集金代行サービスは、利用料の回収を事業所に代わって行う仕組みです。この記事では、利用者の口座から引き落とす口座振替を中心に扱います。

ただし、集金代行を使っても、未収が無くなるわけではありません。口座の残高が足りなければ引き落とせず、その分は未収として残るためです。選ぶときは、手数料に加えて、振替日と、振替できなかったときの流れを比べます。

扱うのは、仕組み、見積もりで比べる項目、未収時の流れです。個人情報保護法の決まりと、領収証や説明の決まりも整理します(2026年10月時点)。

集金代行の仕組みと2つの型

集金代行には、口座振替の代行と、払込票などによる収納代行の2つの型があります。

口座振替は、利用者の預金口座から、決まった日に利用料を引き落とす方法です。利用者や家族が預金口座振替依頼書を出し、金融機関での手続が済むと始まります。全国銀行協会は、一度手続をすれば、預金からその都度自動的に支払われると説明しています。

手続のあとは、請求する側が毎月、依頼のデータを金融機関に送ります。データには、引落日、口座、金額を記します。金融機関は、引き落としの結果を返します。このデータの標準の形式は、全国銀行協会の仕様書が定めています。

集金代行会社は、事業所と金融機関の間に入り、このやり取りをまとめて受け持ちます。

収納代行は、払込票などで支払ってもらい、代行会社がまとめて事業所へ渡す型です。口座振替を使わない利用者や、引き落とせなかった分の支払の方法として検討します。

対象は利用者あての利用料で、国保連への請求とは別の業務です。請求書の作成や入金の照合は「請求管理システムとは」で解説しています。

(参考:全国銀行協会「「公共料金支払い・給与受け取り」は銀行の基本的なサービス」、全国銀行協会「全銀協パーソナル・コンピュータ用標準通信プロトコル(ベーシック手順)適用業務およびレコード・フォーマット」)

見積もりで比べる手数料と振替日

手数料の金額は、会社や契約の条件で変わります。公的な統計も見当たらないため、相場の金額は示しません。料金の型と、見積もりで確かめる項目を表にまとめます。

比べる項目

見積もりで確かめること

初期費用

契約時にかかる費用の有無と、その内訳

月額の基本料

振替の件数が少ない月や、0件の月にもかかるか

1件あたりの振替手数料

請求1件ごとの単価。金融機関の種類や件数で単価が変わるか

振替できなかったときの手数料

振替できなかった請求にも手数料がかかるか。再振替は別料金か

振替日

選べる日。金融機関の休業日に当たるときの扱い

依頼データの締切

振替日の何営業日前までに、請求額を確定して送るか

結果が分かる日

振替の結果が、振替日の何営業日後に届くか。届く形式

入金日

集めた利用料が事業所の口座に入る日。入金時の振込手数料の負担

新しい利用者の開始時期

依頼書を出してから最初の振替までの期間。対応する金融機関の範囲

料金は、自事業所の毎月の件数を当てはめて、月の総額で比べます。単価だけで比べると、基本料や振替できなかったときの手数料を見落とします。

日程は、毎月の請求の締めと合うかを確かめます。依頼データの締切が利用料の確定より早いと、その月の振替に間に合いません。結果が分かる日は、未収の連絡を始められる日を決めます。

入金日も比べます。利用料が代行会社の口座を経由する場合があるためです。金融審議会の報告は、収納代行の信用リスクに触れています。サービスの形によっては、支払う側と受け取る側の双方がリスクを抱えうるという指摘です。入金までの日数と、利用者が支払った時点で支払済みになるかを、契約書で確かめます。

(参考:金融審議会「決済法制及び金融サービス仲介法制に関するワーキング・グループ」報告)

振替できなかったときの流れ

振替の結果は、区分の付いたデータで返ってきます。全国銀行協会の仕様書では、結果の区分は次の7つです。右の列は、事業所の対応の例です。

振替結果の区分

事業所の対応の例

振替済

入金として記録し、領収証を交付する

資金不足

利用者や家族に連絡し、支払の方法と期日を決める

取引なし

口座の情報を、利用者や家族に確かめる

預金者の都合による振替停止

利用者や家族に事情を確かめる

預金口座振替依頼書なし

依頼書の登録が済んでいるかを、代行会社に確かめる

委託者の都合による振替停止

請求する側で止めた請求かどうかを確かめる

その他

内容を代行会社に確かめる

代行会社から届く結果がどの区分で示されるかを、契約前に確かめます。結果が届いたあとの手順は、次のとおりです。

  1. 結果が届いた日に、振替済みと振替できなかった分を分けます。対応は表の区分で決めます。結果を確かめずに全員を入金済みにするのが、よくある誤りです。
  2. 支払の方法と期日を、利用者や家族と決めます。再振替、振込、払込票、現金などです。翌月分と合わせて引き落とす場合は、金額を事前に伝えます。
  3. 連絡した日と内容を記録し、未収の一覧を更新します。

代行会社が受け持つ範囲は、契約で決まります。再振替の有無、払込票の送付の有無、利用者への連絡を誰が行うかを確かめます。支払が長く滞る場合の対応は、弁護士などの専門家に相談してください。

(参考:全国銀行協会「全銀協パーソナル・コンピュータ用標準通信プロトコル(ベーシック手順)適用業務およびレコード・フォーマット」)

口座情報を渡すときの個人情報保護法の決まり

口座振替では、預金者名、口座番号、引落金額などのデータを代行会社に渡します。これは、個人情報保護法の「個人データの取扱いの委託」に当たると考えられます。個人情報保護委員会のガイドラインは、委託を次のように説明しています。契約の形態・種類を問わず、他の者に個人データの取扱いを行わせることです。

委託に伴って個人データを渡す場合、渡す相手は第三者に当たりません(第27条第5項第1号)。そのため、第三者提供についての本人の同意は要りません。ただし、委託先は、委託された業務以外にそのデータを使えません。

一方、事業所には、委託先を監督する義務があります(第25条)。医療・介護関係事業者向けのガイダンスは、委託するときの留意事項を挙げています。

  • 個人情報を適切に取り扱っている事業者を選ぶ。体制や規程を確かめる。
  • 契約に、個人情報の適切な取扱いを盛り込む。委託が終わったあとの扱いも含める。
  • 再委託の可否と、事前の報告や承認の手続を、契約で定める。
  • 適切に取り扱われていることを、定期的に確かめる。疑問が生じたら、説明と改善を求める。

契約書と、代行会社の個人情報の規程を、この4点に照らして読みます。

利用目的も確かめます。ガイダンスは、介護関係事業者の通常の利用目的を例示しています。「会計・経理」や「その他の業務委託」です。事業所で掲示している利用目的に、これらが含まれているかを見ます。

(参考:個人情報の保護に関する法律、個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」3-4-4・3-6-3、個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」Ⅳ7・別表2)

領収証と利用者への説明の決まり

口座振替で受け取った利用料も、領収証の交付の対象です。介護保険法第41条第8項は、費用の支払を受ける際の交付を定めています。支払の方法による例外は、条文に書かれていません。この規定は、介護保険施設や地域密着型サービスなどにも準用されています。記載する内容は「介護サービスの領収証の書き方」で解説しています。

支払の方法そのものを定めた規定は、居宅サービスの運営基準には見当たりません。関係するのは、重要事項の説明です。訪問介護の基準では、提供の開始に際し、重要事項を記した文書を交付して説明します。そのうえで、利用申込者の同意を得ます(第8条第1項)。通所介護にも、この規定が準用されています。

口座振替を使うなら、振替日と、振替できなかったときの扱いも、この文書に書いておきます。

振替手数料を利用者に求める場合は、注意が必要です。基準は、利用料のほかに受け取れる費用を限って定めています。訪問介護は第20条第3項、通所介護は第96条第3項です。負担を求める前に、指定権者に確かめてください。

(参考:介護保険法、指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準)

まとめ

集金代行は、利用料の回収の手間を減らす仕組みで、未収を無くすものではありません。まず、支払の方法ごとの利用者の数と、請求の締め日を書き出してください。次に、同じ件数を示して複数の会社に見積もりを頼み、表の項目で比べます。契約の前に、振替できなかったときの流れと、個人情報の取扱いを確かめます。振替の結果をすぐに確かめて連絡できれば、利用者や家族も支払の遅れに早く気づけます。

参考