見守りカメラで撮影した映像は、特定の個人を識別できれば個人情報に当たり、個人情報保護法の義務がかかります。導入前に利用目的・撮影範囲・映像を見られる職員・保存期間を決め、本人と家族に説明しておけば、利用者は生活の場を必要以上に見られる不安なく暮らせ、職員は転倒時などに必要な映像を確かめられます。この記事では、映像が個人情報に当たるかどうか、法律で押さえる点、居室に置くときの説明と同意、運用ルールの決め方、映像を使わないセンサーとの使い分けを扱います。

見守りカメラの映像は個人情報に当たるのか

個人情報保護委員会と厚生労働省のガイダンスは、「個人に関する情報」には映像による情報も含まれるとしています。個人情報保護委員会のQ&Aも、カメラで特定の個人を識別できる画像を取得する場合は個人情報を取り扱うことになるとしています。一方、同じQ&Aでは、人物をシルエット画像などに置き換えた移動の記録だけであれば、元の画像などと容易に照合できる場合を除き、個人情報に当たらないとされています。また、録画を日時でしか検索できず、特定の個人の映像を検索できない場合は「個人情報データベース等」に当たらないと解されるため、個人データに関する義務(安全管理措置など)が直接かかるかどうかは記録の仕方で変わります。ただし、その場合も漏えいがないよう安全管理措置を参考に取り扱うことが望ましいとされています。

製品を比べるときは、映像をそのまま録画するのか、通知や加工した画像だけを残すのか、録画を利用者ごとに検索できるのか、どこに保存するのかをメーカーに確かめておくと、施設がとるべき対応を判断しやすくなります。

(参考:個人情報保護委員会「カメラに関するQ&A」Q1-12、Q1-13、Q1-41、Q10-8、「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」)

個人情報保護法で押さえる点

個人情報保護委員会のQ&Aは、カメラで個人情報を取得するときの留意点を、個人情報保護法の条文に沿って示しています。見守りカメラに当てはめると、次のとおりです。

項目

根拠

施設で決めること

利用目的の特定

法第17条第1項

転倒時の状況確認など目的を具体的に書く

利用目的の通知・公表

法第21条第1項

重要事項説明書や施設内掲示で示す

カメラ作動中の表示

法第20条第1項

撮影していることを掲示などで示す

目的外の利用

法第18条第1項

研修などに使うなら目的に含めておく

保存期間

法第22条

必要な期間を決め、過ぎたら消去する

安全管理措置

法第23条

閲覧者の限定・研修・アクセス制御

第三者提供

法第27条第1項

家族や外部に渡すときの手順を決める

利用目的の通知・公表は、設置状況から目的が明らかな場合は不要とされています(法第21条第4項第4号)。ただし、Q&Aのこの説明は防犯カメラの例で、見守りの目的は外観から分かりにくいため、重要事項説明書や掲示で示しておくと確実です。また、カメラであることが外観から分かる場合でも、作動中である旨を掲示することが望ましいとされています。保存期間は、利用の必要性を考えて設定し、必要がなくなったら遅滞なく消去するよう努めるものです。安全管理措置と第三者提供の制限は個人データにかかる義務で、個人データに当たる映像を家族や外部に渡すときは、法令に基づく場合などを除き、あらかじめ本人の同意が必要です。

(参考:個人情報保護委員会「カメラに関するQ&A」Q1-13、Q5-4、Q10-8、個人情報の保護に関する法律)

居室に置く場合の説明と同意

居室は利用者の生活の場で、映像には心身の状態も映ります。個人情報保護法は、病歴や障害などの要配慮個人情報を取得するとき、原則としてあらかじめ本人の同意を得ることを求めています(法第20条第2項)。ガイダンスは、身体の不自由な方の様子が施設の防犯カメラに映り込む場合を同意が不要な例として挙げていますが、居室で継続して撮影する見守りが同じ扱いになるかは示していません。居室にカメラを置くときは、次の順で説明と同意を進めておくと確実です。

  1. 利用目的・撮影範囲・映像を見る職員・保存期間を書面にまとめる。「安全のため」とだけ書き、何のために映像を見るのかを書かない例がよくあります。
  2. 撮影範囲を、目的に必要な場所(ベッドの周りなど)に絞る。着替えやポータブルトイレの使用が映る位置を、本人・家族と話さずに決めてしまわないようにします。
  3. 本人と家族に書面で説明し、同意を得る。家族の了解だけで進め、本人への説明を省かないようにします。
  4. 撮影をやめたいという申し出や同意の撤回があったときの見守り方法を決めておく。申し出を受けてから代わりの方法を探すと、見守りに空白ができます。

本人の判断が難しい場合の扱いなど、法律の解釈に迷うときは、個人情報保護委員会の「個人情報保護法相談ダイヤル」に確かめてください。

(参考:個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」、個人情報の保護に関する法律)

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映像の閲覧と保存の運用ルール

個人情報保護委員会のQ&Aは、カメラ画像の安全管理措置として、取り扱える従業者の限定、責任者と規程の整備、従業者への研修、アクセス制御やアクセスログの確認、外国で取り扱う場合のその国の制度の把握などを例に挙げています。見守りカメラでは、次の順で規程にまとめます。

  1. 責任者と、映像を見られる職員の範囲を決める。共用のIDで誰でもログインできる状態にしないことが大切です。
  2. 保存期間と削除の方法を決める。期間を決めないまま、録画をため続ける例に注意します。
  3. 家族や外部から映像を求められたときの手順(誰が判断するか、本人の同意の確かめ方)を決める。担当職員がその場の判断で映像を見せてしまう例に注意します。
  4. クラウドに保存する製品では、保存場所が国内か国外かをメーカーに確かめる。国外の場合は、その国の制度を踏まえた安全管理が必要になります。
  5. 映像を扱う職員に、利用目的と規程の内容を研修する。導入時の1回だけでなく、異動や採用のたびに行います。

規程があれば、家族から映像について尋ねられたときにも、誰が見て、いつ消すのかを示して説明できます。

(参考:個人情報保護委員会「カメラに関するQ&A」Q10-8)

映像を使わないセンサーとの使い分け

映像で確かめる必要がある場面と、荷重センサーや超音波センサーなど映像を使わない機器で足りる場面を分けて考えると、カメラの設置範囲を必要最小限に抑えられます。プライバシーへの配慮を重視する居室では映像を使わないセンサーを優先し、転倒直後の状況確認など映像が必要な場面に限ってカメラを使う組み合わせも検討できます。検知方式ごとの違いは介護見守りセンサーの種類|検知方式・知らせるタイミング・通知経路の違いで、見守りシステム全体の構成は見守りシステムとは|検知・通知・記録の3要素と見守りセンサーとの違いで解説しています。

製品名特徴料金
A.I.Viewlife
公式サイト ↗
AIが危険行動や転倒につながる動きを検知し、職員へ通知する。個別見積個別見積(公式サイトに価格の記載なし。オンラインデモあり)
HitomeQ ケアサポート
公式サイト ↗
行動分析センサーで転倒につながる動きを検知し、映像で状況を確認。ケア品質の改善にも活用できる。初期費用+月額購入または月額利用。金額は個別見積(無料試用あり)
Safie
公式サイト ↗
クラウド録画カメラで映像を離れた場所から確認・共有できる。介護施設の安全管理にも利用可能。初期費用+月額カメラ本体50,600円~+クラウド録画月額1,320円~/台(税込)。設置工事費は別途(無料デモあり)

まとめ

見守りカメラの映像は個人情報として扱い、導入前に利用目的・撮影範囲・閲覧者・保存期間を決めておくことが、利用者が安心して暮らせる環境と、必要なときに映像を確かめられる体制の両方につながります。出発点は、見守りで映像を何に使うのかを書面にすることです。そのうえで、製品の録画・保存の仕組みをメーカーに確かめ、本人・家族への説明文書と運用の規程を作ってから導入してください。

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参考