日常生活継続支援加算は、入所者の割合の条件(3つのうちいずれか1つ)と、介護福祉士の配置(入所者6人に1人以上)の両方を満たす特養が算定できる加算です。割合も人数も、届出の時点だけでなく届出後も毎月満たし続ける必要があるため、数え方を最初に決めて記録の仕組みを作ることが、算定を続けるための前提になります。この記事では、対象と単位数、入所者の割合の数え方、介護福祉士の配置要件、サービス提供体制強化加算との関係、届出前後の確認手順を扱います(2026年9月時点)。

対象サービスと単位数

日常生活継続支援加算を算定できるのは、介護老人福祉施設(特養)と地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護です。単位数は1日につき、従来型の施設サービス費を算定する施設の(Ⅰ)が36単位、ユニット型の施設サービス費を算定する施設の(Ⅱ)が46単位で、2026年6月の改定後もこの単位数です。なお、この記事で紹介する割合や人数の数え方は特養の留意事項通知(老企第40号)によるものです。地域密着型の場合は、地域密着型サービスの留意事項通知で同じ扱いかを確認してください。

(参考:厚生労働省「介護報酬の算定構造のイメージ(R8.6.1)」、「指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準」(平成12年厚生省告示第21号))

入所者の割合の3つの条件と数え方

入所者の割合は、次の3つの条件のうちいずれか1つを満たせば足ります。条件ごとに、割合の分母と計算する期間が違います。

条件

基準

分母と計算する期間

判定に使う情報

要介護4または要介護5の人の割合

新規入所者の総数の70%以上

算定日の属する月の前6月間または前12月間の新規入所者

入所日時点の要介護度

認知症の人(日常生活自立度Ⅲ・Ⅳ・M)の割合

新規入所者の総数の65%以上

算定日の属する月の前6月間または前12月間の新規入所者

入所日時点の日常生活自立度

たんの吸引や経管栄養を必要とする人の割合

入所者の15%以上

入所者全体。届出日の属する月の前4月から前々月までの3月間の、各月末日時点の割合の平均

社会福祉士及び介護福祉士法施行規則第1条各号の行為(口腔内・鼻腔内・気管カニューレ内部の喀痰吸引、胃ろう・腸ろうによる経管栄養、経鼻経管栄養)の要否

上の2つの条件は新規入所者だけで数え、前6月間と前12月間のどちらで計算してもかまいません。一方、たんの吸引などの条件は新規入所者ではなく入所者全体が分母で、期間も「前4月から前々月までの3月間」と決まっています。3つを同じ分母で数えると、満たしているのに満たしていないと判断したり、その逆になったりするため、条件ごとに分けて計算してください。

なお、要介護度と日常生活自立度は、いまの判定結果ではなく、その人が入所した日の判定結果を使います。このほか、定員超過利用や人員基準欠如に該当していないことも要件です(地域密着型は通所介護費等の算定方法第10号、特養は同第12号)。

(参考:厚生労働省「厚生労働大臣が定める施設基準」(平成27年厚生労働省告示第96号)第41号・第50号、厚生労働省の留意事項通知(平成12年3月8日老企第40号)第2の5(10)②〜④、社会福祉士及び介護福祉士法施行規則第1条)

介護福祉士の配置要件と人数の数え方

介護福祉士の数は、常勤換算方法で、入所者の数が6またはその端数を増すごとに1以上必要です。介護機器を使うなどの追加要件を満たす場合は、7またはその端数を増すごとに1以上に緩和されます。

入所者の数は、人員基準と同じく前年度の平均を使います。介護福祉士の数は、届出日の属する月の前3月間の員数の平均を常勤換算方法で出した値で判断し、各月の前月の末日時点で資格を取得している人だけを数えます。たとえば前年度の平均入所者数が50人の場合、必要な介護福祉士は、6人に1人の計算で常勤換算9人以上、7人に1人の計算で常勤換算8人以上です。

(参考:厚生労働省「厚生労働大臣が定める施設基準」(平成27年厚生労働省告示第96号)第41号・第50号、厚生労働省の留意事項通知(平成12年3月8日老企第40号)第2の5(10)⑤)

7人に1人で算定する場合の追加要件

7人に1人の配置で算定するには、施設基準で次の3つをすべて満たす必要があります。

  1. 業務の効率化や職員の負担軽減に役立つ介護機器を、複数の種類使っていること。
  2. 介護職員、看護職員、介護支援専門員などが共同で、入所者のアセスメントと身体の状況などの評価を行い、職員配置を見直していること。
  3. 入所者の安全とケアの質の確保、職員の負担軽減と勤務状況への配慮、介護機器の定期的な点検、介護機器を安全に使うための職員研修を行い、これらを検討する委員会を設けて実施状況を定期的に確認していること。

留意事項通知は、この委員会を3月に1回以上開くこと、介護機器の使用方法の講習やヒヤリ・ハット事例の周知などを含む職員研修を定期的に行うことを求めています。また、3月以上の試行期間を設け、その間は6人に1人の要件を満たしたまま、委員会で人員体制と職員の負担を確かめてから届け出ること、届出の際に委員会の議事概要を提出することも求めています。7人に1人で届け出る予定なら、試行期間と委員会の記録を逆算して準備を始めてください。

(参考:厚生労働省「厚生労働大臣が定める施設基準」(平成27年厚生労働省告示第96号)第41号イ(3)、厚生労働省の留意事項通知(平成12年3月8日老企第40号)第2の5(10)⑥で準用する第2の4(7)⑤)

サービス提供体制強化加算とはどちらか一方

日常生活継続支援加算を算定する場合、サービス提供体制強化加算は算定できません。特養のサービス提供体制強化加算は、2026年6月の改定後、1日につき(Ⅰ)22単位、(Ⅱ)18単位、(Ⅲ)6単位です。

どちらを算定するかは、自施設の入所者の割合と介護福祉士の人数の実績から、どちらの要件を安定して満たせるかを比べて決めます。日常生活継続支援加算の単位数のほうが大きい一方、割合と人数を毎月確認し続ける必要があります。サービス提供体制強化加算の区分ごとの職員割合は、「サービス提供体制強化加算の算定要件」で解説しています。

(参考:厚生労働省「介護報酬の算定構造のイメージ(R8.6.1)」、厚生労働省の留意事項通知(平成12年3月8日老企第40号)第2の5(10)⑦)

届出前から算定後までの確認手順

  1. 新規入所者の一覧を作り、入所日、入所日時点の要介護度と日常生活自立度を記録する。現在の要介護度で数えてしまうのがよくある誤りです。
  2. 要介護4・5と認知症の割合を、前6月間と前12月間の2通りで計算する。片方の期間だけで満たさないと判断しないようにします。
  3. たんの吸引などを必要とする人の割合を、入所者全体を分母に、前4月から前々月までの各月末日時点で出して平均する。新規入所者を分母にしないよう注意します。
  4. 介護福祉士の常勤換算数を前3月間の平均で出し、前年度の平均入所者数から求めた必要数と比べる。前月の末日より後に資格を取った人を含めないようにします。
  5. 指定権者(特養は都道府県・指定都市・中核市、地域密着型は市町村)に届け出る。届出の様式や算定開始月の扱いは、指定権者の案内で確認します。
  6. 算定を始めたあとも、割合と介護福祉士の人数を毎月記録し、下回ったときは直ちに届け出る。年に1回の確認で済ませると、要件を満たさない月に算定を続けてしまうおそれがあります。

割合や人数を毎月記録していれば、要件を下回りそうな月を早めに見つけ、入所の受け入れや職員の配置を調整できます。重度の人や認知症の人を受け入れ続けられる体制を保つことが、入所者が施設で暮らしを続けられることにもつながります。加算の要件を告示と通知のどこで調べるかは、「介護加算の算定要件の調べ方」で解説しています。

まとめ

日常生活継続支援加算は、入所者の割合の3つの条件のいずれかと、介護福祉士の配置(6人に1人、要件を満たせば7人に1人)の両方を、届出後も毎月満たし続ける特養が算定できます。まず、新規入所者の一覧と入所者全体のたんの吸引などの状況、介護福祉士の常勤換算数を、条件ごとの期間で数えてください。そのうえで、サービス提供体制強化加算とどちらを算定するかを決め、毎月の記録の担当と様式を決めておきます。特養で算定できるほかの加算は、「特養(介護老人福祉施設)の加算一覧」で整理しています。

参考