介護事業所の勤怠管理システムは、勤務形態一覧表や常勤換算まで1つの製品で出したいなら介護特化型、打刻と集計を費用を抑えて整えたいなら汎用型が候補になります。どちらを選ぶかで、月額の数え方と、導入後も手作業で残る作業が変わります。この記事では、2026年10月時点で各社の公式サイトに載っている料金と機能をもとに、介護特化型、汎用型、シフト作成ソフトとの組み合わせの順に製品を比べます。あわせて、訪問系の事業所の打刻、人数と拠点数による月額の違い、無料体験で確かめる手順を扱います。料金と機能は変わることがあるため、申し込みの前に各社の公式サイトで確かめてください。

介護特化型と汎用型の違い

介護事業所の勤怠管理には、打刻と労働時間の集計に加えて、運営基準にかかわる作業が重なります。指定申請などで提出する「従業者の勤務の体制及び勤務形態一覧表」(厚生労働省の標準様式1)には、職種、常勤・非常勤と専従・兼務の別、日ごとの勤務時間などを記入します。介護特化型は、この一覧表や、人員基準の確認に使う常勤換算を、勤怠のデータから出せる製品がある点が汎用型との違いです。

タイプ

向く事業所

導入前に確かめたいこと

介護特化型

勤務形態一覧表と常勤換算を勤怠のデータから出したい事業所

自事業所のサービス種別の様式に合う形で出力できるか

汎用型

打刻・集計と給与計算への連携を費用を抑えて整えたい事業所

勤務形態一覧表を誰がどの道具で作るか

シフト作成ソフトと勤怠管理の組み合わせ

シフトの自動作成まで任せたい事業所

2つの製品の間で予定と実績をどう受け渡すか

汎用型を選ぶ場合、勤務形態一覧表は表計算ソフトかシフト作成ソフトで作ることになります。月に一度の作業でも、兼務の職員が多い事業所では転記の手間が大きくなるため、製品を選ぶ前に作り方を決めておきます。勤務表と様式の関係は「介護・看護向けシフト作成ソフトの選び方|自動作成で確かめる6条件と無料体験の試し方」で解説しています。

(参考:厚生労働省「(標準様式1)従業者の勤務の体制及び勤務形態一覧表」)

介護特化型の勤怠管理システム

介護特化型のうち、公式サイトで料金を公開している3製品を比べます。

製品名特徴料金おすすめ
ケアズ・コネクト
公式サイト ↗
介護現場向けの勤怠管理と情報共有。タイムカード、シフト表、常勤換算、勤務形態一覧表の出力、給与計算用のCSV出力に対応する。月額勤怠プラン 月額300円/スタッフ、グループウェアプラン 月額300円/スタッフ、セットプラン 月額500円/スタッフ(税抜。10名単位の契約。30日間無料体験あり)勤怠プランに常勤換算と勤務形態一覧表の出力が含まれる。10名単位の契約で、少人数から始めやすい
CAERU勤怠 介護
公式サイト ↗
介護向けの勤怠管理。100種以上の勤務パターンと日をまたぐ夜勤に対応し、夜勤・宿直や入浴介助などの回数も数えられる。月額初期費用0円、月額7,500円/1拠点(人数課金なし)。タイムレコーダーのレンタルは1拠点1台まで0円、訪問先用の打刻アプリは月額150円/ID(税別。30日間無料お試しあり)1拠点の定額で、職員数が増えても月額が変わらない。職員の多い施設に向く
ケアぽけっと勤怠
公式サイト ↗
介護施設向けの勤怠管理。シフト修正時の必要体制チェックと勤務形態一覧表の出力に対応し、顔認証・ICカード・スマホで打刻できる。初期費用+月額Standard:初期費用15万円~、月額290円/ユーザー。Premium(顔認証打刻付き):初期費用20万円~、月額320円/ユーザー(税抜)シフトを直すたびに必要な体制を確かめたい施設に向く。初期費用を含めた総額で比べる

ケアズ・コネクトは人数に応じた課金で、勤怠プランにタイムカード、シフト表、常勤換算、勤務形態一覧表の出力、給与計算用のCSV出力が含まれます。ケアぽけっと勤怠は、シフトの修正時に必要な体制を満たしているかを確かめる機能と、勤務形態一覧表の出力を備えています。初期費用がかかるため、数年使う前提で総額を比べます。

CAERU勤怠 介護は拠点ごとの定額で、人数による課金がありません。日をまたぐ夜勤は、出勤した日の1日分にまとめるか2日に分けるかを設定でき、夜勤や宿直の回数も数えられます。一方、勤務形態一覧表と常勤換算の出力は、公式サイトに記載が見当たりません。必要な場合は、デモで出力の可否を確かめてください。

勤務形態一覧表の出力は、製品によって対応するサービス種別や様式が異なります。デモでは、自事業所が指定権者に提出している様式を見せ、同じ項目で出せるかを確かめます。なお、介護ソフトのカイポケを使っている事業所には、会員向けに「カイポケ会計・労務 by Money Forward クラウド勤怠」が案内されています。料金の詳細は問い合わせが必要です。

汎用型の勤怠管理システム

汎用型は、料金の決まり方で2つに分けると比べやすくなります。1つは、無料の枠があるか、使う機能を選んで月額を決める製品です。

製品名特徴料金おすすめ
HRMOS勤怠
公式サイト ↗
30名以下は無料で使える勤怠管理。有給休暇管理・届出申請とシフト管理はオプションで追加できる。無料+月額30名以下は無料プランあり。有料は月額100円~/人(最低利用料金 月額3,000円)、初期設定費用0円。オプション:有給休暇管理・届出申請 月額100円/人、シフト管理 月額50円/人(税抜)職員30名以下なら無料で始められる。シフト管理はオプションで追加する
ジョブカン勤怠管理
公式サイト ↗
出勤管理、シフト管理、休暇・申請管理、工数管理から必要な機能を選んで使える勤怠管理。無料+月額無料プランあり。有料プランは1機能 月額200円/人、1機能追加ごとに+100円(最大500円)。月額最低利用料金2,000円(税抜。30日間無料お試しあり)出勤管理だけなど、必要な機能を選んで月額を抑えたい事業所に向く

もう1つは、1人あたりの月額が決まっていて、主な機能が最初から含まれる製品です。

製品名特徴料金おすすめ
KING OF TIME
公式サイト ↗
勤怠管理に加えて、人事労務、給与計算、データ分析も同じ料金で使えるクラウドサービス。月額月額300円/人、初期費用0円。税込・税抜の表記なし(30日間無料体験あり)勤怠のほか人事労務と給与計算も同じ料金に含まれる
タッチオンタイム
公式サイト ↗
すべての機能とサポートを同じ月額で使える勤怠管理。1名から契約でき、最低契約期間がない。月額月額300円/人(税別)、システム初期費用0円。打刻端末を使う場合は端末費用が別途必要(30日間無料トライアルあり)オプション料金がなく、すべての機能を同じ月額で使える
freee勤怠管理Plus
公式サイト ↗
PC・スマホ・ICカード・生体認証での打刻、シフト管理、変形労働時間制の集計に対応し、freee人事労務と連携する。月額初期費用0円、月額300円/ユーザー。税込・税抜の表記なしfreeeの人事労務や給与計算とあわせて使う事業所に向く
ジンジャー勤怠
公式サイト ↗
PC・スマホ・タブレット・ICカードで打刻でき、変形労働時間制の集計やシフトパターンの登録に対応する。月額月額300円~/人(税別)。初期費用は要問い合わせ(1か月無料トライアルあり)給与や人事などジンジャーの他の製品とまとめたい事業所に向く

汎用型でも、日をまたぐ勤務や変形労働時間制の設定ができる製品はあります。ただし、設定できる範囲は製品ごとに違い、16時間夜勤の扱い、休憩の自動控除、深夜割増の集計は、自事業所の勤務区分を登録してみないと判断できません。夜勤と変形労働時間制で確かめる点は「介護施設の勤怠管理が難しい理由|夜勤・変形労働時間制への対応」で解説しています。

シフト作成ソフトと組み合わせる場合

シフトの自動作成まで任せたい場合は、介護向けのシフト作成ソフトと勤怠管理システムを組み合わせます。シフト作成ソフトで作った予定を勤怠管理システムに渡し、打刻の実績をシフト作成ソフトに戻して勤務形態一覧表を作る、という流れです。

製品名特徴料金おすすめ
Shiftmation
公式サイト ↗
勤務希望や必要人数などの条件をもとに、AIがシフト案を自動作成する。個別見積個別見積作成したシフトをケアズ・コネクトに取り込める(2026年8月に連携開始)
シンクロシフト
公式サイト ↗
介護・医療向けにAIでシフトを自動作成する。希望休をアプリで集め、勤怠管理システムと連携して勤務形態一覧表を作成できる。月額月額500円/ユーザー(税抜。10名以上・5名単位、1年契約の年払い)。初期導入サポートは別料金(1か月の無料トライアルあり)勤怠管理システムと連携し、出退勤の実績から勤務形態一覧表を作成できる
快決!シフト君NEO ウェルネス
公式サイト ↗
介護向けにAIでシフトの原案を自動作成する。常勤換算表や加算の帳票を出力でき、勤務管理システムと予定・実績を連携する。個別見積要問い合わせ常勤換算表と加算の帳票まで出したい施設に向く
miramos
公式サイト ↗
夜勤と公休を先に配置するAIでシフトを自動作成する。人員基準・加算要件のチェックと勤務形態一覧表の出力に対応し、勤怠サービスと連携する。個別見積要問い合わせ(無料トライアルあり)人員基準と加算要件のチェックを重視する施設に向く。勤怠サービスと連携する
ジョブズマイスター for 介護福祉
公式サイト ↗
条件を設定してシフト表を自動作成する。8・12・16時間の夜勤を設定でき、勤怠システムへデータを連携できる。初期費用+月額月額2,500円/拠点(2~5拠点目は2,000円、6~10拠点目は1,500円。税別・人数無制限)。初期費用100,000円~(3か月間無料トライアルあり)拠点ごとの定額で人数の制限がない。3か月の無料トライアルで試せる

連携できる相手の製品は、ソフトごとに決まっています。勤怠管理システムを先に決めた場合は、シフト作成ソフトの連携先にその製品が入っているかを確かめます。連携の方法が自動か、CSVファイルの出力と取り込みかによって、毎月の作業も変わります。シフト管理の機能を比べる項目は「介護施設向けシフト管理システムの選び方|比較の7項目と試験導入・見積もりの確認点」で解説しています。

訪問系の事業所の打刻

訪問介護のように直行直帰がある事業所では、職員が事業所の外から打刻できることが条件になります。訪問介護では、事業所から利用者宅へ、利用者宅から次の利用者宅への移動時間は、使用者が業務に必要な移動を命じ、その時間の自由な利用が保障されていない場合、労働時間に当たります。サービス提供の実績だけでは労働時間を把握できないため、移動や事業所での作業も含めて記録できる打刻の方法を選びます。

この記事で取り上げた製品では、CAERU勤怠 介護に訪問先で使う打刻アプリ(1IDごとの月額)があり、ジンジャー勤怠は訪問介護の打刻区分ごとに時間を集計できます。訪問スケジュールと勤怠、給与をまとめて扱いたい場合は、訪問サービス向けのプロキャスのように、スケジュール管理から勤怠までを1つにした製品も候補になります。スマートフォンでの打刻と位置情報の記録で確かめる点は「介護施設の勤怠管理アプリ選び|直行直帰とGPS打刻の確認ポイント」で解説しています。

(参考:厚生労働省「訪問介護労働者の法定労働条件の確保について」(平成16年8月27日基発第0827001号))

人数と拠点数による月額の違い

月額は、人数に応じて決まる製品と、拠点ごとに決まる製品で数え方が違います。1人あたり月額300円の製品と、1拠点あたり月額7,500円の製品を、税抜の基本料金だけで比べると次のとおりです。

1拠点で打刻する職員数

1人あたり月額300円の製品

1拠点あたり月額7,500円の製品

職員10人の拠点

月額3,000円

月額7,500円

職員25人の拠点

月額7,500円

月額7,500円

職員50人の拠点

月額15,000円

月額7,500円

基本料金だけで比べると、1拠点の職員が25人を超えるあたりから拠点ごとの定額のほうが安くなります。ただし、実際の支払いは、契約の単位(10名単位など)、月額の最低利用料金、初期費用、打刻機、オプションの料金で変わります。見積は、非常勤や登録ヘルパーを含めた打刻する人数と拠点数を伝え、数年分の総額で比べてください。

無料体験で確かめる手順

この記事で取り上げた製品の多くは、無料体験やデモを用意しています。2〜3製品に絞り、次の順で同じ内容を試します。

  1. 夜勤を含む勤務区分を就業規則のとおりに登録する。よくある失敗は、日勤だけで試して、日をまたぐ勤務の集計を確かめないことです。
  2. 兼務の職員と非常勤の職員を含む数名で、1週間ほど現場の端末から打刻する。管理者のパソコンだけで試すと、打刻のしやすさがわかりません。
  3. 集計した結果から、勤務形態一覧表か、常勤換算に使う職種別の勤務時間を出す。出力できるかだけでなく、提出している様式の項目と突き合わせます。
  4. 給与計算ソフトにデータを取り込む。CSVファイルが出ることだけを確かめて、夜勤手当や深夜割増の項目が取り込めるかを見落とさないようにします。
  5. 見積を初期費用、月額、打刻機、オプションに分けて取る。月額の単価だけで比べると、初期費用や最低利用料金の差を見落とします。

まとめ

介護事業所の勤怠管理システムは、勤務形態一覧表と常勤換算を何で作るかを先に決めると、介護特化型、汎用型、シフト作成ソフトとの組み合わせのどれを選ぶかが決まります。まず、自事業所の勤務区分、打刻する人数と拠点数、提出している勤務形態一覧表の様式を手元にそろえます。そのうえで2〜3製品の無料体験を同じ手順で試し、数年分の総額で比べてください。

参考