Barthel Index(バーセルインデックス)は、ADLを評価する指標です。ADLは、食事や入浴などの日常生活動作を指します。10項目に点数を付け、合計を0〜100点で示します。点数が高いほど、動作の自立度が高いことを表します。

介護の現場では、LIFEへ提出するADLの評価に使われています。評価する職員によって点数が変わると、点数の変化から利用者の状態の変化を読めません。

この記事では、10項目の配点と、点数ごとの判定の目安を表で示します。もとにしたのは、厚生労働省の様式と手引きです。様式の添え書きで迷いやすい項目と、評価をそろえる手順も扱います(2026年10月時点)。

10項目の配点と合計点

配点は、LIFEの様式で確かめられます。「科学的介護推進に関する評価」(別紙様式1・2)のADLの欄です。選択肢は「自立」「一部介助」「全介助」の3つの列に並んでいます。ただし、点数の刻みは項目によって違います。

自立の点数

項目

点数の刻み

15点

椅子とベッド間の移乗、平地歩行

15点・10点・5点・0点の4段階

10点

食事、トイレ動作、階段昇降、更衣、排便コントロール、排尿コントロール

10点・5点・0点の3段階

5点

整容、入浴

5点・0点の2段階(一部介助でも0点)

自立の点数を10項目すべて足すと、100点になります。様式の選択肢を見ながら付けると、刻みの取り違えを防げます。

(参考:「科学的介護情報システム(LIFE)関連加算に関する基本的な考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について」(老老発0315第4号)別紙様式1・2。様式は厚生労働省「科学的介護」のページに掲載)

項目ごとの判定の目安

点数ごとの判定の基準は、厚生労働省の手引きに示されています。「ケアの質の向上に向けた科学的介護情報システム(LIFE)利活用の手引き」です。次の表は、手引きにある「動作の例」を項目ごとに要約したものです。項目名は様式に合わせ、点数には手引きの区分名を添えました。手引きでは、椅子とベッド間の移乗を「移乗」、平地歩行を「移動」と呼んでいます。

項目

点数

判定の目安(手引きの動作の例)

食事

10点(自立)

適切な時間内に自分で食べ終えられる。自助具を使ってもよい。食べやすい大きさに自分で切れる。エプロンを使う場合は、装着も自分でできる

食事

5点(部分介助)

食べ物を切る介助が必要(キザミ食など、提供する段階で切ってある場合は入らない)。エプロンの装着に介助が必要。食事に時間がかかる

食事

0点(全介助)

ほとんど介助で食べている。経管栄養で、注入を介助者が行っている

椅子とベッド間の移乗

15点(自立)

車いすでベッドに近づく、ブレーキをかける、ベッドに移る、起き上がって腰かける、車いすに移る、などの一連の動作を一人で安全にできる

椅子とベッド間の移乗

10点(部分介助または見守り)

一連の動作のいずれかに、最小限の介助や指示・見守りが必要。例は、立ち上がるときにお尻を軽く支える介助、車いすを止める位置への声かけ

椅子とベッド間の移乗

5点(介助)

自分で起き上がって腰かけられるが、立ち上がりと方向転換にかなりの介助が必要

椅子とベッド間の移乗

0点(全介助または不可能)

自分で起きられず、移乗もほぼ全介助。リフトなどを使っている

整容

5点(自立)

手洗い、洗顔、歯磨き、髪をとかす、ひげそりのすべてを一人でできる。道具の操作と管理も含む。化粧の習慣がある女性は、化粧も自分でできる

整容

0点(部分介助または全介助)

上の動作に一つでも介助が必要。例は、ひげそりを出す・スイッチを入れる・刃を交換する介助、歯ブラシに歯磨き粉をつける介助

トイレ動作

10点(自立)

便器への腰かけと立ち上がり、衣服の着脱と整え、トイレットペーパーの使用を一人で安全にできる。差し込み便器・尿器・ポータブルトイレは、使用後の清浄管理も一人でできる。リハビリパンツやパッドを使っていても、後処理まで一人でできる

トイレ動作

5点(部分介助)

一連の動作の一部に介助が必要。例は、立位を支える介助、ズボンの上げ下ろし、清拭、ポータブルトイレなどの清浄管理

トイレ動作

0点(全介助または不可能)

一連の動作がほぼ全介助。ベッド上でおむつ交換をしている

入浴

5点(自立)

体や髪を洗う、シャワーを使う、浴槽に入る、の一連の動作を一人で安全にできる

入浴

0点(部分介助または全介助)

一つでも見守りや介助が必要。例は、洗髪や洗体の介助、浴槽の出入りの介助、転ぶ危険があるための見守り、機械浴での入浴

平地歩行

15点(自立)

一人で安全に、約45m以上続けて歩ける。義肢、装具、杖、車輪の付いていない歩行器(ピックアップ歩行器など)は使ってよい。途中で休憩を挟んだ場合は、そこまでの距離で評価する

平地歩行

10点(部分介助)

脇を支える程度の介助や見守りがあれば、約45m以上続けて歩ける。または、車輪付きの歩行器(4輪歩行車など)を使い、一人で安全に約45m以上続けて歩ける

平地歩行

5点(車いす使用)

歩けないが、車いすを一人で安全に駆動できる。角を曲がる、方向転換、ベッドやトイレなどへの移動ができ、約45m以上続けて駆動できる

平地歩行

0点(上記以外)

歩けるが、約45m以上続けては歩けない。車いすを駆動できるが、約45m以上続けては移動できない

階段昇降

10点(自立)

手すりや杖を使い、一人で安全に1階分を昇り降りできる

階段昇降

5点(部分介助または見守り)

何らかの介助が必要。例は、一人では危ないための見守り、脇を支える介助

階段昇降

0点(全介助または不可能)

1階分の昇り降りに全介助が必要。3〜4段の昇り降りだけができる。まったく行えない

更衣

10点(自立)

普段の衣服(ボタン、ファスナーを含む)、靴、装具の着脱を、適切な時間内に一人でできる

更衣

5点(部分介助)

介助が必要だが、更衣動作全体の半分以上は一人ででき、適切な時間内に終えられる

更衣

0点(上記以外)

更衣動作の半分以上に介助が必要

排便コントロール

10点(自立)

便失禁がない。必要なときに座薬や浣腸を自分で使える。人工肛門(ストーマ)を使う場合は、パウチの交換や便の破棄を一人でできる

排便コントロール

5点(部分介助)

座薬・浣腸の使用に介助が必要。たまに失禁がある。時々、パウチの交換や便の破棄に介助が必要

排便コントロール

0点

ほとんど失禁している。常にパウチの交換や便の破棄に介助が必要

排尿コントロール

10点(自立)

昼夜とも排尿をコントロールでき、失敗がない。留置カテーテルや集尿器を使う場合は、装着、尿の破棄、清浄管理を一人でできる

排尿コントロール

5点(部分介助)

トイレに行くことや尿器の準備が間に合わない。たまに失禁がある。例は、昼間は失禁がないが、夜は数日に一度失禁があり、おむつを使っている場合

排尿コントロール

0点

ほとんど失禁している。留置カテーテルや集尿器の装着、尿の破棄、清浄管理に介助が必要

どの項目にも共通する基準があります。少しでも介助や見守りが必要で、そばに誰かがいないと安全に行えない場合は、自立になりません。表は例を要約したものです。評価の前に、手引きの原文(103〜106ページ)も確かめてください。

(参考:「ケアの質の向上に向けた科学的介護情報システム(LIFE)利活用の手引き」Ⅵ(3)ADL(Barthel Index))

様式の添え書きで迷いやすい項目

様式では、2つの項目の選択肢に短い添え書きがあります。添え書きだけでは判定しにくいので、手引きの例とあわせて確かめます。

1つ目は、平地歩行の歩行器です。様式では、10点の選択肢に「歩行器等」と添えられています。ただし手引きは、歩行器を車輪の有無で分けています。車輪の付いていない歩行器で一人で安全に歩けるなら、15点の例に入ります。

2つ目は、移乗の10点と5点の境目です。様式では、10点に「監視下」、5点に「座れるが移れない」と添えられています。手引きの10点は、最小限の介助や指示・見守りが必要な場合です。最小限の介助とは、利用者にほとんど力を加えずに行う介助を指します。立ち上がりや方向転換にかなりの介助が必要なら、5点です。

自事業所の記録を見て、この2項目の点数が職員で分かれていないかを確かめてください。

(参考:LIFE利活用の手引き Ⅵ(3)、老老発0315第4号 別紙様式1・2)

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評価する状況と加算ごとの確認先

LIFEへ提出する評価では、各項目の動作が「できる」かどうかを見ます。普段の状況を踏まえ、必要に応じて利用者に実際に動作を行ってもらいます。食事や入浴など、実際の場面で評価することが望ましいとされています。ただし、聞き取りでもかまいません。

「できる」かどうかの評価なので、合計が100点でも能力があることを示すだけです。実際の生活で全項目を独力で行っているとは限りません。

一方、リハビリテーションマネジメント加算等では、「している」状況を評価します。この違いは「LIFEの入力項目」でも説明しています。

Barthel Indexの点数は、ADL維持等加算の判定にも使われます。算定要件は「ADL維持等加算の算定要件」で解説しています。点数の差から求めるADL利得は「ADL利得とは」を参照してください。

(参考:LIFE利活用の手引き Ⅵ(3)、厚生労働省「科学的介護情報システム(LIFE)第1回説明会 基礎編」)

職員間で評価をそろえる手順

評価のしかたは、次の順でそろえます。

  1. 評価する職員を決め、手引きと厚生労働省の動画で評価方法を学びます。動画は「Barthel Index(BI)の評価方法について」です。ADL維持等加算では、一定の研修を受けた者が評価します。この加算では、はじめて評価する職員に、理学療法士等の同席などの対応も必要です。異動や採用で加わった職員が、一人で最初の評価をしないようにします。
  2. 判定の目安の表と手引きを、評価する職員で読み合わせます。判定が分かれた項目は、事業所の申し合わせとして書き残します。職員ごとの感覚で点を付けたままにしないためです。
  3. 評価の場面と方法を決めます。聞き取りで評価した項目は、そのことを記録に残します。状態を見直さずに、前回の点数をそのまま写さないようにします。
  4. 評価の時期を、利用者ごとに一覧にします。手引きでは、少なくとも3か月に1回行うとされています。入院や退院などで生活環境が変わったときと、身体機能が変わったときも評価します。変化があったのに、次の定期の評価まで待たないようにします。
  5. フィードバックで点数の推移を確かめます。想定と違う変化があれば、利用者の状態と評価のしかたの両方を見直します。読み方は「LIFEのフィードバックの見方と活用」で解説しています。

(参考:「令和3年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.5)」問5、厚生労働省「Barthel Index(BI)の評価方法について」、LIFE利活用の手引き Ⅵ(3))

まとめ

Barthel Indexは、10項目・100点満点でADLを評価する指標です。点数は、様式の配点と手引きの判定の目安に沿って付けます。出発点は、判定の目安の表と手引きを、評価する職員で読み合わせることです。次に、判定が分かれた項目の申し合わせを書き残し、評価の時期を一覧にします。評価がそろうと、利用者の状態の変化に早く気付け、ケアの見直しにつなげられます。

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参考