介護請求は、月単位の流れで進みます。サービス提供月の月末に実績を確定し、翌月10日までに請求します。国保連の審査を経て、サービス提供月の翌々月に支払を受けます。事業所は国保連に請求するので、これは国保連請求の流れでもあります。
事業所が特に動く場面は、3つあります。月末の実績の突き合わせと、翌月10日の締切までの作成・点検・伝送です。審査結果通知が届いたあとの、返戻への対応もあります。
この記事は、居宅サービス事業所の請求担当者に向けたものです。4つの段階の時期と確認点を整理します(2026年10月時点)。請求する費用の範囲や書類の基本は「介護請求とは」で解説しています。
介護 請求の 4段階と 時期
介護保険法は、事業者からの請求を市町村が審査したうえで支払うと定めています。その審査と支払の事務は、国民健康保険団体連合会(国保連)に委託できます。請求の方法と期限は、省令が定めています。「介護給付費及び公費負担医療等に関する費用等の請求に関する命令」です。この省令は、請求先の「審査支払機関」を、市町村または事務の委託を受けた国保連としています。実務では、事業所は国保連に請求します。
段階 | 時期 | 事業所がすること・届くもの |
|---|---|---|
実績確定 | サービス提供月の月末 | サービス提供の実績を確定する。居宅介護支援事業所などは、月末時点のサービス利用票(控)から給付管理票を作成する |
請求 | サービス提供月の翌月10日まで | 介護給付費請求書と介護給付費明細書を作成し、国保連に伝送または光ディスク等で提出する |
審査 | 翌月の月末ごろ | 国保連から審査結果通知(審査決定増減表や返戻(保留)一覧表など)が届く。該当がなければ届かない |
支払 | サービス提供月の翌々月 | 支払決定額通知書などが届き、介護給付費が支払われる |
請求の期限は、省令で定められています。一方、審査結果通知と支払の日は、国民健康保険中央会の手引きが示す基準日です。手引きでは、請求締切日・審査結果通知・支払通知の日は月によって前後するとされています。手引きによると、国保連は毎年3月に翌年度の日程を事業所に送付します。事業所の予定表には、この日程表の日付を書き込むとよいでしょう。
(参考:介護保険法第41条第9項・第10項、介護給付費及び公費負担医療等に関する費用等の請求に関する命令第1条第3項・第2条・第3条、国民健康保険中央会「介護給付費請求の手引き(審査支払結果帳票の解説)」令和7年12月)
月末の 実績と 給付 管理票の 突き 合わせ
給付管理票は、居宅介護支援事業所などが作成します。事業所ごと・サービス種類ごとの給付額を、月末時点のサービス利用票(控)から作ります。当初のサービス利用票の給付計画単位数を上回るような場合は、サービス利用票等の再作成が必要です。記載要領では、再作成後の計画を記載するとされています。
国保連は、サービス事業所の明細書と給付管理票を突き合わせて審査します。明細書に誤りがなくても、給付管理票が未提出か返戻になっていると、明細書は「保留」になります。保留の間、支払は行われません。保留の有無や期間は、国保連ごとに異なります。他県の被保険者の分は、保留ではなく返戻になります。また、給付管理票の計画単位数が明細書より少ないと、明細書が返戻になる例も手引きにあります。
このため、サービス事業所の担当者は、計画より利用が増えた利用者がいないかを確かめます。いれば月末までに居宅介護支援事業所に伝え、サービス利用票の再作成が必要かを確認しておきます。計画と実績がそろっていれば、請求が戻って支払が遅れることを防げます。
(参考:厚生労働省「「介護給付費請求書等の記載要領について」の一部改正について」(令和8年3月31日老老発0331第1号)、国民健康保険中央会「介護給付費請求の手引き(審査支払結果帳票の解説)」令和7年12月)
翌月 1日から 10日までの 作成・ 点検・ 伝送
請求は、各月分について翌月10日までに行わなければなりません。伝送による請求は、審査支払機関のファイルに記録された時に到達したものとみなされます。送信の操作をしていても、締切日までに記録されていなければ、期限内に到達したことになりません。国保連の請求受付期間は、手引きでは毎月1日から10日が基準とされています。
作成・点検・伝送は、締切日から逆算して日付を決めます。伝送でエラーが出たときに直して送り直す日を、締切日の前に残しておきます。期限の根拠と逆算の段取りは「介護請求の締め日」で詳しく解説しています。
(参考:介護給付費及び公費負担医療等に関する費用等の請求に関する命令第3条、国民健康保険中央会「介護給付費請求の手引き(審査支払結果帳票の解説)」令和7年12月)
審査 結果 通知の 確認と 返戻への 対応
審査結果通知の「請求明細書・給付管理票返戻(保留)一覧表」には、返戻と保留が載ります。返戻は、明細書や給付管理票に誤りがあって返却されたものです。返戻となった明細書は支払われません。誤りを直して、次の請求受付期間中に再請求します。一部だけが支払われる「査定」もあります。査定や、給付管理票が原因の返戻・保留は、居宅介護支援事業所などと連絡して調整します。再請求までの手順は「介護請求の返戻とは」で解説しています。
支払を受けたあとに誤りが見つかった場合は、返戻とは別に「過誤調整」で対応します。審査決定済の請求を取り下げて、改めて正しい請求を行う手続です。事業所が保険者に取下げを依頼し、過誤決定通知書で取下げの完了を確かめてから再請求します。手続の詳細は「介護請求の過誤とは」で解説しています。
(参考:国民健康保険中央会「介護給付費請求の手引き(審査支払結果帳票の解説)」令和7年12月、厚生労働省老健局「介護保険施設等に対する監査マニュアル」令和6年4月)
直近 1か 月の 請求 日程の 書き出し
流れを担当者で共有するときは、直近1か月の実際の日付を書き出します。決まりを文章で説明するより、どの段階に余裕がないかを見つけやすくなります。次の順に書き出してみてください。
- 国保連の日程表で、その月の請求締切日・審査結果通知・支払の日を確認して書きます。締切日を毎月10日と決めつけず、日程表の日付を使います。
- 月末に、利用実績と居宅介護支援事業所の計画を突き合わせた日を書きます。計画より増えた利用を伝えないまま請求し、返戻や保留になっていないかも振り返ります。
- 明細書と請求書を作成した日と、点検を終えた日を書きます。請求ソフトのエラーチェックだけで済ませず、サービス提供の記録と照らし合わせたかも確かめます。
- 伝送した日と、国保連の受付を確認した日を書きます。送信の操作をしただけで、受付の確認をしていない月がないかを見ます。
- 審査結果通知を確認した日と、返戻分を再請求した日を書きます。返戻一覧を見落として、再請求が翌月以降にずれていないかを確かめます。
締切日に近い日付が続く段階があれば、その段階の開始日を前倒しできないかを担当者で相談してください。
まとめ
介護請求は、月単位の流れで進みます。月末の実績確定、翌月10日までの請求、翌月末ごろの審査結果通知、翌々月の支払の順です。出発点は、国保連から届く年間の日程表を手元に置くことです。直近1か月の実際の日付を、4つの段階に当てはめます。そのうえで、月末に居宅介護支援事業所と利用実績を共有する日と、伝送の予備日を決めておきます。請求が戻る件数が減れば、報酬の入金が安定します。誤りを後から直すために、利用者やご家族に負担額の精算をお願いする場面も減らせます。

