個別機能訓練加算は、利用者ごとの計画に沿って機能訓練を行う事業所を評価する加算です。通所介護と地域密着型通所介護では、(Ⅰ)イが1日56単位、(Ⅰ)ロが1日76単位です。(Ⅱ)は1月20単位で、LIFEへの情報の提出が要件に加わります。

区分によって違うのは、機能訓練指導員の配置です。計画の作成、居宅訪問、3か月ごとの見直しは、どの区分にも共通します。(Ⅰ)ロの配置の要件は、2024年度の介護報酬改定で変わりました。改定前の資料で体制を組んだ事業所は、現行の要件と照らしてください。

この記事では、個別機能訓練の考え方と対象者、区分ごとの単位数と要件を扱います。ほかのサービスの同じ名前の加算と、計画書の項目も整理します。LIFEへの提出と算定までの手順も扱います(2026年10月時点)。

個別機能訓練の考え方と対象者

通所介護の事業所は、人員基準で機能訓練指導員を1人以上置くことになっています。機能訓練指導員は、日常生活に必要な機能の減退を防ぐ訓練を行う能力を持つ者です。この配置は、加算を算定しない事業所にも求められます。

個別機能訓練加算が評価するのは、その先の取り組みです。まず、専ら機能訓練指導員の職務に従事する理学療法士等を置きます。次に、多職種が共同して、利用者ごとに個別機能訓練計画を作ります。そのうえで、計画に基づいて理学療法士等が訓練を行います。

留意事項通知は、この加算の目的を次のように説明しています。利用者の生活機能の維持・向上を図り、居宅で可能な限り自立して暮らし続けることです。そのため、目標を「立つ」「歩く」といった身体機能の向上だけにはしません。「自宅の風呂に一人で入る」のような、具体的な生活上の行為の達成を含めます。

加算の対象になるのは、理学療法士等から直接訓練を受けた利用者です。告示と留意事項通知の加算の項に、要介護度や疾患で対象者を絞る定めはありません。訓練は、5人程度以下の小集団か個別で行います。小集団は、似た目標を持ち、同じ訓練項目を選んだ利用者でつくります。機能訓練指導員が直接行うことが条件で、介護職員などが補助に入ることは差し支えありません。回数は、おおむね週1回以上が目安です。なお、利用者の都合などで訓練を実施しなかった日は、(Ⅰ)イも(Ⅰ)ロも算定できません。

(参考:指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準 第93条、厚生労働大臣が定める基準 第16号、留意事項通知(老企第36号)、「リハビリテーション・個別機能訓練、栄養、口腔の実施及び一体的取組について」)

通所介護の区分ごとの単位数と配置の要件

単位数は、指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準の別表にあります。通所介護費の注13です。算定要件は、厚生労働大臣が定める基準の第16号に定められています。地域密着型通所介護も、単位数と要件は同じです。2026年6月の改定後の別表でも、単位数は変わっていません。

区分

単位数

機能訓練指導員の配置

そのほかの要件

個別機能訓練加算(Ⅰ)イ

1日につき56単位

専ら機能訓練指導員の職務に従事する理学療法士等を1名以上配置

居宅を訪問したうえで計画を作成し、計画に基づいて理学療法士等が訓練を実施。その後3か月ごとに1回以上、居宅を訪問して説明と見直しを行う

個別機能訓練加算(Ⅰ)ロ

1日につき76単位

(Ⅰ)イの1名に加えて、専ら機能訓練指導員の職務に従事する理学療法士等を1名以上配置

(Ⅰ)イと同じ

個別機能訓練加算(Ⅱ)

1月につき20単位

(Ⅰ)イまたは(Ⅰ)ロの配置

(Ⅰ)イまたは(Ⅰ)ロの要件に加えて、個別機能訓練計画書の内容などの情報を厚生労働省に提出し、訓練の実施に活用する

表の「理学療法士等」は、次の資格を持つ者です。理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、柔道整復師が含まれます。あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師も含まれます。はり師ときゅう師には、6か月以上の経験の条件があります。ほかの資格の機能訓練指導員がいる事業所で、機能訓練指導に従事した経験です。

(Ⅰ)イと(Ⅰ)ロは、同時には算定できません。(Ⅱ)は、(Ⅰ)に上乗せして算定する区分です。定員超過や人員欠如の減算にあたる場合は、どの区分も算定できません。

(Ⅰ)ロの配置は、2024年度の改定で変わりました。改定前は、追加の1名を、サービスを行う時間帯を通じて配置する必要がありました。改定でこの定めがなくなり、単位数は85単位から76単位になりました。現行で(Ⅰ)ロの対象になるのは、2名以上がそろう時間帯に訓練を受けた利用者です。厚生労働省のQ&Aは、次の例を挙げています。9時から12時と10時から13時に、1名ずつ配置する例です。この例では、10時から12時に訓練を受けた利用者が(Ⅰ)ロの対象です。1名だけの時間帯に訓練を受けた利用者は、(Ⅰ)イを算定できます。

配置時間の長さに定めはなく、常勤か非常勤かも問われません。ただしQ&Aは、計画の策定、訓練、評価に要する時間を踏まえて配置するよう求めています。病院や訪問看護ステーションとの連携で確保することは、認められていません。人員基準で置いた機能訓練指導員が専従の理学療法士等なら、(Ⅰ)イの配置を満たします。看護職員が機能訓練指導員を兼ねる場合は、注意が必要です。その職務の時間は、看護職員の人員基準の算定に含められません。

体制を確保できるのが特定の曜日や時間帯だけでも、算定はできます。その場合は、曜日や時間帯をあらかじめ定めます。利用者と居宅介護支援事業者に周知しておくことも必要です。まず、勤務表から、専従の理学療法士等がいる時間帯を曜日ごとに書き出してください。通所介護のほかの加算は「デイサービスの加算一覧」で解説しています。

(参考:指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準、厚生労働大臣が定める基準 第16号・第51号の5、留意事項通知(老企第36号)、厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」、「令和3年度介護報酬改定における改定事項について」、「令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)」問53〜58)

ほかのサービスの個別機能訓練加算との違い

同じ名前の加算は、ほかのサービスにもあります。ただし、単位数と配置の要件は、サービスごとに違います。告示で確かめられたサービスを、次の表にまとめます。介護予防のサービスは、表に含めていません。

サービス

区分と単位数

機能訓練指導員の配置

通所介護、地域密着型通所介護

(Ⅰ)イ 1日56単位、(Ⅰ)ロ 1日76単位、(Ⅱ)1月20単位

専ら機能訓練指導員の職務に従事する理学療法士等を1名以上。(Ⅰ)ロはさらに1名以上

認知症対応型通所介護

(Ⅰ)1日27単位、(Ⅱ)1月20単位

サービスを行う時間帯に1日120分以上、専ら機能訓練指導員の職務に従事する理学療法士等を1名以上

短期入所生活介護

1日56単位

専ら機能訓練指導員の職務に従事する理学療法士等を1名以上

特定施設入居者生活介護、地域密着型特定施設入居者生活介護(短期利用と外部サービス利用型を除く)

(Ⅰ)1日12単位、(Ⅱ)1月20単位

専ら機能訓練指導員の職務に従事する常勤の理学療法士等を1名以上。利用者が100人を超える特定施設は、常勤換算で利用者数を100で除した数以上の配置も必要

介護老人福祉施設、地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護

(Ⅰ)1日12単位、(Ⅱ)1月20単位、(Ⅲ)1月20単位

専ら機能訓練指導員の職務に従事する常勤の理学療法士等を1名以上。入所者が100人を超える介護老人福祉施設は、常勤換算で入所者数を100で除した数以上の配置も必要

違いは、配置だけではありません。短期入所生活介護は、通所介護と同じく居宅訪問が要件です。計画を作る前と、その後3か月ごとに1回以上、利用者の居宅を訪問します。一方、特定施設と介護老人福祉施設には、居宅訪問の定めがありません。求められているのは、開始時と3か月ごとに1回以上の説明と記録です。計画の内容を、利用者に説明します。

(Ⅱ)は、どのサービスでもLIFEへの提出と活用が要件です。表の最後の行の(Ⅲ)は、2024年度の改定でできた区分です。(Ⅱ)に加えて、口腔衛生管理加算(Ⅱ)と栄養マネジメント強化加算の算定が要件です。機能訓練、口腔、栄養の情報を、関係する職種で共有することも求められます。

通所介護の解説を、施設にそのまま当てはめないようにします。体制届と請求の前に、自事業所のサービスの行を確かめてください。

(参考:指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準、指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準、指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準、厚生労働大臣が定める基準 第36号・第63号の3の2・第86号の3の2、留意事項通知(老企第40号、老計発第0331005号ほか))

計画の作成から見直しまでの流れ

厚生労働省の通知は、通所介護での進め方を3つの段階で示しています。目標の設定と計画の作成、訓練の実施、実施後の対応です。管理者には、この手順を事業所であらかじめ定めることが求められています。

最初の段階では、利用者の希望と生活の状況を把握します。通知は、4つの方法を挙げています。1つ目は、興味・関心チェックシートです。している行為と、してみたい行為を聞き取ります。2つ目は、居宅訪問です。生活機能チェックシートを使い、居宅の環境とADL・IADLの状況を確かめます。3つ目は、医師や歯科医師からの情報です。必要に応じて、病名、治療の経過、訓練上の留意事項を確かめます。4つ目は、介護支援専門員からの情報です。居宅サービス計画の目標や意向を確かめます。

目標は、長期目標と短期目標に分けて設定します。長期目標には、心身機能、活動、参加をバランスよく含めます。短期目標は、長期目標の達成に必要な行為を細かく分けたものです。訓練項目は、短期目標に対応させて決めます。複数の種類の項目を準備し、利用者が選べるように援助します。

計画ができたら、機能訓練指導員等が利用者か家族に説明し、同意を得ます。そのとき、計画書を交付します。介護支援専門員にも計画書を交付し、同意を得たことを報告します。

訓練を始めたあとは、3か月ごとに1回以上、利用者の居宅を訪問します。居宅での生活状況を確かめ、訓練の実施状況と効果を説明して記録します。説明と記録は、訪問とは別の日に、ICTなどを使って行っても差し支えありません。介護支援専門員にも、おおむね3か月ごとに1回以上、報告と相談をします。利用者と家族の意向を確かめたうえで、目標と訓練項目を見直します。

(参考:「リハビリテーション・個別機能訓練、栄養、口腔の実施及び一体的取組について」第二章第二、厚生労働大臣が定める基準 第16号、留意事項通知(老企第36号))

個別機能訓練計画書に書く項目

個別機能訓練計画書の様式は、通知の別紙様式3-3として示されています。通知は、この様式を参考に作成することとしています。項目は次のとおりです。

様式の区分

項目

書くときの確認点

冒頭の欄

作成日、前回作成日、初回作成日、氏名、性別、生年月日、要介護度、計画作成者と職種、障害高齢者の日常生活自立度、認知症高齢者の日常生活自立度

作成日、要介護度、2つの日常生活自立度は、(Ⅱ)でLIFEへ提出する項目

Ⅰ 利用者の基本情報

利用者本人の希望、家族の希望、利用者本人の社会参加の状況、利用者の居宅の環境(環境因子)、健康状態・経過(病名、発症日・受傷日、直近の入院日・退院日、治療経過、合併症)、機能訓練実施上の留意事項

別紙様式3-1(興味・関心チェックシート)と別紙様式3-2(生活機能チェックシート)を別に活用する

Ⅱ 個別機能訓練の目標・個別機能訓練項目の設定

機能訓練の短期目標(今後3ヶ月)と長期目標(それぞれ機能・活動・参加)、前回作成した目標の達成度(達成・一部・未達)、個別機能訓練項目(プログラム内容、留意点、頻度、時間、主な実施者)、プログラム立案者、利用者本人・家族等がサービス利用時間以外に実施すること、特記事項

プログラム内容は「何を目的に(〜のために)〜する」の形で書く。訓練項目は短期目標の行為に対応させる。目標には達成の目安となる期間も書く

Ⅲ 個別機能訓練実施後の対応

個別機能訓練の実施による変化、個別機能訓練実施における課題とその要因

初回の作成時は記載不要

末尾の欄

事業所名、説明日、説明者

説明した日と説明した職員を書く

確かめたいのは、ⅠとⅡのつながりです。本人の希望と居宅の環境が、目標に反映されているかを見ます。次に、訓練項目が短期目標の行為に対応しているかを見ます。目標や訓練項目を変更したときは、計画書を再作成するか更新します。最新の内容を、いつでも把握できるようにしておくためです。

この様式を使わない方法も認められています。計画に相当する内容を通所介護計画の中に書けば、それで代えられます。機能訓練、栄養、口腔を一体的に書く別紙様式1-3でも代えられます。ただし、別紙様式1-3の一部だけを記入した場合は、代えられません。様式には、同意の署名の欄がありません。同意を得た日も、記録に残しておきます。

訓練の記録は、計画書とは別に必要です。記録するのは、目標、訓練項目、訓練の実施時間、実施者などです。利用者ごとに保管し、訓練に従事する職員がいつでも閲覧できるようにします。

(参考:「リハビリテーション・個別機能訓練、栄養、口腔の実施及び一体的取組について」、別紙様式3-3「個別機能訓練計画書」、留意事項通知(老企第36号))

LIFEへの提出と2026年度の運用

個別機能訓練加算(Ⅱ)では、厚生労働省への情報の提出にLIFEを使います。提出する月は、次の3つです。計画を新しく作成した月、計画を変更した月、そのほか少なくとも3か月に1回です。期限は、それぞれの翌月10日です。

提出するのは、2つの様式の情報です。生活機能チェックシートからは、評価日、ADL、IADL、基本動作などを提出します。個別機能訓練計画書からは、作成日、病名と合併症、訓練項目などを提出します。訓練項目は、プログラム内容、頻度、時間です。提出して終わりではありません。提出した情報とフィードバックを、計画の見直しに活用することも求められます。加算ごとの提出の頻度は「LIFEへの提出が必要な加算の一覧」にまとめています。

LIFEは、2026年5月11日から国民健康保険中央会の運用に移りました。厚生労働省が運用していたLIFEからの移行期間は、2026年7月31日まででした。厚生労働省は、加算を続けて算定するには移行作業が必要だと通知しています。(Ⅱ)を算定している事業所は、移行が済んでいるかを確かめてください。移行後の操作は「LIFEのデータ提出方法」で解説しています。

なお、通所介護には、ADL値をLIFEへ提出するADL維持等加算もあります。要件は「ADL維持等加算の算定要件」で解説しています。

(参考:「科学的介護情報システム(LIFE)関連加算に関する基本的な考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について」、介護保険最新情報Vol.1495)

算定までの手順とよくある失敗

通所介護を例に、算定を始めるまでの手順を示します。

  1. 区分を決めて、機能訓練指導員の配置を確かめます。専従の理学療法士等がいる曜日と時間帯を、勤務表から書き出します。よくある失敗は、2名がそろわない時間帯の訓練にも(Ⅰ)ロを算定することです。
  2. 指定権者に体制届を出します。通所介護では、届出が15日以前なら翌月から、16日以降なら翌々月から算定できます。よくある失敗は、届出が16日以降になり、算定の開始が1か月遅れることです。サービスごとの違いは「介護加算はいつから算定できるか」で解説しています。
  3. 機能訓練指導員等が利用者の居宅を訪問し、生活状況を確かめます。生活機能チェックシートに、評価日と確かめた内容を記録します。よくある失敗は、事業所での聞き取りだけで計画を作ることです。
  4. 多職種で計画書を作り、利用者か家族に説明して同意を得ます。計画書は、利用者と介護支援専門員に交付します。よくある失敗は、目標が「筋力をつける」のような身体機能だけになることです。
  5. 計画に沿って訓練を行い、記録します。記録には、訓練項目、実施時間、実施者を書きます。よくある失敗は、訓練を実施しなかった日にも加算を算定することです。
  6. 3か月ごとに1回以上、居宅を訪問して説明し、計画を見直します。利用者ごとの次の訪問月を、一覧にしておきます。よくある失敗は、訪問の間隔が3か月を超えることです。
  7. (Ⅱ)を算定する場合は、LIFEへ提出します。よくある失敗は、計画を変更した月の提出を忘れることです。

手順3、6、7は、利用者ごとに期限が違います。利用者の数が増えると、紙の台帳だけでは追いにくくなります。介護ソフトを使う事業所は、次の2点を確かめてください。計画書と記録を別紙様式の項目で作れるかと、次の訪問月や提出月を一覧で出せるかです。介護ソフトの機能の範囲は「介護ソフトの基本機能」で解説しています。

(参考:留意事項通知(老企第36号)、「令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)」問57)

まとめ

個別機能訓練加算は、専従の理学療法士等の配置と計画に基づく訓練を評価する加算です。通所介護では、居宅訪問と3か月ごとの見直しが、どの区分にも共通する要件です。出発点は、専従の理学療法士等がいる曜日と時間帯を書き出すことです。次に、利用者ごとの計画書、居宅訪問の記録、訓練の記録がそろっているかを確かめてください。ほかのサービスの事業所は、自事業所のサービスの単位数と配置の要件を告示で確かめます。要件の解釈に迷う点は、指定権者に確認してください。

参考