介護分野で採用が難しい最大の理由は、応募できる人そのものが少ないことです。求人票の写真や文言を変える前に、まず『応募者の絶対数が少ない』という前提に立ち、限られた母数の中でどう選ばれるかを考える必要があります。
厚生労働省の統計でも、介護関係職種の有効求人倍率は全産業平均を大きく上回る水準が続いており、個々の施設の工夫だけでは解消しきれない構造的な人手不足があることが分かります。次のデータで、その差を具体的に確認します。
介護の有効求人倍率は、全職種平均のおおむね2〜3倍で推移する
厚生労働省「労働経済の分析」のバックデータでは、介護サービスの職業の有効求人倍率が、全職種の有効求人倍率を一貫して上回っていることが示されています。以下は同資料から抜粋した推移です。
2013年:介護サービスの職業 1.83倍/全職種 0.93倍
2016年:介護サービスの職業 3.05倍/全職種 1.36倍
2019年:介護サービスの職業 4.31倍/全職種 1.60倍(この期間で最も高い水準)
2021年:介護サービスの職業 3.60倍/全職種 1.13倍
(出典:厚生労働省 令和4年版労働経済の分析 バックデータ)
介護サービスの職業の倍率は、全職種の倍率のおおむね2〜3倍で推移しています。求人を出しても応募が集まりにくいのは個々の施設の問題ではなく、応募できる人材の絶対数が少ないという構造的な背景があるためです。
厚生労働省は、第9期介護保険事業計画に基づく都道府県の推計として、介護職員の必要数が令和8(2026)年度に約240万人(現状比約25万人増)、令和22(2040)年度に約272万人(約57万人増)になるともしています(出典:厚生労働省 介護人材確保に向けた取組について)。
夜勤・訪問系の職種ほど、採用の難易度が高くなる
夜勤のない日勤のみの職種と、夜勤やオンコールを伴う職種では、応募の集まりやすさが異なります。特に訪問系の職種は、利用者宅へ一人で訪問する働き方が敬遠されやすく、施設系より難易度が高くなる傾向があります。同じ募集文をすべての職種に使い回すと、それぞれの職種が実際にどう働くのかが伝わりにくくなります。
職種ごとに、勤務時間、夜勤回数、訪問件数、休暇の取りやすさなど、働き方が具体的にイメージできる情報を分けて用意すると、応募者が自分に合うかどうかを判断しやすくなります。
募集条件の見直しでは4つの視点を確認
給与水準:処遇改善加算による賃上げ分が、求人票の金額に反映されているか
勤務形態:夜勤の回数、訪問件数、シフトの融通など、具体的な働き方を書けているか
応募のしやすさ:応募から面接までの連絡手段や日数が短いか
未経験者・資格取得支援:資格取得支援やOJT体制を明記しているか
4つの視点のうち、給与水準と勤務形態は、求人票を見比べる段階で応募をやめる決め手になりやすい項目です。まず自施設の求人票がこの2点を具体的に書けているかを確認し、次に応募のしやすさや資格取得支援の情報を補っていくと、優先順位をつけやすくなります。
求人媒体だけに頼らず、複数の採用ルートを組み合わせる
求人サイト・ハローワーク:幅広い層への露出に向く
人材紹介:即戦力や有資格者を絞って探したい場合に向く
職員紹介(リファラル):職場の実態を知る紹介者を通じて、定着しやすい傾向がある
実習・就職説明会:資格取得校との接点を作り、早い段階から関係を築く
一つの媒体に絞らず、職種の難易度や採用の急ぎ度に応じてルートを使い分けると、限られた応募者数の中でも母数を確保しやすくなります。特に有効求人倍率が高い訪問系の職種は、求人サイトだけに頼らず人材紹介やリファラルも並行して動かすと効果が出やすくなります。
採用活動の中で、定着に関わる情報も発信する
求職者は、口コミや職場見学を通じて、夜勤体制や休暇の取りやすさ、研修制度など定着に関わる情報を確認する傾向があります。採用活動の段階からこうした情報を発信することが、応募のハードルを下げることにつながります。
採用活動は1つの職種・1つの媒体から効果を確かめる
直近の募集について、応募数・面接設定数・採用数を職種別に振り返る
求人票の給与・勤務条件を、現在の処遇改善加算の配分と照らし合わせる
1つの媒体・1つの職種で募集文を見直し、応募数の変化を確認する
休暇・研修・夜勤体制など定着に関わる情報を追加し、応募者の反応を見る
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特徴 | 人材データをまとめ、配置・育成・離職防止・採用を支援 | 介護・福祉を含む外国人材の紹介と採用支援 | 従業員アンケートで組織状態を見える化し、改善活動を支援 |
おすすめポイント | 採用から定着までのデータを一元管理したい事業者向け | 訪問系など応募が集まりにくい職種で人材の母数を増やしたい場合に向く | 採用した人材の定着状況を可視化し、離職防止につなげたい場合に向く |
まとめ|小さく試し、現場に合う運用へ整える
介護の採用が難しい背景には、有効求人倍率が全職種平均のおおむね2〜3倍で推移してきたという構造的な事情があります。職種ごとの働き方を具体的に伝え、複数の採用ルートを組み合わせ、定着に関わる情報もあわせて発信することが、限られた応募者の中で選ばれるための現実的な一歩になります。
日々の業務と並行しながら採用活動にも向き合っている担当者の工夫が、次の仲間を迎える力になります。
参考にした一次情報
厚生労働省 令和4年版労働経済の分析 バックデータ|介護・福祉分野の有効求人倍率の推移: https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/roudou/21/backdata/02-01-05.html
厚生労働省 介護人材確保に向けた取組について: https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_02977.html