介護請求ソフトは、介護給付費の請求データを作るためのソフトです。データは、国民健康保険団体連合会(国保連)へ提出します。介護保険請求システムと呼ばれることもあります。単位数の計算と請求データの作成は、どの製品にもある前提の機能です。製品ごとの差は、それ以外の点に出ます。

どの事業所にも合う製品が、1つに決まるわけではありません。提供するサービスや記録の方法が、事業所ごとに違うためです。そのため、この記事ではランキングの形の順位を付けません。

この記事では、製品を絞る5つの基準と、5製品を調べた2つの表を扱います。無料体験とデモでの確かめ方も整理します(2026年10月時点)。ソフトが受け持つ処理は「介護請求ソフトとは」で解説しています。

製品を絞る5つの基準

前提の機能を満たす製品どうしでは、次の5つで差が出ます。

  • 対応サービス種類:提供中のすべてのサービスを請求できるか。介護予防サービスと総合事業も含めて確かめます。
  • 記録との連携:記録した実績が、転記なしで請求データになるか。
  • 返戻・過誤の後の対応:審査結果の確認と、修正・再請求の操作を画面で追えるか。
  • 報酬改定時の更新:改定月の請求に間に合うか。更新に追加の費用がかかるか。
  • 料金体系:支払の方式と、料金に含まれる範囲。国保連への伝送の費用も確かめます。

5つのうち1つでも条件に合わない製品は、候補から外します。残った製品を無料体験で比べると、試す時間を操作の確認に使えます。

返戻は、誤りのある明細書などが国保連から返却されたもので、支払はありません。一方、過誤は、支払われた請求を保険者への依頼で取り下げる手続きです。詳しくは「介護請求の返戻とは」と「介護請求の過誤とは」で解説しています。

報酬改定のたびに、サービスコードや単位数は変わります。2026年6月の改定では、確定版のサービスコード表が5月25日付で示されました。これまでの改定でいつ更新が届いたかを、ベンダーに聞いておきます。

厚生労働省の手引きは、月額で払う製品と複数年分を一括で払う製品を挙げています。保守費用も、利用料に含む製品と別に設定する製品があります。見積もりでは、一定期間の支払総額と、料金に含まれる範囲をそろえます。伝送に必要な届出と電子証明書は「国保連伝送の始め方」で解説しています。

(参考:国民健康保険中央会「介護給付費請求の手引き(審査支払結果帳票の解説)」令和7年12月、厚生労働省「介護保険事務処理システム変更に係る参考資料(確定版)(令和8年5月25日事務連絡)」、厚生労働省「介護サービス事業所におけるICT機器・ソフトウェア導入に関する手引き」)

介護請求の機能を持つ5製品の料金と対応サービス

ここからは、介護保険の請求機能を持つ介護ソフトを5製品取り上げます。内容は、ケアロジカが2026年10月に各製品の公式サイトで確かめたものです。掲載の順は、評価の順位ではありません。料金や対応サービスは変わるので、最新の内容は各社の見積もりで確かめてください。

製品の特徴と料金は、次の製品比較表のとおりです。

製品名特徴料金
ほのぼのNEXT
公式サイト ↗
介護記録、請求、ケアプラン、LIFE対応などを幅広く備えた大規模事業者にも対応するソフト。年額5年間の使用権方式。金額は個別見積
かんたん介護ソフト
公式サイト ↗
複数の介護サービスに対応し、請求、伝送、利用者管理を分かりやすく行える。初期費用+月額月額10,780円+初回のみ契約事務手数料18,000円(税抜)。月額の税込・税抜は公式サイトの中で表記が分かれる(無料試用あり)
楽々ケアクラウド
公式サイト ↗
介護保険の請求、利用者管理、計画・実績管理をクラウドで行う。初期費用+月額初期20,000円、月額8,150円~(税別)
ケア樹
公式サイト ↗
介護記録と請求をクラウドで管理し、IoT機器やインカムとの連携にも対応する。年額ケア樹Freeは月額システム利用料0円で、事業所・サービスごとの年間費用。例:特養・老健・特定施設は1年目878,000円、2年目378,000円(税別)。施設以外は2年目以降サポート解除で年間最安9,800円(2か月無料体験あり)
まもる君クラウド
公式サイト ↗
記録、請求、売上管理をクラウドで提供。端末を選ばず利用できる。初期費用+月額初期0円、月額7,800円~(税別。1事業所番号・1サービスあたり。60日間無料体験あり)

次の表は、対応サービス、初期費用と契約の条件、無料で試せるかを並べたものです。「公式サイトで確認できず」は、記載が見つからなかったという意味です。機能が無いという意味ではありません。

製品

対応サービス(公式サイトで確認できたもの)

初期費用と契約の条件

無料で試せるか

ほのぼのNEXT

特養、老健、介護医療院、有料老人ホーム、グループホーム、ショートステイ、看多機、小多機、デイサービス、デイケア、訪問介護、訪問看護、訪問入浴、居宅介護支援、福祉用具貸与・販売

5年間のソフトウェア使用権を購入する方式。使用権パックの料金は問い合わせで確認

公式サイトで確認できず(無料デモの案内はあり)

かんたん介護ソフト

グループホーム、小多機、デイサービス、訪問介護、居宅介護支援、福祉用具貸与・販売、障害福祉サービス

初回のみ契約事務手数料18,000円(税抜)。保守費用はかからない

試せる(最大60日間)

楽々ケアクラウド

有料老人ホーム、グループホーム、ケアハウス、看多機、小多機、デイサービス、デイケア、訪問介護、訪問看護、訪問入浴、居宅介護支援、福祉用具貸与・販売、障害福祉サービス

初期・導入費用20,000円(税抜)。2サービスを契約しても同じ金額。含まれる範囲は公式サイトに記載なし

試せる

ケア樹

特養、老健、有料老人ホーム、サ高住、グループホーム、ショートステイ、看多機、小多機、デイサービス、デイケア、訪問介護、訪問看護、訪問入浴、居宅介護支援

ケア樹Freeは事業所・サービスごとの年間費用。初年度は初期費用がかかる。サポートは1年目必須

試せる(2か月間)

まもる君クラウド

有料老人ホーム、サ高住、グループホーム、看多機、小多機、デイサービス、デイケア、訪問介護、訪問看護、訪問入浴、居宅介護支援、福祉用具貸与・販売

初期費用0円。最低3か月の契約が必要で、その後の解約金はなし

試せる(60日間)

まず対応サービスの列で、自事業所のサービスがすべて入っているかを見ます。この列は、ケアロジカの製品データの区分で確かめた範囲です。列に無いサービスに対応している製品もあります。

LIFEとの連携は、かんたん介護ソフトが未対応と案内しています。ほかの4製品は、公式サイトで対応を確かめられました。また、5製品とも、デジタル化・AI導入補助金2026の対象ツールに登録されています。

(参考:各製品の公式サイト)

国保連への伝送と報酬改定・記録連携・返戻の確認結果

次の表は、毎月の請求の実務に関わる4項目です。各製品の公式サイトの記載をもとにまとめました。

製品

国保連への伝送

報酬改定時の追加費用

記録から請求への連携

返戻の確認と再請求

ほのぼのNEXT

同社の伝送サービス「ケアネットメッセンジャー」を案内。月額1,000円と初回登録料3,000円(税抜。1事業所番号あたり)

かからない

スケジュールの実績をもとにサービス費を算定(通所介護の説明)

伝送サービスにオプションの返戻管理あり。本体での操作は公式サイトで確認できず

かんたん介護ソフト

伝送の代行に対応。追加料金なし

かからない。総合事業と移動支援は、報酬改定や様式変更のときに依頼が必要

スマホで実施記録を作成できる。請求への反映のしかたは公式サイトで確認できず

利用者ごとの「請求保留・再請求」の画面で再請求を登録

楽々ケアクラウド

請求データを画面から直接送信できる。追加料金の有無は公式サイトで確認できず

公式サイトで確認できず

オプションの「楽々訪問アプリ」でサービス記録を入力できる。請求への反映のしかたは公式サイトで確認できず

公式サイトの記載が分かれる(「返戻管理、入金管理機能」とするページと、今後追加する機能とするページがある)

ケア樹

ケア樹Freeは有償オプション(税込13,200円/年。事業所・サービス種類ごと)。特養・老健・特定施設は施設パックに含む。代理請求の手続きが必要

かからない

ケア樹Freeは有償オプション(税込26,400円/年)。対象は通所介護、地域密着型通所介護、認知症対応型通所介護、訪問介護

伝送のオプションを使うと、請求結果をケア樹で確認できる

まもる君クラウド

オプションの伝送サービス「おくる君」が月額1,000円(税別。1事業所番号あたり)。CDなどでの請求や他社の伝送サービスも使える

かからない

「サービス予定・実績」からデータを取り込んで請求データを作成。訪問介護は実施記録の作成が実績登録に連動

「おくる君」で決定額通知書や返戻一覧表を受信し、ExcelかPDFで確認

国保連への伝送は、追加料金がかからない製品と、有償のオプションなどを使う製品がありました。月額の料金だけで比べず、伝送の費用を足した額で比べてください。

記録との連携と返戻の対応は、公式サイトの説明だけでは操作まで分かりません。次の手順で、無料体験やデモで確かめます。

(参考:各製品の公式サイト)

無料体験とデモでの確かめ方

候補を絞ったら、無料体験やデモで次の順に確かめます。

  1. 請求を終えた月のデータで試します。作成された請求データを、実際の請求と明細書ごとに突き合わせます。合計額が合っただけで判断しないようにします。
  2. 記録から請求までを通して操作します。記録した実績が、請求データに反映されるまでを見ます。請求の画面だけを見て終えないようにします。
  3. 返戻と過誤の後の再請求の操作を、デモで見せてもらいます。新しく請求する画面だけで判断しないようにします。
  4. 料金と更新の条件を文書で受け取ります。一定期間の支払総額、改定時と伝送の費用、解約の条件を確かめます。他社のソフトへ移るときのデータの出力方法も聞きます。初期費用と月額だけで比べないようにします。

実在の利用者の情報を試用環境に入れる前に、個人情報の取扱いをベンダーと取り決めてください。複数の製品を同じ条件で比べる進め方は「介護ソフトを公平に比較する進め方」で解説しています。

まとめ

介護請求ソフトは、順位ではなく、自事業所の条件に合うかで絞ります。出発点は、提供しているサービス種類と、いまの記録と請求の方法を書き出すことです。次に、2つの表で候補を絞り、無料体験やデモで請求結果と再請求の操作を確かめます。請求の誤りが減れば、利用者に渡す請求書の訂正も減らせます。

参考