結果、排せつに介護を要し、適切な対応で要介護状態の軽減が見込まれる入所者について、医師、看護師、介護支援専門員などが共同して原因を分析し、支援計画を作成して支援を続ける
  • 評価に基づき、少なくとも3月に1回、入所者ごとに支援計画を見直す

評価は入所者全員が対象で、支援計画を作るのはそのうち「排せつに介護を要する入所者」で「軽減が見込まれる」人です。「排せつに介護を要する入所者」とは、別紙様式6で排尿または排便が「一部介助」か「全介助」と評価された人と、おむつの使用または尿道カテーテルの留置が「あり」の人をいいます。「軽減が見込まれる」とは、特別な支援をしなければ評価が変わらないか悪くなると見込まれる一方、適切な対応をすれば改善が見込まれることです。評価の頻度は、2024年度の改定で6月に1回から3月に1回に短くなっているため、以前の運用のままになっていないか確かめてください。

(参考:「厚生労働大臣が定める基準」(平成27年厚生労働省告示第95号)第71号の3、老企第40号、厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」)

(Ⅱ)(Ⅲ)の判定は入所時との比較

(Ⅱ)(Ⅲ)は、(Ⅰ)の要件を満たす施設で、評価の結果「軽減が見込まれる」とされた入所者について、入所時と比べた変化で判定します。評価に使うのは、別紙様式6の排尿の状態、排便の状態、おむつの使用、尿道カテーテルの留置の4項目です。

入所時と比べた変化

(Ⅱ)

(Ⅲ)

排尿・排便の少なくとも一方が改善し、いずれも悪化していない

3つのうちいずれか1つで算定できる

おむつ使用の解消とあわせて必要

おむつ使用ありから使用なしに改善した

3つのうちいずれか1つで算定できる

排尿・排便の改善とあわせて必要

入所時に留置されていた尿道カテーテルを抜去した

3つのうちいずれか1つで算定できる

(Ⅲ)の要件には含まれない

尿道カテーテルの抜去は、2024年度の改定で(Ⅱ)に加わった要件で、(Ⅲ)には含まれていません。排尿・排便が「一部介助」から見守り等に変わった場合は、改善と評価してよいとされており、様式の「見守りや声かけ等のみで『排尿・排便』が可能」で「はい」を選んだ場合が見守り等にあたります。一方、入所時に尿意・便意を職員に伝えられたのに、職員が適時に介助できないことを主な理由におむつへ排せつしていた人は、その後おむつを外せても加算の対象になりません。判定の起点になるのは入所時の評価なので、届出より前から入所している人は、届出の時点で介護記録などから入所時の状態を評価して残しておきます。

(参考:「厚生労働大臣が定める基準」(平成27年厚生労働省告示第95号)第71号の3、老企第40号、厚生労働省「令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)」問177)

評価から支援計画の見直しまでの進め方

入所者ごとに、次の順で進めます。評価日、支援計画の見直し日、LIFEへの提出月を入所者ごとの一覧にして、医師または医師と連携した看護師の評価日程を先に押さえておくと、3月の間隔を超えるのを防ぎやすくなります。

  1. 入所時の評価:医師または医師と連携した看護師が、別紙様式6で4項目を評価します。看護師が評価した場合は、支援を始める前に内容を医師に報告します。よくある失敗は、看護師の評価だけで支援を始め、医師への報告の記録が残っていないことです。
  2. 原因分析と支援計画の作成:評価した医師または看護師、介護支援専門員、その入所者をよく知る介護職員が加わり、必要に応じて薬剤師、管理栄養士、理学療法士、作業療法士なども加えて、別紙様式6で支援計画を作ります。特養では、施設サービス計画に下線や枠で区別して書くことで支援計画に代えられます。よくある失敗は、要因分析と結びつかない画一的な計画にしてしまうことです。
  3. 本人と家族への説明:計画の作成に関わった人が、排せつの状態と今後の見込み、支援の必要性、要因分析と計画の内容を説明し、理解と希望を確かめてから支援を始めます。よくある失敗は、支援を始めたあとでも希望に応じていつでも中断・中止できることの説明が抜けることです。
  4. 3月ごとの評価と見直し:少なくとも3月に1回評価し、その評価に基づいて支援計画を見直します。計画に実施上の問題があれば、3月を待たずに見直します。よくある失敗は、評価と見直しを別々の日程で管理して、どちらかが3月を超えることです。
  5. 区分の判定:評価のたびに入所時の評価と比べ、(Ⅰ)〜(Ⅲ)のどれで算定するかを入所者ごとに決めて請求に反映します。よくある失敗は、前回の区分をそのまま請求に使い、改善や悪化を反映し忘れることです。

(参考:老企第40号)

LIFEへの提出時期と入院で中断したときの扱い

LIFEには、入所者全員について、別紙様式6の「基本情報」「排せつの状態」「排せつ支援に係る取組」「排せつに関する支援の必要性」を、やむを得ない場合を除いて提出します。提出するのは、すでに入所している人は算定を始める月、新たに入所した人は入所した月、そのあとは評価を行った月(少なくとも3月に1回)の情報で、いずれも翌月10日までに提出します。月末に入所して情報を集める時間がないなどのやむを得ない場合は、翌々月10日までの提出でもよいとされていますが、その人の入所月の分は算定できません。提出すべき月の情報を期限までに出せないことが分かったときは、直ちに届出を出す必要があり、その月のサービス提供分から提出した月の前月分まで、入所者全員について算定できなくなります。

入院などでサービスの利用が中断したときは、中断の長さで提出する情報が変わります。

中断の状況

LIFEへの提出

再入所を前提とした30日未満の中断

サービス利用終了時・利用開始時の情報は提出しなくてよい

30日以上の中断が決まったとき

決まった時点で「サービス利用終了時」として、入院までの最新の評価を提出する。評価できていない項目があっても、評価できた項目を提出すれば算定できる

30日以上の中断のあとに再開したとき

再開した時点で「サービス利用開始時」の情報を提出する

入院が決まった段階で中断が30日を超えそうかを確かめ、超えるときは入院前の最新の評価を提出できるようにしておきます。提出期限の考え方は「LIFEの提出期限|翌月10日の数え方と間に合わないときの扱い・例外」で、LIFEの仕組みは「科学的介護とは・LIFEとは」で解説しています。

(参考:厚生労働省「科学的介護情報システム(LIFE)関連加算に関する基本的な考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について」(老老発0315第4号)、厚生労働省「科学的介護情報システム(LIFE)第1回説明会 説明Ⅲ よくあるお問い合わせについて」)

まとめ

排せつ支援加算は、入所者全員の評価、原因分析に基づく支援計画、3月ごとの評価と見直し、LIFEへの提出で(Ⅰ)を算定し、入所時と比べて排せつの状態が改善した入所者は(Ⅱ)(Ⅲ)で算定する加算です。出発点は入所時の評価で、既入所者も含めて入所時の状態を記録に残しておくことが、(Ⅱ)(Ⅲ)の判定と、入所者一人ひとりの排せつの自立に向けた支援の土台になります。次に、入所者ごとの評価日・見直し日・LIFE提出月の一覧を作り、医師または看護師の評価日程と多職種の会議の日程を決めてください。同じく評価と計画で算定する加算は、「褥瘡マネジメント加算とは|(Ⅰ)と(Ⅱ)の違いと評価・ケア計画の進め方」と「自立支援促進加算とは|単位数・算定要件と医学的評価・支援計画・LIFE提出の進め方」で扱っています。

参考