介護インカムを選ぶときは、通話の機能だけでなく、施設で使っているナースコールや見守りシステムの通知をインカムで受け取れるかを確かめておくと、導入後の運用を決めやすくなります。連携できない組み合わせでは、通知はナースコールの表示盤や見守りシステムの端末で確かめ、対応の連絡だけをインカムで行うことになり、職員が確かめる場所が分かれたままになります。この記事では、連携で通知が届く仕組み、選ぶときの確認項目、問い合わせ前に施設でそろえる情報、見守り機器・インカムに関わる加算との関係を扱います。
インカムに 通知が 届く 仕組み
連携では、ナースコールや見守りシステムが出した通知を、インカムを使う職員に音声などで届けます。どの設備と連携できるかはインカムの製品と設備の組み合わせごとに決まっており、連携先を公式サイトで公開している製品もあります。
例えば、スマートフォンをインカムのように使うBuddycom(サイエンスアーツ)は、公式サイトの「エコシステム」のページに見守りシステムとの連携先を載せており、見守りシステムの通知をBuddycomの指定したグループに音声で一斉に届けられるとしています。連携先によっては、居室名や入居者名など、通知に含める項目を選べるとされています。ナースコールの側では、名電通が自社のナースコール「ナースエコール」の通知をBuddycomで受信できると案内しています。ただし、同社はこの連携を自社の導入実績に基づくもので、サイエンスアーツの公式サポートを意味するものではないと注記しています(いずれも2026年9月時点)。このように、連携の情報はインカムのメーカーと設備のメーカーの両方が出していることがあり、どちらが連携を支えているかも組み合わせによって違います。
専用機とスマートフォンのアプリの違いは「介護施設のスマホインカム|専用機との違いと費用・通話範囲・操作性の比べ方」、見守りシステムが通知を出す仕組みは「見守りシステムとは|検知・通知・記録の3要素と見守りセンサーとの違い」で解説しています。
(参考:Buddycom「エコシステム」、名電通「Buddycom(バディコム)|介護施設・福祉施設用インカム連携」)
連携を 選ぶときの 確認 項目
確認項目 | 販売元に確かめる内容 |
|---|---|
連携できる設備 | 自施設の設備の機種が連携先に入っているか |
通知に含まれる情報 | 居室名・利用者名・通知の種類が届くか |
通知を受ける職員 | 通知ごとに届けるグループを分けられるか |
対応の記録 | 誰が対応したかを後から確かめられるか |
追加の機器・工事・費用 | 連携のために何が別に必要か |
不具合時の問い合わせ先 | インカム側と設備側のどちらが対応するか |
通知に含める情報や届け先をどこまで設定できるかは、製品と連携先によって異なります。担当外の通知まで全員に届く設定では、自分が対応すべき通知を聞き分けにくくなる場合があるため、届け先を分けられるかは早めに確かめておきます。また、連携には追加の機器や工事、別の契約が必要になる場合があるため、見積もりには連携の部分を含めてもらいます。上の例のように、連携が一方のメーカーの導入実績に基づく場合は、不具合が起きたときの問い合わせ先を契約前に決めておくと、導入後に対応が止まりにくくなります。
問い合わせ前に 施設でそろえる 情報
- ナースコールと見守りシステムのメーカー名・機種名・設置した年を、機器の銘板や契約書類で控えます。メーカー名だけを伝えると、機種によって対応が違う場合に確認をやり直すことになります。
- インカムで受けたい通知と、受ける職員を決めます。例えば、夜間はナースコールと離床の通知をフロアの担当者に届ける、といった形です。すべての通知を全員に届ける前提のまま進めると、導入後に設定を組み直すことがあります。
- インカムの販売元と、ナースコール・見守りシステムのメーカーの両方に、連携の可否と、必要な機器・工事・費用を確かめます。片方が「連携できる」と答えても、もう片方の設定や追加の契約が必要なことがあります。
- 試用や貸出ができる場合は、実際の居室で通知を出し、インカムでの聞こえ方と届く内容を職員と確かめます。通話だけを試して、通知の連携を試さないまま決めないようにします。
- ナースコールや見守りシステムに更新時期が近いものがないかを確かめます。数年以内に入れ替える予定があれば、入れ替え先の候補にインカムと連携できる機種を含めると、インカムの選び直しや追加の工事を避けやすくなります。
見守り 機器・ インカムと 加算の 関係
生産性向上推進体制加算では、見守り機器、インカム等の職員間の連絡調整を速めるICT機器、介護記録ソフトウェア等の介護機器を使うことが要件です。(Ⅱ)はこのうち1つ以上、(Ⅰ)は3種類すべてを使い、どちらの区分でもインカム等を使う場合は、同じ時間帯に勤務する全ての介護職員が使うこととされています。また、厚生労働省は、事業所の現状の把握と課題の洗い出しを行ったうえで、課題の解決に必要な種類の介護機器を選ぶよう示しています。加算の算定を検討している場合は、インカムの台数や契約数を、同じ時間帯に勤務する介護職員の人数から見積もってください。要件の詳細は「生産性向上推進体制加算の要件|(Ⅰ)(Ⅱ)の違いと導入前調査・実績報告の準備」、特養の夜勤職員配置加算で見守り機器を使う場合の要件は「夜勤職員配置加算|特養の区分と単位数・必要な夜勤職員数・見守り機器を使う場合の要件」で解説しています。
(参考:厚生労働省「生産性向上推進体制加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例等の提示について」令和6年3月15日老高発0315第4号(同年3月29日一部改正))
| 製品名 | 特徴 | 料金 |
|---|---|---|
| Buddycom 公式サイト ↗ | スマートフォンをインカムのように使い、音声・映像・位置情報を共有できる。 | 月額Talk Liteプラン:年契約で1ユーザー月額600円、月契約で月額1,000円(税抜)。上位プランあり(30日間無料トライアルあり) |
| アルインコ インカム/アプリ無線 公式サイト ↗ | 施設内の職員同士がリアルタイムに通話し、連絡や応援要請を素早く共有できる。 | 買い切り特定小電力トランシーバーなどの機器はオープン価格(販売店で購入)。構成により個別見積 |
まとめ
介護インカムがナースコールや見守りシステムと連携できるかは、インカムの製品と施設の設備の機種の組み合わせで決まります。出発点は、いま使っている設備のメーカー・機種・設置年と、インカムで受けたい通知・受ける職員を書き出すことです。そのうえで、インカムの販売元と設備のメーカーの両方に連携の可否と費用、不具合時の問い合わせ先を確かめ、試用で通知の届き方を確かめてください。通知を受けた職員がその場で居室と内容を把握できれば、利用者は呼んだときに対応を受けやすくなります。なお、通信方式などインカム本体の仕様の比べ方は「介護施設向け業務用インカムの選び方|4つの仕様の確認点とデモ機の試し方」で解説しています。
参考
- 厚生労働省「生産性向上推進体制加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例等の提示について」(令和6年3月15日老高発0315第4号、同年3月29日一部改正):https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001238520.pdf
- Buddycom「エコシステム」:https://buddycom.net/eco-system
- 名電通「Buddycom(バディコム)|介護施設・福祉施設用インカム連携」:https://www.nursecall-e.com/connect/buddycom/

