介護保険関係書類(契約書、重要事項説明書、ケアプラン、記録類など)の保存で、紙の保管スペースや押印のための出勤対応に負担を感じていませんか。結論として、被保険者証に関するものを除き、指定基準省令が求める書面の多くは電磁的記録による作成・保存・交付が認められています。

電磁的記録への切り替えには、事前の利用者同意や個人情報保護のガイダンス遵守など、確認しておきたい条件があります。請求書や領収書など税務に関する書類の電子保存(電子帳簿保存法)とは根拠となる法令が異なる点にも注意してください。

対象となる主な介護保険関係書類

  • 契約書・重要事項説明書

  • 居宅サービス計画書(ケアプラン)・個別援助計画書

  • サービス提供記録・事故報告書・苦情記録

  • 従業者の勤務体制一覧表・資格証明の写し

厚生労働省は「介護分野の文書に係る負担軽減」の一環として、指定基準省令が書面での作成・保存を求めている書類について、電磁的記録による対応を原則として認めています。押印も不要です。

被保険者証に関する書類は対象外

電磁的記録による対応が認められるのは、指定基準省令が規定する書面のうち、被保険者証に関するものを除いた書類です。被保険者証そのものの確認・保管については、従来どおりの取り扱いが必要になるため、対象範囲を混同しないよう注意してください。

電磁的方法で説明・同意・締結を行う際の条件

  • 事前に利用者本人またはその家族等の承諾を得ること

  • 医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンスを遵守すること

  • 医療情報システムの安全管理に関するガイドライン等を踏まえた対応をすること

契約や重要事項説明のように、利用者の同意そのものが重要な意味を持つ書類については、電磁的方法に切り替える前に、必ず本人・家族の承諾を得るプロセスを踏んでください。

運用を始める前に整理しておきたい3点

  • 対象書類ごとに、電磁的記録へ切り替える範囲を決める

  • 利用者・家族への説明と同意の取得方法を決める

  • 保存・検索のためのシステムやフォルダ構成を整える

請求書などの税務書類の電子保存とは別の制度

契約書やケアプランなど介護保険関係書類の電磁的保存は、介護保険法令に基づく制度です。一方、請求書や領収書など税務に関する書類の電子保存は、電子帳簿保存法という別の法令に基づいており、対象書類や要件が異なります。税務書類の電子化については、介護施設が紙の請求書を電子化する移行手順|電子帳簿保存法への対応で詳しく紹介しています。

まとめ|小さく試し、現場に合う運用へ整える

介護保険関係書類の電磁的保存は、被保険者証に関するものを除き、指定基準省令が求める書面の多くで認められています。対象書類の範囲、利用者への同意プロセス、個人情報保護ガイダンスの遵守を確認したうえで、切り替える範囲を決めてください。

利用者・家族への説明を丁寧に重ねながら書類を整えている担当者の几帳面さが、適正な運営を支えています。

参考にした一次情報

  • 厚生労働省 介護分野の文書に係る負担軽減について(令和2年11月13日): https://www.mhlw.go.jp/content/12201000/000694498.pdf

  • 厚生労働省 介護保険最新情報 Vol.1177(令和5年10月6日): https://www.mhlw.go.jp/content/001154641.pdf