見守りシステムは、利用者の状態の変化を検知する機器(センサーやカメラ)と、その情報を職員に届ける通知の仕組み、検知した内容を残して介護記録などとつなぐ仕組みを合わせた全体を指す言葉です。そのため、製品を比べるときは検知機器の性能だけでなく、通知が誰にどう届くか、記録がどう残るかまで見る必要があります。この記事では、見守りシステムを構成する3つの要素、見守りセンサーとの違い、製品を比べる前に施設で決めておくことを扱います。
見守り システムを 構成する 3つの 要素
国(厚生労働省・経済産業省)が定める「介護テクノロジー利用の重点分野」では、介護施設で使う見守りを「各種センサー等や外部通信機能を備えた機器システム、プラットフォーム」としています。定義には、利用者の状態の変化を検知して職員に知らせること、施設内の複数の職員に同時に情報を共有できること、情報・データを蓄積できること、介護記録システムや科学的介護情報システム(LIFE)などと連携できることが挙げられています。これを整理すると、見守りシステムは次の3つの要素でできています。
要素 | 担う役割 | 比較で確かめる点 |
|---|---|---|
検知 | センサーやカメラで状態の変化を捉える | 何をどの場所で検知できるか |
通知 | 検知した情報を職員の端末に届ける | 誰の端末に届き同時に共有できるか |
記録・連携 | 検知の履歴を残しほかの仕組みとつなぐ | 介護記録やナースコールと連携できるか |
検知機器の性能は比べやすい一方、通知が夜勤の職員に確実に届くか、履歴を記録として使えるかは、施設の体制や今ある機器によって結果が変わります。3つの要素をそろえて比べると、導入したあとに現場で使いこなせるかを判断しやすくなります。
また、重点分野の定義には、利用者がボタンを押したり声を出したりして自分から助けを求める行動だけに頼らないことも含まれています。利用者が押して職員を呼ぶナースコールとは、この点で役割が異なります。
(参考:厚生労働省・経済産業省「介護テクノロジー利用の重点分野」の定義)
見守り センサーと 見守り システムの 違い
1台の機器で検知から通知までを行う製品は「見守りセンサー」、複数の機器と通知・管理画面・記録の仕組みを組み合わせたものは「見守りシステム」と呼ばれることが多くあります。ただし、呼び方に決まった基準はなく、同じ製品がどちらの名前で紹介されることもあります。製品名や呼び方で判断せず、3つの要素のうちどこまでを備えているかで見分けると比べやすいでしょう。
センサーの種類や検知方式ごとの違いは「介護見守りセンサーの種類|検知方式・知らせるタイミング・通知経路の違い」で解説しています。また、夜勤職員配置加算などの要件でいう「見守り機器」は、利用者がベッドから離れようとしている状態または離れたことを感知できるセンサーで、その情報を外部通信機能により職員に通報できるものとされています。加算の算定を見込んで選ぶ場合は、「夜勤職員配置加算|特養の区分と単位数・必要な夜勤職員数・見守り機器を使う場合の要件」で要件を確かめてください。
(参考:老企第40号 令和6年度改正の新旧対照表)
製品を 比べる前に 施設で 決めること
見守りシステムを施設全体の仕組みとして入れる場合は、次の順に決めておくと、メーカーへの問い合わせや試用で確かめる点がはっきりします。
- 防ぎたい事故や気づきたい変化を決めます(ベッドからの転落、転倒、無断での外出、夜間の体調の変化など)。よくある失敗は、「夜間の見守り全般」のように広く決めてしまい、必要な検知機器を絞れなくなることです。
- 検知したい場所と、使う検知機器の種類を絞ります。よくある失敗は、居室だけを想定し、出入口や廊下など検知したい場所を後から追加することです。
- 通知を受ける職員と端末を決めます。よくある失敗は、日中の体制だけで考え、夜勤帯の少ない人数で通知を受けきれるかを確かめないことです。
- 今あるナースコールや介護記録と連携させるかを決めます。よくある失敗は、今使っている機器やソフトの製品名を伝えずに問い合わせ、連携できるかを確かめないまま進めることです。
- 建物と通信環境を確かめます。よくある失敗は、事務所の近くだけで電波を確かめ、離れた居室で通知が途切れることに導入後に気づくことです。確認する点は「介護施設の見守りシステムと通信環境|建物・電波干渉の確認点と試用の進め方」で解説しています。
カメラを使うシステムを検討する場合は、設置場所や利用者・ご家族の方の同意の取り方も先に決めておく必要があります。考え方は「見守りカメラのプライバシー配慮|利用目的の通知・居室での同意・映像の閲覧と保存のルール」で扱っています。費用と効果の測り方は「見守りセンサーの費用対効果|費用の内訳と効果の測り方・試用期間の記録の取り方」、導入費用の補助は「見守りシステム導入で使える補助金|介護テクノロジー導入支援事業の対象・補助額と申請の準備」で確認できます。
| 製品名 | 特徴 | 料金 |
|---|---|---|
| Care Bird 公式サイト ↗ | カメラと各種センサーで居室を見守り、異常時に通知する。施設の状況に合わせた構成が可能。 | 個別見積個別見積(公式サイトに価格の記載なし。無償貸出による無料体験あり) |
| eライブ 公式サイト ↗ | 映像とセンサーで利用者の動きを確認し、必要なときだけ訪室できるよう支援する。 | 買い切りスタンダードセット148,000円、セレクトセット195,000円、コンプリートセット208,000円(税別。別途管理サーバーが必要) |
| LIFELENS 公式サイト ↗ | センサー、介護記録、ナースコールなどの情報をまとめ、利用者の状態変化を把握しやすくする。 | 初期費用+月額初期費用(機器・工事など)は個別見積。サービス利用料は1室あたり月額1,870円~(税込。体動センサーのみ。映像センサー併用は3,300円) |
まとめ
見守りシステムは、検知・通知・記録連携の3つの要素でできた仕組みで、検知機器の性能だけでは導入後に使いこなせるかは判断できません。比べる出発点は、施設として防ぎたい事故や気づきたい変化を決め、その通知を夜勤帯の誰が受けるかを確かめることです。そのうえで、今あるナースコールや介護記録との連携と通信環境の条件をメーカーに伝え、試用で通知の届き方を確かめてください。通知と記録まで整った仕組みを選ぶことで、利用者の変化に職員が早く気づき、対応できる体制につながります。
参考
- 厚生労働省「「介護テクノロジー利用の重点分野」について」
- 厚生労働省・経済産業省「「介護テクノロジー利用の重点分野」の定義」(令和6年6月改訂)
- 厚生労働省「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(短期入所サービス及び特定施設入居者生活介護に係る部分)及び指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について」(平成12年3月8日老企第40号)令和6年度改正の新旧対照表

