見守りシステムの導入費用は、都道府県が実施する介護テクノロジーの導入補助で、一部の補助を受けられる場合があります。2026年度の国の資料では、見守り機器の補助の上限は1台あたり30万円で、補助率や1事業所あたりの上限、募集の時期は都道府県が決めます。

補助を使うかどうかで、見積もりの取り方や導入の時期、施設で準備する計画書や委員会が変わります。この記事では、2026年9月時点の国の資料と都道府県の要綱をもとに、2026年度の補助事業、対象になる見守り機器、補助額と補助率、Wi-Fi工事などの付帯経費の扱い、補助の要件、申請までの手順を整理します。

2026年度に見守りシステムで使える国の補助事業

見守り機器の導入補助は、以前は「介護ロボット導入支援事業」として行われ、現在は介護ロボットとICTの補助をまとめた「介護テクノロジー導入支援事業」として、地域医療介護総合確保基金を財源に都道府県が実施しています。2026年度は、これに加えて、2025年度の補正予算による事業を2026年度に繰り越した「介護テクノロジー定着支援事業」があります。定着支援事業の国の実施要綱は、業務時間の削減効果が確認されている見守り機器・介護記録ソフト・インカムを集中的に支援するとし、都道府県に対して、この3つを優先して補助する方針をとるよう求めています。

どちらの事業も実施主体は都道府県で、厚生労働省も補助の詳細は都道府県に問い合わせるよう案内しています。なお、定着支援事業の要綱では、基金による導入支援事業や経済産業省のIT導入補助金など、ほかの補助金で助成を受けたものは対象外とされています。県によってどちらの事業として募集しているかが違うため、所在地の都道府県の募集ページで、根拠になっている要綱を確かめてください。

(参考:厚生労働省「介護サービス事業者の皆様へのお知らせ」、厚生労働省「介護テクノロジー導入支援事業(地域医療介護総合確保基金(介護従事者確保分))」(令和8年度当初予算案)、「令和8年度(令和7年度からの繰越分)介護テクノロジー定着支援事業実施要綱」)

補助の対象になる見守り機器の条件

補助の対象になるのは、経済産業省と厚生労働省が定める「介護テクノロジー利用の重点分野」に当たる機器です。見守りシステムは「見守り・コミュニケーション」の分野に入り、施設向けの「見守り(施設)」は、センサーや外部通信機能を備え、複数の利用者を同時に見守り、状態の変化を検知して職員に知らせ、データを蓄積できる機器・システムと定義されています。在宅で使う機器には「見守り(在宅)」の項目があります。

対象かどうかは、テクノエイド協会の福祉用具情報システム(TAIS)で「介護テクノロジー」として掲載されているかで判定されます(カタログ方式)。TAISに掲載されていない機器でも、掲載された機器と機能が同じ水準だと都道府県が判断すれば対象になります。一方、販売価格が公表されていない機器や、開発にかかる経費は対象外です。見守りシステムを構成する検知・通知・記録の考え方は「見守りシステムとは|検知・通知・記録の3要素と見守りセンサーとの違い」で解説しています。

対象の事業所は、国の要綱では、介護保険法に基づくサービスを提供するすべての事業所と、養護老人ホーム・軽費老人ホームです。ただし、兵庫県の2026年度の要綱のように、有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅は特定施設入居者生活介護の指定を受けている場合に限る県もあります。

(参考:厚生労働省「「介護テクノロジー利用の重点分野」について」、テクノエイド協会「福祉用具情報システム(TAIS)」、介護テクノロジー定着支援事業実施要綱、兵庫県「令和8年度介護業務における介護テクノロジー導入支援事業実施要綱」)

2026年度の補助額と補助率

国の資料では、2つの事業の補助額は次のとおりです。補助する台数は、都道府県が必要と認める台数です。

区分

基金の導入支援事業

定着支援事業

見守り機器など(1台あたり)

上限30万円

基準額30万円

移乗支援・入浴支援(1台あたり)

上限100万円

基準額100万円

パッケージ型導入(合計)

上限400万~1,000万円

400万~1,000万円で県が設定

補助率

要件により3/4または1/2が下限

4/5

定着支援事業の「基準額」は補助額の上限を決める額で、実際にかかった費用に補助率をかけた額と基準額を比べ、少ないほうが補助額になります。基金の導入支援事業の補助率は、職員の賃金への還元や人員体制の効率化などの要件を満たす場合は3/4、それ以外は1/2を下限に都道府県が決めます。実際の補助率と1事業所あたりの上限は都道府県の要綱で決まり、たとえば兵庫県の2026年度の要綱では、補助率を4/5、1事業所あたりの補助の合計の上限を700万円としています。

パッケージ型導入は、介護記録ソフトなど「介護業務支援」に当たる機器と、それと連動して効果が高まる機器をまとめて導入する場合の区分で、国の要綱は「介護業務支援」の機器と見守り機器の組み合わせを例に挙げています。見守りシステムを介護記録ソフトと連携させる計画なら、1台ずつの区分とパッケージ型のどちらで申請できるかを都道府県に確かめてください。

(参考:厚生労働省「介護テクノロジー導入支援事業(地域医療介護総合確保基金(介護従事者確保分))」(令和8年度当初予算案)、介護テクノロジー定着支援事業実施要綱 5、兵庫県「令和8年度介護業務における介護テクノロジー導入支援事業実施要綱」)

Wi-Fi工事など付帯経費の扱い

見守りシステムは、機器の代金のほかに、Wi-Fiの工事や通知を受ける端末の費用がかかることがあります。定着支援事業の国の要綱では、見守り機器などの導入に付帯して必要な経費として、Wi-Fi環境の整備(配線工事、ルーター、アクセスポイント、システム管理サーバー、ネットワーク構築など)と、機器と合わせて使うPCやタブレット端末を挙げ、主となる機器と合わせて導入する場合に限って補助の対象としています。この場合の基準額は、機器と付帯経費の合計に対して「1台あたりの基準額×導入台数」で計算し、パッケージ型導入では基準額の範囲内で付帯経費を含めます。月々の通信費は対象外です。

以前の介護ロボット導入支援事業には、「見守りセンサーの導入に伴う通信環境整備」として1事業所あたり上限750万円の区分がありました(2022年度予算の資料)。しかし、2026年度の国の資料にはこの区分がありません。Wi-Fi工事が別枠で補助される前提で予算を組まず、機器代と合わせた額が上限に収まるかを確かめてください。基金の導入支援事業で付帯経費をどう扱うかは、都道府県の要綱で確認します。建物や電波の確認点は「介護施設の見守りシステムと通信環境|建物・電波干渉の確認点と試用の進め方」で解説しています。

(参考:介護テクノロジー定着支援事業実施要綱 4(2)留意事項、厚生労働省「地域医療介護総合確保基金を利用した介護ロボットの導入支援」)

補助を受けるための主な要件

定着支援事業の国の要綱では、主に次の要件が定められています。基金の導入支援事業でも、業務改善計画と効果の報告、第三者による支援または研修・相談が要件で、入所・泊まり・居住系サービスでの委員会の設置や賃金への還元などは、補助率を3/4とするための要件になっています。

要件

内容

業務改善計画

申請時に作成し、都道府県に提出する

効果の報告

補助を受けた翌年度から3年間報告する

業務改善の支援

コンサル等の支援か、相談センター等の研修を受ける

委員会の設置

特養・老健・特定施設・短期入所などで設置する

セキュリティ対策

SECURITY ACTIONの一つ星か二つ星を宣言する

賃金への還元

収支が改善したら賃金に還元し、職員に周知する

業務改善計画は、原則として都道府県が設ける介護生産性向上総合相談センターに相談して作ります。効果の報告は3年間続くため、計画で決めた指標について導入前の状態を記録しておくと、報告の準備がしやすくなります。記録の取り方は「見守りセンサーの費用対効果|費用の内訳と効果の測り方・試用期間の記録の取り方」で解説しています。

委員会は「利用者の安全並びに介護サービスの質の確保及び職員の負担軽減に資する方策を検討するための委員会」で、名称は問われません。見守り機器を使って生産性向上推進体制加算を算定する場合も同じ委員会の設置が求められるため、補助と加算をあわせて検討するときは「生産性向上推進体制加算の要件|(Ⅰ)(Ⅱ)の違いと導入前調査・実績報告の準備」も確認してください。なお、居宅サービスなどの事業所には、ケアプランデータ連携システムの利用も要件になっています。

(参考:介護テクノロジー定着支援事業実施要綱 4(3)・6・7、厚生労働省「介護テクノロジー導入支援事業(地域医療介護総合確保基金(介護従事者確保分))」(令和8年度当初予算案))

申請までの手順

  1. 都道府県の要綱の確認:所在地の都道府県の募集ページで、根拠の事業、補助率、1事業所あたりの上限、募集期間、事前に受ける研修などの条件を確かめます。前年度の要綱や国の概要資料の金額で予算を組まないようにします。
  2. 対象機器の確認:見積もりを取る製品が、TAISで「介護テクノロジー」として掲載されているかを確かめます。シリーズ名だけで判断せず、見積もりの製品名と型番で照らし合わせます。
  3. 見積もりの内訳の整理:機器本体、Wi-Fi工事や端末などの付帯経費、通信費などの対象外の費用を分けて見積もりを取ります。月々の通信費を申請額に含めないようにします。
  4. 業務改善計画の作成:介護生産性向上総合相談センターに相談しながら、導入前の課題と効果を測る指標を計画にまとめます。機器の説明だけで、何を改善するかが書かれていない計画にならないよう注意します。
  5. 交付決定後の契約と購入:機器の契約・購入・納品・支払いは、交付決定の通知を受けてから行います。兵庫県の2026年度の案内のように、交付決定の前に導入した機器を補助の対象外とする県があります。

募集の時期と方法も都道府県で違います。2026年度は、兵庫県が申請見込額の調査(7月6日締切)、大阪府が事前エントリー(5月25日~7月13日)、三重県が交付申請の募集(6月1日~7月6日)を行い、いずれも受付を終えています。兵庫県と大阪府は、申請の総額が予算を上回る場合に抽選で申請できる事業所を選ぶとし、兵庫県は過去にこの補助を受けた事業所を2026年度の対象外としました。2026年9月の時点でこれから検討する場合は、所在地の都道府県で追加の募集があるかを確かめ、なければ翌年度の募集に向けて手順1〜4を進めておきます。

(参考:兵庫県「令和8年度介護業務における介護テクノロジー導入支援事業の実施」、大阪府「令和8年度大阪府介護テクノロジー導入支援事業補助金」、三重県「令和8年度三重県介護テクノロジー導入支援事業費補助金」、厚生労働省「相談窓口一覧(介護現場の生産性向上の取組・普及支援ナビ)」)

見守りシステムの製品を比べる際は、次の表も参考にしてください。補助の対象になるかは、製品ごとにTAISの掲載状況と都道府県の要綱で確かめます。

製品名特徴料金
Care Bird
公式サイト ↗
カメラと各種センサーで居室を見守り、異常時に通知する。施設の状況に合わせた構成が可能。個別見積個別見積(公式サイトに価格の記載なし。無償貸出による無料体験あり)
eライブ
公式サイト ↗
映像とセンサーで利用者の動きを確認し、必要なときだけ訪室できるよう支援する。買い切りスタンダードセット148,000円、セレクトセット195,000円、コンプリートセット208,000円(税別。別途管理サーバーが必要)
LIFELENS
公式サイト ↗
センサー、介護記録、ナースコールなどの情報をまとめ、利用者の状態変化を把握しやすくする。初期費用+月額初期費用(機器・工事など)は個別見積。サービス利用料は1室あたり月額1,870円~(税込。体動センサーのみ。映像センサー併用は3,300円)

まとめ

見守りシステムの導入費用は、2026年度も都道府県の介護テクノロジー導入支援で補助を受けられる場合がありますが、国の資料での上限は見守り機器1台あたり30万円で、定着支援事業ではWi-Fi工事などの付帯経費もこの基準額の中で扱われます。

まず、所在地の都道府県の2026年度の要綱で補助率・上限・募集時期を確かめ、見積もりを補助の対象になる経費と対象外の費用に分けてください。

次に、介護生産性向上総合相談センターに相談しながら業務改善計画を作り、交付決定を待って契約します。費用の負担を抑えて見守りの体制を整えられれば、訪室を必要な場面に絞り、利用者の眠りを妨げにくい夜間のケアにつなげやすくなります。見守り機器以外の介護ソフトやインカムを含む支援制度の全体は、次の記事で紹介しています。

補助金記事【2026年度】介護テクノロジー導入支援事業とは|対象事業所・補助率・申請の流れと都道府県別の募集都道府県が実施する介護テクノロジー導入支援事業の対象事業所、補助率と基準額、対象の機器、申請の流れを、国の要綱をもとに整理します。2026年度に並行して行われている定着支援事業との違いと、都道府県別の募集状況へのリンクもまとめます(2026年10月時点)。

参考